日帰り, 2回目, 晴れ, 2020年度中29湯目

調布弁天湯は、東京都大田区にある黒湯温泉を使った温泉銭湯。ちょっと古めのいかにも銭湯な感じの施設だが、浴場内に源泉冷鉱泉をそのまま使用した「温泉水シャワー」があってとても嬉しかった。一心にこれを浴びていたい。

浴室が印象的で、男女浴室を仕切る壁面に光点の散りばめられた絵がかかっている。この演出はここ以外では見たことがない。一度見たら忘れないだろう。男湯にはニューヨーク、ギャラクシーウォー、モナコの3枚があった。女湯には花、蝶、花火の3枚だったとのこと。前回訪ずれた2014年の時と変わらず発光していて安心した。

施設・温泉概要

所在地: 東京都大田区北嶺町10-11
Web: 大田区浴場連合会公式サイト | 調布弁天湯
日帰り入浴: 可 15:30-23:30
宿泊: 不可

源泉名: 御嶽山1号
湧出地: 東京都大田区北根町10−11
湧出量: 150 ℓ/分 (掘削90m・動力揚湯)
泉温: 17.5 ℃
pH: 8.4
成分総計: 415 mg/kg
泉質: 温泉法第二条の別表中に示されたメタケイ酸の項で温泉法の温泉に適合する

温泉の利用方法:

加温 加水 循環 消毒

源泉をそのまま利用した「温泉水シャワー」有り。

過去の訪問: 2014年

温泉

調布弁天湯は、東京都大田区にある黒湯の温泉銭湯。大田区地域では蒲田を代表として黒湯の温泉が湧出し、温泉を使った銭湯がたくさんある。調布弁天湯があるのは、その蒲田から出ている東急池上線で5駅乗った御嶽山駅のすぐ近くである。御嶽山駅とあるが、濁河温泉があるようなところではなく、完全な平地で標高は海抜20m程度しかない。駅前に御嶽神社という神社があるが、天保年間に御嶽山で修行した一山 (いっさん) 行者がこの地に庵を結んだことをきっかけに関東一円の御嶽信仰の中心地になったとのこと[1][2]。調布弁天湯の温泉は掘削なので、これらの歴史とはあまり関係が無いが、御嶽山神社から線路を跨いだ先の住宅地にひっそりとある。

調布弁天湯 外観
⬑ マンションの1階が銭湯になっているタイプ

調布弁天湯 入口
⬑ いつもの銭湯風景

温泉浴槽と浴感

温泉を使った浴槽は1つで、4人が入浴できそうな長方形。これだけの大きさがあれば、随分と広く感じる。浴槽の温度は43℃くらい。「衛生上の理由から、あまり水で埋めて温度を下げないで欲しい」という掲示があった。温度が下がると塩素消毒の効き目が弱くなるからだろうか。外気温が30℃近いせいもあり、浴室内の室温も高めで、あまりゆっくりと入浴できなかった。

浴槽の水面の外に出た湯口は無く、浴槽内のパイプと底面からの注入されていた。オーバーフローは無く、浴槽底面からの吸入。温泉の使用方法は加温有り、加水無し、循環有り、消毒有りと思われる。

浴槽上の壁面のちょうど良い按配の高さに温泉分析書が掲示されていて、入浴しながら眺められる。身体と頭が同時に満たされていい感じだった。

湯は薄い茶褐色で透明。浴槽の底ははっきりと見えた。入浴中の匂いは、ごく僅かにモール臭らしき匂いが香った気もしたが、基本的には無臭。肌触りは、ほとんどヌルヌルせず、あまり温泉らしい特徴は感じられなかった。浴槽脇にカランが取り付けられていたので捻ってみると源泉らしき冷水が出てきた。手で汲んで飲んでみると、やや甘みのあるとろっとした味覚。最初は金気が感じられたが蛇口設備のせいだろう。

風呂から上がるときに気付いたが、湯上がり用のシャワーでなんと源泉がそのまま利用されていた。暗記したものなので一部誤りがあるかもしれないが、以下のような掲示があった。数字は合っていると思う。

温泉水シャワー
黒いホースは、地下90mから汲み出した温泉水をそのまま出ています。水道水を混ぜてもいません。沸かしてもおらず、温度は17度前後です。飲用ではないため飲めません。

