日帰り, 1回目, 曇り, 2020年度中60湯目

全国展開するスーパー銭湯チェーンである極楽湯の和光店にやってきた。温泉は成分総計 10129 mg/kg の純食塩泉だが、腐植質を多く含んで黒湯のような特徴もあって面白い。ただ極楽湯は、湯の使い方には正直関心が無いようで勿体無く感じた。かなり混雑しているのと、露天風呂では大型テレビが主張してくるので落ち着かない。

施設・温泉概要

所在地: 埼玉県和光市白子1-7-6
Web: 極楽湯 和光店
日帰り入浴: 可 平日9:00-26:00, 土日祝7:00-26:00 (受付25:20まで)
宿泊: 不可

源泉名: 和光温泉 自然の湯
湧出地: 埼玉県和光市白子1-1968-1
湧出量: 417 ℓ/分 (掘削1000m・動力揚湯), 揚湯量 160 ℓ/分
泉温: 29.4 ℃
pH: 7.7
成分総計: 10,130 mg/kg (有機質含む)
泉質: ナトリウム-塩化物温泉 (高張性・弱アルカリ性・低温泉)
旧泉質名: 食塩泉 / 純食塩泉

一番良い浴槽の温泉利用方法:

加温 加水 循環 消毒

和光の地下 1,000 m から湧出する温泉

全国展開するお馴染のスーパー銭湯チェーン、極楽湯。私の中では非温泉のイメージが強いが、関東では13店舗のうち9店が温泉を使用している。実のところ温泉を使っている店舗の方が多い。

以前調べた自分のメモによると下記の通り:

極楽湯は全国展開しているスーパー銭湯でどこにでもある印象があるが、その中心は関東、東北であり、大阪以西では宮崎に1店舗あるのみである (中国店舗は除く)。温泉を使用している店舗は少なく、一番多い関東でも、茨城1店舗、栃木1店舗、埼玉4店舗、東京2店舗、神奈川1店舗の計9店舗しかない。

今回訪れた極楽湯和光店は温泉を使用しており、埼玉県内の4店舗のうちの1つだ。

2020/6/14 極楽湯 横浜芹が谷店
神奈川県内の極楽湯で唯一温泉を使用する「極楽湯 横浜芹が谷店」

極楽湯和光店があるのは、その名の通り埼玉県の和光市。埼玉県南西部の市で東京都の練馬区に面している。位置は都営大江戸線の最終駅である光が丘駅から2km、東京メトロ有楽町線、副都心線の地下鉄成増駅からは徒歩1.5kmほどの距離。徒歩で向かうには便利とは言い難いものの、まあ散步気分なら十分に行けるだろう。すぐ200m南に東京都と埼玉県の県境があるが、白子川を県境にすればわかりやすいのに、それを飛び越えて謎の境界線になっている。

極楽湯和光店 正面
⬑ 和テイストな建物

建物の外観はやや和風感のある大型の造りで極楽湯らしいタイプ。
入口の右側、看板の下の岩では温泉らしき湯が流れていた。

極楽湯和光店 入口
⬑ 入口の横には湯が流されていた

温泉の紹介
⬑ 正面の掲示を拡大。1000mの掘削により湧出した

天然温泉 極楽湯

北部に雄大な荒川が流れる武蔵野台地、和光。
この地下、壱千余メートルの底から
数千年の間、静かに眠り続けた自然の恵みが良質の温泉となって湧き出しました。
台地のエネルギーを吸収した、無限の可能性を秘めたこの湯を
心ゆくまでご堪能ください。

天然温泉
⬑ 入口通路には温泉の概要も掲示。160 ℓ/分はやや心細い

券売機と料金表
⬑ 券売機で入浴券を購入し、フロントで渡す

館内1階
⬑ 浴場は2階

男湯入口
⬑ では浴場へ

モール臭香る褐色の温泉

温泉を使った浴槽は、内湯の「天然湯」、露天風呂「露天檜風呂」「露天岩風呂」の3つ。浴槽の名前は お風呂のご紹介 を参考にした。

内湯「天然湯」は窓と袋状の壁に囲まれた四角形の浴槽で、10人強が足を伸ばして入浴可能できる大きさ。窓側中央の湯口から褐色の湯が常にジャバシャバと注がれている。湯は加温有り、加水無し、循環有り、塩素消毒有りの利用で、オーバーフローは少しだけある。他の人が入浴していたので探せなかったが、どこかに浴槽内吸入があるはずだ。

露天風呂は石と木を活用して秘湯風。右手側の大きい浴槽が「露天檜風呂」、比べて少し小さい左手側の浴槽が「露天岩風呂」。露天檜風呂はその名の通り檜の浴槽で10人サイズの長方形。大きなテレビが設置されており混んでいた。テレビに背を向ける側は空いているものの、テレビの真下に座ることになるので音がうるさい。浴槽の角には湯口があって褐色の湯が注がれていた。おそらく循環湯で、浴槽内吸入、注入とセットで利用されている。岩風呂は6人サイズだが、常に満員で入浴して浸かれなかった。

