日帰り, 1回目, 雨後曇り, 2020年度中14湯目
「明日の湯」は仙台市北部の泉区根白石 (ねのしろいし) 地区にある日帰り入浴施設。根白石は仙台市民にとってシンボル的な山である泉ヶ岳の麓の地域である。ちなみに泉ヶ岳は約150万〜110万年前に活動した火山だ。
私が仙台に住んでいたときは「明日の湯」について聞いたことが無かったが、どうも地元と温泉ファンには湯の使い方の良さで評判を得ているらしい。今回、仙台を通りがかったので訪ねてみた。
施設・温泉概要
所在地: 仙台市泉区根白石新坂上34-10
Web: 無し
日帰り入浴: 可 10:00-22:00
宿泊: 不可
源泉名: 明日の湯
湧出地: 仙台市泉区根白石新坂上34-10
湧出量: 不明
泉温: 42.5 ℃
pH: 8.3
成分総計: 3939 mg/kg
泉質: ナトリウム-塩化物温泉 (低張性・弱アルカリ性・高温泉)
温泉の利用方法: 加温無し、加水無し、循環無し、消毒無し
施設について
雨の降る中、仙台市内をバイクで走ってきたが、泉区に着くころには止んでいた。既に都市は遠ざかり水田の占める割合が多くなってきた辺りが根白石である。R457の旧道に入って少し走ると、小さな看板があって「明日の湯」と書いてある。根白石幼稚園の隣に建つ黄色い施設が「明日の湯」である。温泉が湧出したのは平成になってからで、当時は幼稚園の庭に温泉が湧いたと話題になったとか、ならないとか。
↑ 黄色い外壁の温泉
玄関前の看板には次のように書かれている。
この温泉の泉質はナトリウム-塩化物泉 低張性アルカリ性高温泉 (旧泉質名/純食塩泉) で、泉温は分析時43.0℃、です。この温泉を利用した温泉療養の適応と禁忌は、次のよおりです。
(以下略)
建物に入り靴の脱ぐと廊下とも部屋ともつかない空間があって、そこでおばちゃんと何やらコミュニケーションして料金を払う。すぐ右手側の手前の戸が男湯で、その隣が女湯。戸を開けて入るとすぐに脱衣場だった。コンパクトな建物だ。
↑ 脱衣場も大きくない
上の写真では、右側が玄関に繋がる戸で、左側が浴室。奥に洗面台。背中側に脱衣籠のいくつか備えられた棚がある。
温泉浴槽と浴感
残念ながら貸切にならなかったので写真は無い。
浴室に入ると、目の前から左側にかけてタイル張りの浴槽が1つあり、温泉が張られている。浴槽の大きさは長方形で4人が足を伸ばして広々と入浴できる程度。右側にはシャワー、カランが4つほどあった。シャワーと浴槽の間には仕切りが立てられていて、簡易的に空間が分けられている。石鹸の泡が浴槽に入らないようにしているのだろうか。シャワーから出る湯も温泉だが、勢いがかなり弱く、シャンプーなどした時には流し切るのにやけに時間がかかった。
浴槽の角にはライオンの湯口があり、もちろん彼の軽く開かれた口の中から、温泉がザブザブと流れ出ていた。湯はそのまま反対側の溝より溢れてオーバーフローする、素朴な源泉掛け流し方式。
浴槽の湯の色は弱黄色透明で浴槽の底は明瞭に見えた。湯口から出る湯はほとんど無色透明。手で汲んで飲んでみると弱い塩味と芒硝の湯の味が感じられて美味しい。何度も飲んで楽しんだ。匂いはほぼ無臭だがわずかに塩スープの香りがあった。肌触りはややヌルヌルする感触があった。
湯自体は40℃程度でぬるめだが、夏なこともあってか、浴室内は換気が弱く蒸し暑かったために長くだらだら浸かるのは難しかった。それでも浴槽の横で入浴と休憩を延々と繰り返しながら長時間居座る湯治スタイルな客もいて、やはり地元では温泉に一定の評価を得ていることが伺えた。
↑ 湯をゆっくり楽しんで、上がった頃にはすっかり暗くなっていた
温泉の成分
温泉分析書は脱衣場の洗面台の頭上に掲げられていた。
↑ 入浴心得に温泉の成分も記載
↑ 成分表だけ拡大して再掲
以下は自前のプログラムに分析書のデータを入力して、自動計算したもの。本物の分析書とは計算精度等の理由によりやや値が異なる場合があるかもしれない。
源泉名: 明日の湯
湧出地: 仙台市泉区根白石字新坂上34-10
分析年月日: 平成21年10月30日
湧出量 記載無し
pH 8.3
泉温: 42.5 ℃
泉質 ナトリウム-塩化物温泉 (低張性・弱アルカリ性・高温泉)
溶存物質合計 (ガス性のものを除く) 3939.17 mg/kg
成分総計 3939.17 mg/kg
温泉の成分は以下の通り:
