曇り 日帰り 1回目

富士乃湯は神奈川県横浜市港北区の綱島にある温泉銭湯。

鶴見の富士の湯とは異なる施設なので注意。
2019/3/11 富士の湯

歴史と周辺の温泉

綱島は横浜市東部を流れる鶴見川の下流にある地域である。
鶴見川は鶴見で東京湾に注いでいる。鶴見川沿いは綱島以外にもなぜか温泉施設が多く、下流からヨコヤマ・ユーランド鶴見、港北の湯等がある。単純に大型施設を建築するために都合がよかっただけかもしれない。

綱島は1914年に温泉が発見されてから、約80軒もの宿泊施設のある温泉街に発展したこともあったらしいが、3軒のみが営業している。綱島ラジウム温泉東京園には一度入浴してみたかったが、復活する希望は無さそうだ。

富士乃湯の他には温泉銭湯の太平館、大型日帰り入浴施設の綱島源泉湯けむりの庄がある。いずれの施設でも黒湯を利用しており、綱島源泉湯けむりの庄は見通し3cm程度の非常に濃い黒色の温泉である.

営業時間は15:30-23:30。
入浴料金は大人470円。東京都大田区、川崎、横浜地域の銭湯の標準的な金額である。

富士乃湯 入浴料金
↑ 写真: 富士乃湯 入浴料金

施設

施設は伝統的な銭湯の構造。
大きな浴室を中央で男湯・女湯に分割し、手前には洗い場、奥に浴槽が配置されている。
浴槽の上には巨大な壁画がある。ここの壁画は男湯・女湯にまたがって描かれた豪快なものである。壁画では流れる川が手前に流れているように描かれている。

壁画の下には水槽があり、ちょうど川の水面下が見えているかのようにしているのが面白い表現である。水槽では魚を泳がせている。

浴槽は一番内側にあるもののみが温泉を利用しており、3人から4人が入浴できる大きさ。

温泉の利用方法と五感

温泉は加温有り、加水有り、循環有り、消毒有りでの利用である。
湯は底面からジャグジーでの注入である。浴槽の上に出た湯口は無い。
湯は浴槽内で吸入しているが、まれにオーバーフローする。

温度は42℃くらい。

湯の見た目は黒湯。ほどほどに濃い黒色で透明度は20cmほど。若干の白い湯の花が浮遊していた。

浴感は、黒湯による僅かなツルツル感と、塩素消毒によるギシギシ感の両方を感じた。
それほど温まるわけでも無いが、やけにのぼせやすい泉質だった。

温泉浴槽にはカランが付けられており、ひねってみたところ透明な茶褐色の水が出てきた。これは源泉と思われる。

早速飲んでみると水の甘みが感じられた。意外と口に残る感じだった。
源泉であっても匂いは特に感じられなかった。

富士乃湯 温泉利用方法
↑ 写真: 富士乃湯 温泉の利用方法

温泉の成分

源泉名は「横浜温泉 (富士乃湯)」。
分析年月日は2019.11.18。湧出量は記載無し、pH 7.8、泉温17.8℃、溶存物質 (ガス性のものを除く) 1745mg/kg、成分総計1715mg/kg、泉質はナトリウム-炭酸水素塩冷鉱泉 (低張性弱アルカリ性冷鉱泉)。

成分は以下の通り:
陽イオンは
ナトリウムイオン (Na) 361mg/kg、
カルシウムイオン (Ca) 33.5mg/kg、
カリウムイオン (K) 29.4mg/kg、
総鉄イオン (Fe2+Fe3) 0.44mg/kg、
以下略、
計 439mg/kg。

陰イオンは、
炭酸水素イオン (HCO3) 1130mg/kg、
塩化物イオン (Cl) 25.3mg/kg、
以下略、
計 1156mg/kg。

遊離成分で非解離成分は、
メタけい酸 (H2SiO3) 86.4mg/kg、
メタほう酸 (HBO2) 3.82mg/kg、
計 90.2mg/kg。

ガス成分は、
二酸化炭素30.0mg/kg。

富士乃湯 温泉分析書
↑ 写真: 富士乃湯 温泉分析書

このあたりでは典型的な純重曹泉だが、鉄イオンやメタけい酸イオンに光るところがあると思う。

参考資料