日帰り, 1回目, 曇り, 2020年度中4湯目

極楽湯 横浜芹が谷店へ行ってきた。神奈川県では唯一の、天然温泉を使用している極楽湯である。極楽湯は全国展開しているスーパー銭湯でどこにでもある印象があるが、その中心は関東、東北であり、大阪以西では宮崎に1店舗あるのみである (中国店舗は除く)。温泉を使用している店舗は少なく、一番多い関東でも、茨城1店舗、栃木1店舗、埼玉4店舗、東京2店舗、神奈川1店舗の計9店舗しかない [1]。なぜそんなことを気にするかというと、実家から極楽湯の株主優待券が送られてきて、これを消費しなければいけないからだ。まだかなりの枚数が残っている。今回は、この券の利用を目的にして極楽湯を訪れた。

極楽湯 横浜芹が谷店は横浜市港南区の北端、芹谷川の流れる芹が谷地区にある。川を挟んですぐ隣は戸塚区になっている。芹谷川を少し下ると国道1号線や、横浜環状2号線といった大きな道路に当たる。逆に少し上ると川が途切れてすぐに横浜横須賀道路に当たる。大きな道路に囲まれて便利な所だ。

極楽湯 横浜芹が谷店では1,500mの掘削で掘り出した黒湯を利用している。湯は見通し10cmほどしかなく、かなり濃い黒褐色をもつ。また、浴槽内で身体が滑ってしまうほどの、非常に強いぬるぬるの感触が面白い。惜しいのは、源泉掛け流し浴槽が無いことだ。かつてはあったようだが、源泉炭酸浴槽のために辞めてしまったのだろうか。確かに、一般的には源泉掛け流しよりも、炭酸浴槽の方が競争力が高そうだ。

施設・温泉概要

住所: 神奈川県横浜市港南区芹が谷5-54-8
営業時間: 平日9:00〜26:00, 土日祝7:00〜26:00, 受付25:30まで, 年中無休
公式サイト: 極楽湯 横浜芹が谷店トップページ
日帰り入浴のみ

源泉名: 芹ヶ谷温泉 自然の湯
湧出量: 221 L/分 (掘削1,500m・動力揚湯)
泉温: 37.4℃
pH: 8.2
成分総計: 3.259 g/kg
泉質: ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物温泉 (低張性・弱アルカリ性・温泉)

施設について

建物は、スーパー銭湯的な和風の外装。

極楽湯 横浜芹が谷店 入口
↑ 写真: 極楽湯 横浜芹が谷店 入口

極楽湯 横浜芹が谷店 料金
↑ 写真: 極楽湯 横浜芹が谷店 料金

極楽湯 横浜芹が谷店 券売機
↑ 写真: 極楽湯 横浜芹が谷店 券売機

券売機でチケットを購入する。大人料金は平日800円、土日祝950円で、関東のスーパー銭湯としてはまあ標準的か良心的な価格設定。買ったチケットをカウンターで渡して入館するとき、新型コロナウィルス感染症の対策で体温を測った。

中に入るとまず大きな食事処や大きな休憩所があった。さらに進むと、綺麗な廊下があって、その先が浴場。

極楽湯 横浜芹が谷店 廊下
↑ 写真: 極楽湯 横浜芹が谷店 廊下

なぜか写真をほとんど撮らなかったようで、館内の記憶が曖昧。

温泉の利用方法と浴感

温泉を使用した浴槽は、内湯に1つ (自然の湯)、露天風呂に5つ (岩風呂ぬる湯, 岩風呂あつ湯, 壺風呂, 寝湯, 黒湯炭酸泉)。

内湯は長方形で6人位が入浴できる大きさだが、一番人気が無かった。浴槽脇の湯口からは、間歇的に大量の湯が投入されていた。量が多すぎるので循環湯だろう。

露天風呂のぬる湯は岩を配置した細長い形状で、一番大きい10人サイズ。湯は、湯口から少し出ているのと、浴槽内底面からの注入があった (と記憶)。温度は40℃くらいでぬるめ。あつ湯は少し高くなったところにある浴槽で、2人から3人までなら入浴できそうな程度で小さめの岩風呂。温度は42℃くらい。湯口らしき口が浴槽横に設置されていたが、完全に沈黙しており、入浴中全く仕事をしていなかった。やはり露店岩風呂は入浴している人が多かった。

壺湯は1人用のものが3個。それぞれに木樋が設置され、湯が注がれている。ただ樋はやけに短く、投入される湯が浴槽に届くか届かないか位しか長さが無いため、大半の湯は壺の縁から外に溢れ落ちてしまっていた。もったいない。見える湯口の他に壺の底に吸入口、注入口と思われる設備があった。温度が40℃程度とぬるめでゆっくり入浴することができた。

最後に、一番人気の黒湯炭酸泉。湯は黒湯の温泉へ人工的に炭酸を溶解させたもので、最近はスーパー銭湯系の施設でよく見かける。浴槽は概ね正方形で6人〜8人が入浴できる。