(1) 陽イオン
成分 | ミリグラム [mg/kg] | ミリバル [mval/kg] | ミリバル% [mval%] |
---|---|---|---|
リチウムイオン (Li+) | <0.1 | -- | -- |
ナトリウムイオン (Na+) | 1293.0 | 56.24 | 89.11 |
カリウムイオン (K+) | 20.00 | 0.51 | 0.81 |
アンモニウムイオン (NH4+) | 0.40 | 0.02 | 0.03 |
マグネシウムイオン (Mg2+) | 1.70 | 0.14 | 0.22 |
カルシウムイオン (Ca2+) | 124.30 | 6.20 | 9.82 |
ストロンチウムイオン (Sr2+) | <0.1 | -- | -- |
アルミニウムイオン (Al3+) | <0.1 | -- | -- |
マンガンイオン (Mn2+) | 0.10 | 0.00 | 0.00 |
鉄 (II) イオン (Fe2+) | <0.1 | -- | -- |
鉄 (III) イオン (Fe3+) | <0.1 | -- | -- |
亜鉛イオン (Zn2+) | <0.1 | -- | -- |
陽イオン計 | 1440 | 63.1 | 100.00 |
(2) 陰イオン
成分 | ミリグラム [mg/kg] | ミリバル [mval/kg] | ミリバル% [mval%] |
---|---|---|---|
フッ素イオン (F-) | 5.50 | 0.29 | 0.46 |
塩素イオン (Cl-) | 1912.0 | 53.93 | 85.74 |
水酸イオン (OH-) | 0.00 | 0.00 | 0.00 |
硫化水素イオン (HS-) | <0.1 | -- | -- |
硫化物イオン (S2-) | 0.00 | 0.00 | 0.00 |
チオ硫酸イオン (S2O32-) | <0.1 | -- | -- |
硫酸水素イオン (HSO4-) | 0.00 | 0.00 | 0.00 |
硫酸イオン (SO42-) | 375.20 | 7.81 | 12.42 |
リン酸水素イオン (HPO42-) | <0.1 | -- | -- |
炭酸水素イオン (HCO3-) | 14.00 | 0.23 | 0.37 |
炭酸イオン (CO32-) | 19.20 | 0.64 | 1.02 |
メタ亜砒酸イオン (AsO2-) | 0.00 | 0.00 | 0.00 |
メタケイ酸イオン (HSiO3-) | 0.00 | 0.00 | 0.00 |
メタホウ酸イオン (BO2) | 0.00 | 0.00 | 0.00 |
陰イオン計 | 2326 | 62.9 | 100.00 |
(3) 遊離成分
非解離成分:成分 | ミリグラム [mg/kg] | ミリモル [mmol/kg] |
---|---|---|
メタ亜砒酸 (HAsO2) | 0.40 | 0.00 |
メタケイ酸 (H2SiO3) | 54.50 | 0.70 |
メタホウ酸 (HBO2) | 118.60 | 2.71 |
非解離成分計 | 173.50 | 3.41 |
成分 | ミリグラム [mg/kg] | ミリモル [mmol/kg] |
---|---|---|
遊離二酸化炭素 (CO2) | 0.00 | 0.00 |
遊離硫化水素 (H2S) | <0.1 | -- |
溶存ガス成分計 | 0.00 | 0.00 |
(4) その他の微量成分
成分 | ミリグラム [mg/kg] | ミリモル [mmol/kg] |
---|---|---|
総砒素 (As) | 0.27 | 0.00 |
総水銀 (Hg) | <0.0005 | -- |
鉛イオン (Pb) | <0.01 | -- |
カドミウムイオン (Cd) | <0.002 | -- |
微量成分計 | 0.27 | 0.00 |
下記にも掲載しました。
明日の湯 - 湯花草子
一見ただの食塩泉だが、カルシウムイオン、硫酸イオン、そしてメタけい酸が多く、秋保温泉や作並温泉のような特徴がある。冒頭で泉ヶ岳は火山であると触れたが、やはり奥羽山脈が海底火山として活動していたころの火山堆積物に由来する部分がありそうに思える。