露天風呂は薄暗いので、温泉について考えるならば内湯が適す。湯の色は黒寄りの茶褐色で、水面付近は褐色が薄くなってグラデーションになっている。色はとても濃くて見通しは5cm程しかなく、醤油を思わせる不透明さ。

湯口から注がれる湯を少しだけ舐めてみたが無味だった。循環と思われるので少量だけ賞味した。匂いははっきりとした腐植質のモール臭が感じられた。微かに独特の芳香が混じっていたが、沃素か、臭素か、あるいは塩素消毒臭か、判然としなかった。湯から上がった後で手を嗅ぐとほんのりとモール臭が染み込んで香った

湯の感触は明確なヌルヌルがあって温泉感があって良い。メタけい酸の効果と思われる。ただ塩素消毒のためかギシッとした肌触りもあった。湯の温度は40℃程に調整されており温い。温まりは強くなく、湯から上がるタイミングが決まらず延々と浸かり続けてしまう。しかしやはり成分総計 10g/kg を越える温泉であるから、長湯して上がるとかなりフラフラした。

そういえば内湯壁面の掲示に「腐食質」が含まれると書いてあるが勿論「腐植質」の間違いだ。

温泉の成分

館内に温泉分析書が大きく掲示されていた。

温泉分析書の掲示
⬑ 源泉名は和光温泉 自然の湯

成分表 拡大
⬑ 左側だけアップでも作成した

以下は自前のプログラムに分析書のデータを入力して、自動計算したもの。本物の分析書とは計算精度等の理由によりやや値が異なる場合があるかもしれない。

源泉名: 和光温泉 自然の湯
湧出地: 埼玉県和光市白子1丁目 1968-1
分析年月日: 平成25年8月13日

湧出量
(湧出地における湧出量) 417 L/分 ※掘削当時 (未測定、掘削による動力揚湯)
(実際の汲み上げ量) 160L/分

pH 7.7
泉温: 29.4 ℃ (調査時における気温30℃)
泉質 ナトリウム-塩化物温泉 (高張性・弱アルカリ性・低温泉)
溶存物質合計 (ガス性のものを除く) 10095.78 mg/kg
成分総計 10127.88 mg/kg

温泉の成分は以下の通り:

(1) 陽イオン
成分ミリグラム [mg/kg]ミリバル [mval/kg]ミリバル% [mval%]
リチウムイオン (Li+)0.300.040.02
ナトリウムイオン (Na+)3290.0143.1188.66
カリウムイオン (K+)98.702.521.56
アンモニウムイオン (NH4+)16.700.930.58
マグネシウムイオン (Mg2+)76.206.273.88
カルシウムイオン (Ca2+)169.308.455.23
ストロンチウムイオン (Sr2+)1.000.020.01
アルミニウムイオン (Al3+)0.080.010.01
マンガンイオン (Mn2+)0.400.010.01
鉄 (II) イオン (Fe2+)1.600.060.04
陽イオン計3654161100.00
(2) 陰イオン
成分ミリグラム [mg/kg]ミリバル [mval/kg]ミリバル% [mval%]
フッ素イオン (F-)0.300.020.01
塩素イオン (Cl-)5554.0156.6692.62
臭素イオン (Br-)26.000.330.20
ヨウ化物イオン (I-)6.100.050.03
リン酸水素イオン (HPO42-)0.600.010.01
炭酸水素イオン (HCO3-)736.2012.077.14
陰イオン計6323169100.00
(3) 遊離成分
非解離成分:
成分ミリグラム [mg/kg]ミリモル [mmol/kg]
メタケイ酸 (H2SiO3)107.301.37
メタホウ酸 (HBO2)10.800.25
非解離成分計118.101.62
溶存ガス成分:
成分ミリグラム [mg/kg]ミリモル [mmol/kg]
遊離二酸化炭素 (CO2)32.100.73
遊離硫化水素 (H2S)----
溶存ガス成分計32.100.73
(4) その他の微量成分
成分ミリグラム [mg/kg]ミリモル [mmol/kg]
総砒素 (As)不検出 (0.001 mg/kg未満)--
総水銀 (Hg)不検出 (0.0005 mg/kg未満)--
クロム (Cr)不検出 (0.02 mg/kg未満)--
鉛イオン (Pb)不検出 (0.01 mg/kg未満)--
カドミウムイオン (Cd)不検出 (0.005 mg/kg未満)--
微量成分計0.000.00

陽イオンはナトリウムイオン、陰イオンは塩化物イオンが大部分で、成分的には古代海水が薄められたような泉質。ただ腐植質のせいか色や匂い、感触は黒湯っぽい特徴を示している。せっかく泉温30℃もあるので、源泉掛け流しで浸かってみたい温泉だ。

下記にも掲載しました。
和光温泉 自然の湯 - 湯花草子