曇り 1回目 日帰り
新湯治場 秋山温泉は、山梨県上野原市の公営の日帰り温泉施設。
上野原市は山梨県の最も東側に位置するが、その中でもさらに東端のすぐそば、旧秋山村の富岡地区にある。
東京都のあきる野市には秋川温泉というのがあり、エリアとして近い上に名前も似ているので紛らわしいが、秋山温泉と秋川温泉では全然違うので注意。秋山温泉が丹沢側で、秋川温泉が多摩側である。
この記事でレポートするのは秋山温泉。
丹沢山地北側の日帰り入浴施設
付近には温泉が点在しているので、ここでまとめておく。
藤野やまなみ温泉
秋山温泉から東京都側の県境を跨いで数kmの地点にある。物理的な距離は結構近いはずなのだが、国道20号線のすぐ近くの割には山の中を走ることになるため、夜暗くなってから走ると意外と遠く感じる。
数年前に訪ねたときには加温有り、循環有り、濾過有りだったと思ったが、今Webページを見てみると内湯が源泉かけ流し風呂と書かれている。再訪したい。
ふじの温泉 東尾垂の湯
2017年秋に温泉ポンプ故障により臨時休業に入り、残念ながらそのまま営業停止してしまったらしい。
温泉ポンプの故障により、平成29年9月9日より臨時休業とさせていただいておりました「ふじの温泉 東尾垂の湯」は、平成30年9月6日付をもちまして改めて長期休館 (営業停止) とさせていただくこととなりました。
臨時休業期間中は関係者各方面の方々のご協力を得ながら、営業再開に向け様々な復旧工事に注力してまいりましたが、平成30年7月末日におきまして、温泉復旧のための工事を継続することは極めて困難な状況にあることが最終判明し、早期の営業再開の目途が立たない状況となりました。
現時点のおいては今後の施設運営の方向性を見通すことができないことから、止む無く期限の定めのない長期休館 (営業停止) の決断となったものでございます。
ふじの温泉 東尾垂の湯 神奈川県 日帰り温泉 かけ流し湯 源泉100%! 藤野第1号
芭蕉月待ちの湯
山梨県道35号線を西側に進み都留市まで行くと日帰り入浴施設の芭蕉月待ちの湯がある。
都留市温泉 【芭蕉 月待ちの湯】公式サイト 温泉 山梨 都留市
源泉ぬる湯があるが、湯の投入量が少ないのと、(訪問時は) 桃の葉によるアレンジがあり、元々の源泉の個性は不明だった。
泊まれる温泉 より道の湯
2018年4月、大月駅前にオープンしたらしい。めでたい!
しかも源泉水風呂があるらしい。
大月市観光協会 Otsuki Tourism Association - 泊まる・日帰り - 山梨泊まれる温泉 より道の湯
宿泊も安いので、遠征後東京に戻る途中で力尽きた場合など使い勝手がよさそうだ。
鶴鉱泉つるや旅館
施設としてはまだ営業していそうだ。
以前徒歩で訪ねたが当然のようにやっていなかったので事前に電話が必要である。
金山鉱泉山口館
2019年3月末で閉館とのこと。
上野原、大月に鉱泉が点在しているのだが、主に高齢化により次々と廃業しているようだ。
湯立人鉱泉
現在休止しているとのこと。
2019年時点で90歳程のおばあちゃんが支えているという情報までは得られた。
大月市観光協会 Otsuki Tourism Association - 泊まる・日帰り - 湯立人鉱泉(現在休止しています)
日の出鉱泉
2018年より暫くの間休業しているらしい。再開がんばってほしい。
大月市観光協会 Otsuki Tourism Association - 泊まる・日帰り - 日の出鉱泉(現在休業中)
橋倉鉱泉
2012年に休館したらしい。
君恋温泉
2017年から休業しているらしい。
真木温泉
ここは元気に営業してそうに見える。
源泉と加温湯の2本を別の湯口で湯に注ぐタイプのようだ。
017 真木温泉 ② 掛け流し源泉水と加温湯 | カラダにいい水いい温泉 朝倉一善のブログ
ただし現在、日帰り入浴のみは受け付けていないらしい。
日帰り温泉プラン | 山梨の温泉旅館「真木温泉」 - 全室露天風呂付き客室の宿
源泉掛け流しぬる湯あり
さて、秋山温泉の話に戻る。
新湯治場 秋山温泉の施設は大型の公営スパ的なつくり。大きい浴場や食堂の他、なぜかプールが併設されている。
休憩室からプールが見えているのも面白い構造と思った。ただプールには興味が無いので本記事では触れない。
温泉の営業時間は10:00〜21:00、土曜、日曜日は9:00〜。
入浴料金は820円で場所の割には強気げな設定。17:00〜は510円でこっちは妥当な金額である。
昼間はたくさん人が来るのかもしれない。
