曇り 日帰り 1回目
橘湯は神奈川県川崎市中原区の温泉銭湯。最寄り駅は東急東横線の元住吉駅か、JR南武線の平間駅。どちらから歩いても10分位の距離の住宅街の中にある。苅宿(かりやど) 小学校のすぐ南西の角から20m少しくらいのところにある。
昨年10月にも訪ずれているが、そのときは臨時休業で入浴出来なかった。代わりに矢向の矢向湯で入浴した。2019/10/5 矢向湯
また、たちばな湯という似た名前の温泉銭湯が高津区の千年地域にあるが、異なる施設。直線距離も数kmしか離れておらず、覚えるのが難しい。
地理と歴史
東京都南部の品川区、大田区から神奈川県川崎市、横浜市付近は黒湯重曹泉が多く湧き出す地域。
川崎付近では上総層群という地層が地下100m〜1500m程度まで存在しているとされる。これは200万年以上前の地層で、当時堆積した有機物が分解されて生じたCO2が地層中の成分と反応しNa-HCO3泉になったと考えられている。湯の色が黒いのは樹木の分解で生じた腐植質と呼ばれるフミン酸類によるものとされる。
橘湯は掘削深度は200mなので、この上総層群から汲み上げた湯を使っていると思われる。
橘湯の歴史については,平成11年にリニューアルしたという情報までは得られたが、それ以前のことはよくわからなかった。過去は別の場所にあったが移転してきた、というような情報もあった。
施設
橘湯の営業時間は 15:00〜22:50。夜は結構遅くまでやっているように思えるが、この辺りでは普通かむしろ早い方。
↑ 写真: 橘湯 看板
外観はきれい。銀色の屋号は少し変わっているかも。
↑ 写真: 橘湯 外観
↑ 写真: 橘湯 入口
温泉を使った湯は内湯と露天風呂がある。
内湯は浴室奥の右手、6人サイズ。一部は2階に登る階段の下に潜り込んでいて電気風呂になっている。その階段を登った先に露天風呂がある。これも6人サイズ。
温泉の利用方法と浴感
内湯、露天風呂ともに加温有り、循環有り、塩素有り、消毒有りで温泉を利用している。湯口は無く、全てジャグジーによる底面からの注入。オーバーフローは無い。塩素臭は特に感じられなかった。
浴槽の湯は黒色、不透明で見通しは20cm以下。まあまあ濃い色だ。
匂いは弱めのモール臭。肌触りはややヌルヌルした。
内湯浴槽の端の壁面にはカランがついており、捻ると源泉と思われる水が出てきた。茶色透明で麦茶のような色。味はやや甘くとろりとした舌触り。
源泉の成分
源泉名は「川崎温泉」、橘湯特定の名称は無し? 分析年月日は2017.5.29。湧出量 110L/分 (掘削200m, 動力揚湯)、pH 7.7、泉温 19.0℃、溶存物質 (ガス性のものを除く) 2173mg/kg、成分総計 2209mg/kg、泉質はナトリウム-炭酸水素塩・塩化物冷鉱泉 (低張性弱アルカリ性冷鉱泉)。
成分は以下の通り:
陽イオンは
ナトリウムイオン (Na) 566mg/kg 24.6mval/kg 87.51mval%、
マグネシウムイオン (Mg) 15.7mg/kg 1.29mval/kg 4.59mval%、
カルシウムイオン (Ca) 17.9mg/kg 0.89mval/kg 3.16mval%、
アンモニウムイオン (NH4) 12.2mg/kg 0.68mval/kg 2.40mval%、
カリウムイオン (K) 20.4mg/kg 0.52mval/kg 1.85mval%、
鉄 (II) イオン (Fe2) 2.98mg/kg 0.11mval/kg 0.39mval%、
以下略、
計 636mg/kg 28.1mval/kg。
陰イオンは
炭酸水素塩 (HCO3) 1074mg/kg 17.6mval/kg 63.51mval%、
塩化物イオン (Cl) 352mg/kg 9.93mval/kg 35.83mval%、
炭酸イオン (CO3) 4.11mg/kg 0.14mval/kg 0.51mval%、
臭化物イオン (Br) 1.30mg/kg 0.02mval/kg 0.07mval%、
フッ化物イオン (F) 0.11mg/kg 0.01mval/kg 0.04mval%、
メタケイ酸イオン (HSiO3) 0.58mg/kg 0.01mvla/kg 0.04mval%、
以下略、
計 1432mg/kg 27.7mval/kg。
非解離成分で遊離成分は
メタケイ酸 (H2SiO3) 58.5mg/kg 0.75mmol/kg、
メタホウ酸 (HBO3) 3.39mg/kg 0.08mmol/kg、
計 61.89mg/kg 0.83mmol/kg。
溶存ガス成分は、
遊離二酸化炭素 (CO2) 36.1mg/kg 0.82mmol/kg。
↑ 写真: 橘湯 温泉分析書
↑ 写真: 橘湯 入口