晴れ 日帰り 1回目

昨日は京ヶ島天然温泉温泉 湯都里に入浴した後、角渕キャンプ場で野営した。本日は引き続き温泉巡りということで、朝時から榛名山の西側を回り込んで移動し、尻焼温泉へやって来た。

尻焼温泉は川全体が温泉になっていることで有名な温泉。
長笹沢川の川底から54.8℃の温泉が自噴しており、堰堤で川の水の流量を調整することで入浴できるようにしている。

行ってみたところ、想像していたものよりずっと大きい川だった。幅、長さともに20〜30m程もあり、浴槽というより川そのものである。もっと人口的で狭い川をイメージしていた。湯ももっとレジャーっぽいチャラいものと思っていたが、大量の足元自噴に支えられた素晴らしい温泉だった。

なお、写真を一切撮影しなかったので、本記事はテキストオンリーでお送りする。思いの他面白かったので当日また後で訪れる積りで撮影しなかったのだが、そのまま結局戻ってこられなかった。

地理と歴史

温泉の起源に関する詳しい情報は見つけられなかったが、白根山の地熱で湧く温泉と思われる。白根山の噴火により一帯が溶岩で埋めたてられた後、長笹沢川の浸食により削られ掘り下げられたことで、温泉が湧き出している深さまで到達したのではないだろうか。長笹沢川の上流は辿っていくと、白根山の北東、標高1800m強の芳ヶ平に至る。芳ヶ平は強酸性の鉱泉が湧出し、酸性の環境下でも自生するチャツボミゴケが群生している。入浴してみたいが叶うことは無いだろう。

少し古い資料だが、第三紀における白根山の噴火により流出したとされる暮坂溶岩から露出しており、その中から湧出していると記述されていた。隣の花敷温泉も同様の泉温、泉質だという。

長笹沢川の上流、ガラン沢川にも温泉が湧いているところがあるという。調べたところだと、鯛ノ沢川の源流付近で右手側より流れてくる沢を少し登るとガラン谷温泉と呼ばれる温泉が自噴しており、泉温41℃、湧出量18ℓ/分とのこと。かつてはポリ浴槽が設置されていたが、その後六合地域でゴタゴタがあって撤去されてしまったらしい。また、草津峠の下、横手裏ノ沢や湯ノ花沢のあちこちで冷泉が湧いているようだ。

温泉地は嘉永7年 (1854年) には発見されていたらしい [^2]。

尻焼温泉には3軒の温泉旅館がある。また、隣接する花敷温泉にも1軒の旅館がある。

今度いずれかに宿泊してみたいものだ。

他に、野反湖方面に少し過ぎたところにもバーデ六合という医療施設があるが、ここは日帰り入浴のみ受け付けており宿泊はできない。温泉は尻焼温泉からの引湯。

温泉の利用方法と浴感

温泉は先述の通り川底から湧き出している。上流側の、山寄りが多く湧出しているようだ。広い川の中を歩いていると、時々足元から熱を感じた。ちなみに川の真ん中あたりでは深いところで160cm以上もあるので注意。そういうつもりでいかないとちょっと焦ってしまう。

今回訪ねたときは、旅館に引湯するためのパイプが2019年の台風19号で破損してしまったらしく、そこから大量の湯が浴槽に漏れ出していた。この下が一番熱く、かつ新鮮に思えたので、旅館の人には済まないが、せっかくなので源泉の前に居座って湯を楽しませてもらった。

パイプから流れ出る湯はかなり熱く触れない程。50℃に感じた。川に注がれるとあまり急激に温度が下がるため、近くに張り付いても十分入浴可能。何がいいって、この湯口の周りだけはっきりと玉子臭が漂っていた。鮮度が最高な状態でお邪魔した。

湯の色は無色透明。川底に緑色の (シアノ?) バクテリアが繁殖しているため、湯もそれを映してやや緑がかって見えた。匂いは無臭だが、新鮮な状態では弱く硫化水素の匂いがあった。無味。身体の温まりは弱く、すっきりした浴感。あまり暑くならないためか、多くの人がずっと入りっぱなしのようだった。

温泉の成分

源泉については詳しく書かないが、源泉名は「営林署源泉」、pH 7.9、泉温は54.6℃、成分総計は1450mg/kgで、泉質はカルシウム・ナトリウム-硫酸塩・塩化物泉 (低張性・弱アルカリ性・高温泉) とのこと。

おそらく胃腸に優しいタイプの温泉である。理由はわからないが、溶岩が露出しているような地形でこのような温泉が湧き出していることが多い気がする。

参考資料

尻焼温泉 | 六合の里温泉郷組合

[^1] 地質図幅説明書 草津, 通商産業技官 太田良平, 地質調査所, 昭和32年
[^2] 尻焼温泉 | 温泉の歴史ジャパン