今回、食堂でカレーを食べたが価格の割に量が少なくコストパフォーマンスに不満だった。
「秋山温泉の楽しみ方」というポエムがあったので転記して予習する。
文体と背景の写真のせいで誤解するが、堅実なことが書いてあるので読んでおけばためになるだろう。
自然豊かな山里と清流に、囲まれた日帰り温泉施設、新湯治場「秋山温泉」。
泉質は高アルカリ泉。pH9.8、毎分150L湧出、源泉温度は36度。
人肌に近いため体に負担は少なく、いつまでも入っていられる。
特に源泉掛け流し風呂や源泉掛け湯は、一切の加温も、加水もせず、温泉井戸からそのまま浴槽へ。
源泉掛け流しぬる湯の中で、30分から1時間入浴していると、体の芯からジワジワと温まり、湯上りの体は軽く感じられるはず。
高アルカリ泉は体の脂肪酸との反応で石鹸のように肌を洗浄してくれる。
入浴後のお肌はツルツルに甦る。
豊かな自然と温かい温泉で、身も心も癒されるはず。
浴場は男女別で、それぞれに水風呂、気泡風呂 (ジャグジー)、高温風呂、源泉風呂、露天風呂がある。
館内マップは実際の配置を正確に表現したものでなく、大体の配置や設備の種類を表現したもののようだ。変な図だ。
飮泉所もあったようだが、当日見逃してしまった。
源泉風呂は加水無し、加温無し、循環無し、塩素消毒無しのパーフェクト掛け流し。掛湯と、もちろん飮泉も同様にパーフェクトのようだ。
気泡風呂、高温風呂、露天風呂はいずれも加水無し、加温有り、循環有り、塩素消毒有り。
源泉ぬる湯にゆっくり入浴し安らぐ
源泉浴槽は細長い長方形の浴槽。幅は大人が足をのばしても余裕があった。
流さは12人くらいが横に並んで入浴できそうだった。
到着したころは少し混んでいたが、しばらく入っているうちに空いてきた。
湯口は細長い浴槽の一端にあった。
湯は湯面より下から注入されており、空気と一緒にボコボコと湯が上っていた。
湯量は一定でなく間歇的に変動し、投入量はあまり多くなさそうだった。
温度は37℃くらいでぬるい。
泉質はすっきりしており、味や匂い、肌触りに特徴は無い。湯の色も無い。ほんの少しのぬるぬるが唯一の温泉感。
素朴な湯であるためか、入浴中の疲れはほとんど無い。寝ながらダラダラと浸かり、ゆっくりと入浴する楽しさを存分に味わえた。新湯治場という名称を裏切らない湯と思う。
37.1℃の湯をそのまま使う、源泉掛け流しへのこだわりが大変にうれしい。
露天風呂は岩風呂。湯口は少し高い位置からジャボジャボと湯を注いでいる。
ごく僅かに塩素消毒の匂いらしき雰囲気を感じたが、無視できるレベル。
源泉ぬる湯と交互に入ると効果がありそうである。
ほぼほぼ強アルカリ性泉
源泉名は秋山雛鶴の湯。分析年月日は2019.1.9。湧出量は130L/分 (動力揚湯)、pH10.0、泉温37.1℃、溶存物質 (ガス状のものを除く) 392.5mg/kg、成分総計432.2mg/kg、泉質はアルカリ性単純温泉 (低張性-アルカリ性-温泉)。
成分は以下の通り:
陽イオンは、
ナトリウムイオン (Na) 72.7mg/kg 3.16mval/kg 65.97mval%、
カルシウムイオン (Ca) 32.1mg/kg 1.60mval/kg 33.40mval%、
以下略、
計 105.5mg/kg 4.79mval。
陰イオンは、
硫酸イオン (SO4) 203.1mg/kg 4.23mval/kg 71.94mval%、
メタけい酸イオン (HSiO3) 54.5mg/kg 0.71mval/kg 12.07mval%、
炭酸イオン (CO3) 16.9mg/kg 0.56mval/kg 9.52mval%、
塩化物イオン (Cl) 7.4mg/kg 0.21mval/kg 3.57mval%、
水酸化物イオン (OH) 1.7mg/kg 0.10mval/kg 1.70mval%、
以下略、
計 287.0mg/kg 5.88mval/kg。
遊離成分で溶存ガス成分は、
遊離二酸化炭素 (CO2) 39.7mg/kg 0.90mmol/kg、
以下略、
計 39.7mg/kg 0.90mmol/kg。
上記のポエム当時はpH9.8だったようだが、最新の分析ではアルカリ性が少し強くなり10台になったようだ。このクラスで源泉掛け流し浴槽がある施設は多くない。
アルカリ性が強いのは多摩・秩父エリアか、甲府盆地の温泉っぽい。
一方で硫酸イオンが多いのは道志地域の温泉に似ており、ちょうど中間の温泉という感じの成分になっているようだ。
分析書としては、水酸化物イオンやメタけい酸イオンまで書かれており初めて見た。