素晴しい!! ということで、さっそく冷たくして出してみると、ごく薄っすらと茶褐色を帯びた冷水が出てきた。飲むと黒湯らしい滑らかさはあるものの無味。なぜか、浴槽の源泉カランと同じく、こちらからも金気を感じた。匂いは無く無臭で、肌触りも特徴は感じられなかった。

なお浴場内には、飲用の普通の水飮み場もあったが、水がチョロチョロとしか出ない上に温く、真夏の温泉の体力回復にはちょっと力不足だった。

温泉の成分

温泉分析書が銭湯入口外に掲示されていた。

調布弁天湯 温泉分析書
⬑ 源泉名は御嶽山1号

同様の内容の分析書が施設内にも掲示されていた。

調布弁天湯 温泉分析書
⬑ 内容はA4縦のものと同じ

調布弁天湯 温泉分析書別表
⬑ これも同じ

以下は自前のプログラムに分析書のデータを入力して、自動計算したもの。本物の分析書とは計算精度等の理由によりやや値が異なる場合があるかもしれない。
源泉名: 御嶽山1号
湧出地: 東京都大田区北根町10−11
分析年月日: 平成23年10月17日

湧出量 150 ℓ/分 (掘さく・動力揚湯)
pH 8.4
泉温: 17.5 ℃ (調査時における気温24℃)
泉質 温泉法第二条の別表中に示されたメタケイ酸の項で温泉法の温泉に適合する
溶存物質合計 (ガス性のものを除く) 415.2 mg/kg
成分総計 415.2 mg/kg

温泉の成分は以下の通り:

(1) 陽イオン
成分ミリグラム [mg/kg]ミリバル [mval/kg]ミリバル% [mval%]
ナトリウムイオン (Na+)66.102.8866.06
カリウムイオン (K+)10.100.265.96
アンモニウムイオン (NH4+)1.500.081.83
マグネシウムイオン (Mg2+)9.100.7517.20
カルシウムイオン (Ca2+)7.800.398.95
アルミニウムイオン (Al3+)<0.1< td>----
マンガンイオン (Mn2+)<0.1< td>----
鉄 (II) イオン (Fe2+)<0.1< td>----
陽イオン計94.64.36100.00
(2) 陰イオン
成分ミリグラム [mg/kg]ミリバル [mval/kg]ミリバル% [mval%]
フッ素イオン (F-)0.300.020.46
塩素イオン (Cl-)6.200.173.94
硫化水素イオン (HS-)<0.1< td>----
硫酸イオン (SO42-)2.800.061.39
亜硝酸イオン (HNO2-)0.400.010.23
リン酸水素イオン (HPO42-)1.400.030.69
炭酸水素イオン (HCO3-)232.503.8188.19
炭酸イオン (CO32-)6.600.225.09
陰イオン計2504.32100.00
(3) 遊離成分
非解離成分:
成分ミリグラム [mg/kg]ミリモル [mmol/kg]
メタケイ酸 (H2SiO3)70.200.90
メタホウ酸 (HBO2)0.200.00
非解離成分計70.400.90
溶存ガス成分:
成分ミリグラム [mg/kg]ミリモル [mmol/kg]
遊離二酸化炭素 (CO2)<0.1< td>--
遊離硫化水素 (H2S)<0.1< td>--
溶存ガス成分計0.000.00
(4) その他の微量成分
成分ミリグラム [mg/kg]ミリモル [mmol/kg]
総砒素 (As)0.005未満--
総水銀 (Hg)0.0005未満--
銅イオン (Cu)0.05未満--
鉛イオン (Pb)0.05未満--
カドミウムイオン (Cd)0.01未満--
亜鉛イオン (Zn)0.01未満--
微量成分計0.000.00

下記にも掲載しました。
御嶽山1号 - 湯花草子

成分は全体的に少ないが、その中でメタケイ酸 70 mg/kg は中々の含有量だ。温泉水シャワーをもっと浴びれば、ツルツル感が得られたかもしれない。


  1. 由緒 - 大田区御嶽神社 ↩︎

  2. 一山行者 - 大田区御嶽神社 ↩︎