湯は茶褐色の濃い黒湯。自然の湯、岩風呂ぬる湯、壺湯では見通し5cmから10cmほどしか無かった。これは蒲田〜横浜の黒湯温泉地帯でも濃い方だと言える。岩風呂あつ湯だけはなぜか見通し50cmほどで他よりも透明になっており、その代わりに白い泡の浮遊があった。この違いの理由は不明。加水では無いと思うのだが。

温泉の利用方法は、どの浴槽も加温有り、加水無し、循環・濾過有り、塩素消毒有りと思われた。

壺湯の湯口から注がれる湯を手に掬って味わってみると、ほぼ無味だが僅かな甘みがあってなめらかな舌触り。黒湯ではお馴染の味である。

匂いははっきりとした植物系のモール臭。やや塩素消毒も匂いも混じって感じられた。

肌の感触はかなり強いヌルヌル。特に壺湯は非常に強いヌルヌルで、浴槽の中で身体が滑って同じ姿勢を保ちにくいほどだった。座っていられないほど滑る湯は黒湯温泉地帯でも他に例の無いものだ。重曹泉では塩素消毒を加えると余計に滑りがよくなることがある気がしている。この効果もあったかもしれない。温まりは意外にもそこそこの強いもので、のぼせてクラクラした。

私のおすすめは壺風呂だが、人気のある浴槽は黒湯炭酸風呂と水素風呂だった。水素風呂は温泉不使用のため興味の対象外。炭酸黒湯風呂には試しに入浴してみた。温泉の観点では、黒湯のヌルヌル感触は皆無で、特徴を感じるのは茶褐色の湯色くらい。最近の人工炭酸泉ほどの強い泡付きも無かったが、炭酸による肌の放熱感は明確に感じられた。

温泉の成分

温泉分析書は脱衣場の端に掲載されていた。見咎められたくないので人目の隙をついて撮影。ぼやけてしまった。

極楽湯 横浜芹が谷店 温泉分析書
↑ 写真: 極楽湯 横浜芹が谷店 温泉分析書

極楽湯 横浜芹が谷店 温泉分析書 拡大
↑ 写真: 極楽湯 横浜芹が谷店 温泉分析書 拡大

以下は自前のプログラムに分析書のデータを入力して、自動計算したもの。本物の分析書とは計算精度等の理由によりやや値が異なる場合があるかもしれない。

源泉名: 芹ヶ谷温泉 自然の湯
湧出地: 神奈川県横浜市港南区芹が谷五丁目464番地
分析年月日: 平成26年12月22日

湧出量 (未測定、掘削による動力揚湯)
pH 8.2
泉温: 37.4 ℃ (調査時における気温14℃)
泉質 ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物温泉 (低張性・弱アルカリ性・温泉)
溶存物質合計 (ガス性のものを除く) 3209.05 mg/kg
成分総計 3259.15 mg/kg

温泉の成分は以下の通り:

(1) 陽イオン
成分ミリグラム [mg/kg]ミリバル [mval/kg]ミリバル% [mval%]
リチウムイオン (Li+)0.060.010.03
ナトリウムイオン (Na+)867.7037.7495.84
カリウムイオン (K+)28.100.721.83
アンモニウムイオン (NH4+)8.100.451.14
マグネシウムイオン (Mg2+)1.200.100.25
カルシウムイオン (Ca2+)7.100.350.89
ストロンチウムイオン (Sr2+)0.050.000.00
マンガンイオン (Mn2+)------
鉄 (II) イオン (Fe2+)0.300.010.03
亜鉛イオン (Zn2+)0.020.000.00
陽イオン計91339.4100.00
(2) 陰イオン
成分ミリグラム [mg/kg]ミリバル [mval/kg]ミリバル% [mval%]
フッ素イオン (F-)0.800.040.10
塩素イオン (Cl-)450.9012.7231.45
臭素イオン (Br-)1.400.020.05
ヨウ化物イオン (I-)0.400.000.00
硫化水素イオン (HS-)------
硫酸イオン (SO42-)0.300.010.02
リン酸水素イオン (HPO42-)1.500.030.07
炭酸水素イオン (HCO3-)1685.027.6268.30
陰イオン計214040.4100.00
(3) 遊離成分
非解離成分:
成分ミリグラム [mg/kg]ミリモル [mmol/kg]
メタ亜砒酸 (HAsO2)----
メタケイ酸 (H2SiO3)144.101.85
メタホウ酸 (HBO2)12.000.27
非解離成分計156.102.12
溶存ガス成分:
成分ミリグラム [mg/kg]ミリモル [mmol/kg]
遊離二酸化炭素 (CO2)50.101.14
遊離硫化水素 (H2S)----
溶存ガス成分計50.101.14
(4) その他の微量成分
成分ミリグラム [mg/kg]ミリモル [mmol/kg]
総砒素 (As)0.0010.00
総水銀 (Hg)不検出 (0.0005 mg/kg未満)--
クロム (Cr)不検出 (0.02 mg/kg未満)--
鉛イオン (Pb)不検出 (0.01 mg/kg未満)--
カドミウムイオン (Cd)不検出 (0.005 mg/kg未満)--
微量成分計0.000.00

