晴れ 日帰り 1回目
永岡温泉は岩手県南西部の胆沢郡金ヶ崎町の温泉旅館。湯口がとても印象的だった。
金ヶ崎は北上と水沢の間らへんにある地域である。
西側には標高1,548mの第四紀火山、焼石岳があるが、ここ数万年は活動が無いらしい。
付近では北上市の夏油温泉が最も有名だが、金ヶ崎町の属する胆沢郡だけでも数多くの温泉がある。
- 金ケ崎町: 金ケ崎温泉 寿の湯、千貫石温泉 湯元東館、サンピア金ケ崎
- 水沢市: 薬師堂温泉 珠玉の湯、石田温泉、胆沢川温泉 さくらの湯
- 衣川温泉: 黒滝温泉、国見平温泉 はごろもの湯
- 胆沢町: 焼石岳温泉 焼石クアパークひめかゆ、やけいし館、奥州胆沢温泉 瑞月 (旧すぱおあご)
- 前沢町: 前沢温泉 舞鶴の湯
全ての施設が日帰り入浴可能。
毎分720リットルの源泉かけ流し
永岡温泉も一軒宿だが、1階建ての広い施設でどちらかというと研修センターのような印象も受ける。
日帰り入浴の受付は6:00〜20:00で、退館時間は21:00。
国道4号線からもそれほど離れていない平野部にあり、営業時間も長いので使い勝手がよさそうだ。
案内に従って長い廊下を歩いていくと、浴場に到着する。
広いので帰りにルートがよくわからなくなった。
廊下の途中には源泉かけ流しであることを伝える掲示があり、気持ちが高まる。
源泉かけ流しとは?
加温無し (温度を上げてません)
加水無し (温度を下げてません)
循環無し (湧き出て来るがままに)
加塩無し (味付けしてません)地球からそのまま湧き出た純粋なお湯
毎分720リットル 43℃で湧き出る豊富な源泉
ナトリウム塩化物泉 (低張性中性高温泉)
源泉かけ流しとは非加熱、非加水、循環・消毒無しであるという。素晴らしい。
東京周辺の、消毒かけ流しとか加熱かけ流しとかなのにかけ流しを謳う温泉施設は、この姿勢を見習ってほしい。
廊下の最後には脱衣場の入口ののれんが現われる。
浴場は男女別で、それぞれに内湯のみである。
内湯には15人サイズの多きな浴槽と、2人分のジェットバス、そして微妙に別室っぽくなっているところに4人サイズの小さい檜浴槽があった。
小さな滝のような湯口
浴室に入るとドドドと湯の流れにしては大きすぎる音が聴こえてきた。右手側は洗い場、左手側には大浴槽があるが、大浴槽の一角にカーテンらしきものがかかっており、音はその向こうから聞こえてくるようだ。
身体をざっと流して浴槽に入り、カーテンの裏側を覗き込むとやっとその正体が判明した。そこから頭上、湯面より2メートル位の高さに太いパイプが飛び出しており、湯が浴槽に注ぎ落とされていた。その湯量が大変に多いため滝のようになり、大きな音を上げているのである。その勢いは入浴施設というよりは滝や農業水利の何かのようであった。
湯は粘土臭のナトリウム-塩化物泉
湯の色は茶色透明。
飲むとうっすらと塩味で、土っぽい味覚もあった。
匂いは粘土の香りと、それに混じって鉄のような金気臭があった。
湯の鮮度の高さが知覚しやすさに繋がっているんじゃないだろうか。よくあたたまる湯だった。
源泉名は永岡温泉2号泉、分析年月日は2017.7.26。
湧出量は記載無し、pHは7.1、泉温43.6℃、溶存物質 (ガス性のものを除く) 3112 mg/kg、成分総計 3169 mg/kg。泉質はナトリウム-塩化物温泉 (低張性中性高温泉)。
湧出量は分析書に記載が無いが、館内の掲示には 720 リットル/分とあった。潤沢な湯量である。
成分は以下の通り:
陽イオンは多い順に
ナトリウムイオン (Na) 903.5mg/kg 39.30mval 87.82mval%、
カルシウムイオン (Ca) 50.3mg/kg 2.51mval 5.61mval%、
マグネシウムイオン (Mg) 18.5mg/kg 1.52mval 3.40mval%、
カリウムイオン (K) 47.2mg/kg 1.21mval 2.80mval%、
アンモニウムイオン (NH4) 2.1mg/kg 0.01mval 0.25mval%、
リチウムイオン (Li) 0.4mg/kg 0.05mval 0.11mval%、
総鉄イオン (FeII+FeIII) 0.5mg/kg 0.03mval 0.07mval%、
以下略、
計 1024mg/kg 44.75mval。
陰イオンは多い順に、
塩化物温泉 (Cl) 1358mg/kg 46.65mval 82.10mval%、
炭酸水素イオン (HCO3) 505.4mg/kg 8.28mval 17.75mval%、
臭化物イオン (Br) 4.5mg/kg 0.06mval 0.13mval%、
以下略、
計 1869mg/kg 46.65mval。
遊離成分で非解離成分は、
メタけい酸 (H2SiO3) 178.1mg/kg 2.28mmol、
メタほう酸 (HBO2) 41.2mg/kg 0.94mmol、
計 219.3mg/kg 3.22 mmol。
溶存ガス成分は、
遊離二酸化炭素 57.0mg/kg 1.30mmol、
計 57.0mg/kg 1.30mmol。
パッと見は普通の食塩泉のように見えるが、鉄イオンやメタけい酸、遊離二酸化炭素が多い特徴がある。