下記にも掲載しました。
芹ヶ谷温泉 自然の湯 - 湯花草子

周辺の温泉

周辺には数多くの黒湯温泉があるが、ほとんどが掘削深度は500m以下の浅いところから湧出する源泉を使用している。極楽湯は1,500mの掘削で、圧倒的に深い。

横浜市南区の温泉は大岡川沿いに集中している。大岡川周辺は谷状の地形になっており、かつては井戸ヶ谷付近まで海が入り込んでいたらしい (大岡湾)。

利世館

横浜市営地下鉄ブルーラインの伊勢佐木長者町駅近くの住宅地にある温泉銭湯。黒湯温泉を非循環で使っているらしい。今度行く。

住所: 神奈川県横浜市中区伊勢佐木町5-127
営業時間: 14:00〜23:15
神奈川県公衆浴場業生活衛生同業組合サイト: 利世館
日帰り入浴のみ

源泉名: 横浜温泉 伊勢佐木町温泉
湧出地: 神奈川県横浜市中区伊勢佐木町五丁目127番地24
湧出量: 不明 (掘削70m・動力揚湯)
泉温: 18.4 ℃
pH: 7.5
成分総計: 1.596 g/kg
泉質: ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物冷鉱泉 (低張性・弱アルカリ性・冷鉱泉)

永楽湯

横浜市営地下鉄ブルーラインの伊勢佐木長者町駅近くの住宅地にある温泉銭湯。渋い建物と濃い黒湯が良い感じ。もう一度行こうと思う。

住所: 神奈川県横浜市南区永楽町1-8
営業時間: 15:30〜24:00, 定休毎月6, 16, 25日
公式サイト: 横浜市南区永楽町1-8
日帰り入浴のみ

源泉名: 横浜温泉 永楽湯 黒湯
湧出地: 神奈川県横浜市南区永楽町1-8
湧出量: 不明 (掘削200m以上・動力揚湯)
泉温: 16.8℃
pH: 8.7
成分総計: 2,010 g/kg
泉質: ナトリウム-炭酸水素塩冷鉱泉 (低張性・アルカリ性・冷鉱泉)

過去の訪問: 2017/12/10

横浜天然温泉 くさつ

大岡川の谷から登って京急の井戸ヶ谷駅近くにある黒湯の温泉銭湯。銭湯だが建物が大きく、浴槽もたくさんあって快適。

住所: 神奈川県横浜市南区井土ヶ谷上町21-29
営業時間: 平日12:00〜13:00, 土日祝10:00〜23:00
神奈川県公衆浴場業生活衛生同業組合サイト: 横浜天然温泉くさつ
日帰り入浴のみ

源泉名: 横浜温泉 くさつ温泉
湧出地: 神奈川県横浜市南区井戸ヶ谷上町10番1
湧出量: (掘削135m・動力揚湯)
泉温: 18.9℃
pH: 8.4
成分総計: 1.524 g/kg
泉質: ナトリウム-炭酸水素塩冷鉱泉 (低張性・弱アルカリ性・冷鉱泉)

過去の訪問: 2020/2/9 横浜天然温泉くさつ

中島館

横浜市営地下鉄ブルーラインの弘明寺 (ぐみょうじ) 駅前の繁華街外れにある温泉銭湯。源泉水風呂や、真っ黒の露天風呂があり、かなり良い。

住所: 神奈川県横浜市南区中島町4-75
営業時間: 12:00〜24:00
公式サイト: 中島館
日帰り入浴のみ

源泉名: 横浜温泉
湧出地: 神奈川県横浜市南区中島町四丁目25番1
湧出量: 記載無し (掘削・動力揚湯)
泉温: 17.0℃
pH: 8.29
成分総計: 1.345 g/kg
泉質: ナトリウム-炭酸水素塩泉 (弱アルカリ性・低張性・冷鉱泉)

過去の訪問: 2017/10/22

黒湯天然温泉 みうら湯

京急グループのスーパー銭湯施設。横浜市南区では唯一のスーパー銭湯。未訪のため今度行ってみる。

住所: 神奈川県横浜市南区中里1丁目25-1
営業時間: 平日10:00〜23:00, 入場22:30まで, 土日祝10:00〜24:00, 入場23:30まで
公式サイト: 天然温泉みうら湯弘明寺店
日帰り入浴のみ

源泉名: みうら湯 弘明寺温泉
湧出地: 神奈川県横浜市南区中里1丁目206番地2
湧出量: L/分 (掘削150m・動力揚湯)
泉温: 18.9℃
pH: 8.33
成分総計: 1.449 g/kg
泉質: ナトリウム-炭酸水素塩冷鉱泉 (低張性・弱アルカリ性・冷鉱泉)

参考


  1. 店舗一覧 | 店舗数日本一の風呂屋|極楽湯 ↩︎