晴れ 宿泊 1回目
水沢温泉は秋田県仙北市、田沢湖から乳頭温泉郷方面へ行く途中にある。知名度で言えば乳頭温泉に及ばないが、地元民にはとても好まれている温泉だという。
水沢温泉は隣の駒ケ岳温泉は合わせて水沢温泉郷ともよ呼ばれるらしい。
これまで乳頭温泉の往復の度に気になっていたのだが、今回ふるさと納税で仙北市に寄付を行い、返礼として水沢温泉 元湯水沢山荘の宿泊券を得て入浴してきた。
今回、仕事の都合であまりゆっくりできなかったので、また訪れたい。
水沢山荘は宿泊専門の施設であるので、風呂は宿泊客しか入浴できない。しかし隣に同じ経営の露天風呂水沢温泉という施設があるのでこちらになら入ることができる。源泉はたぶん同じ。露天風呂水沢温泉にはもちろん宿泊客も入浴することができ、水沢山荘の浴衣を着ていくかルームキーを提示すると無料で入浴できるらしい。しかしちょっと別の用に妨げられて時間が足りず入れなかった。悔しい。
秋田駒ヶ岳山麓の温泉天国
水沢温泉は、奥羽山脈の火山である秋田駒ケ岳の麓に位置し、付近に駒ケ岳を熱源とすると思われる温泉が数多くある。
近辺だけで駒ケ岳温泉、田沢湖高原温泉、休暇村乳頭温泉郷、妙乃湯、大釜温泉、蟹場温泉、黒湯温泉、孫六温泉、鶴の湯温泉がある。黒湯温泉の裏手には野湯が多数あり、一本松温泉たつこの湯の他、国土地理院地図に数多くの温泉マークが書かれている。
他にも、国土地理院地図によると、駒ケ岳温泉から水沢川を遡った先にも温泉マークが書かれているのを見つけた。しかしインターネットでは情報見つからなかったのでいずれ行ってみたい。
大浴場並に大きい貸切風呂
水沢山荘には男湯、女湯と貸切家族風呂がある。
貸切露天風呂には絆の湯という名前が付けられている。入浴するために予約等は不要で、空いていたらいつでも利用してよい方式。
一般的な旅館の家族風呂と異なり、ここの家族風呂はとても大きいのが特徴的。普通の男湯、女湯としても何ら遜色がない大きさで、内湯と露天風呂もある。
内湯は6人がゆったり入れるサイズ、露天風呂は8人は入浴できるだろう。露天風呂はなぜか深さ1mもある。
露天風呂の横には謎の中庭があり、これも何の為か分からないが広い。
貸し切っちゃっていいのか考えてしまうほど大きい貸切風呂である。
大量の湯を湛える大浴場
男湯、女湯にもっと大きい大浴場があり、それぞれに、8人サイズの内風呂と、20人以上のサイズの露天風呂がある。
露天風呂はこちらも1mの深さがある。
入浴してわかったが、なぜ浴槽の深さが1mもあるのかというと、浴槽内の段差に腰掛けるとちょうど足が着くくらいになっているようだ。良い設計だ。ただ身長にもよるだろうが、座ると少し肩が出るので真冬は少し寒そうだ。
男女の露天風呂は何故か一番奥の端で繋がっており、縦の棒で往来を阻んでいるのみである。秋田らしいおおらかさ、ということにする。
露天風呂は広さもさながら深さもあるため、かなりの容積を持つと思われる。これだけの容積の浴槽を新鮮な湯で保つためには、大量の湧出量が必要だろう。水沢温泉の源泉湧出量は毎分1000リットルとのこと。
新鮮さの感じられる湯
湯は鮮やかな透き通った水色でやや白っぽい。
露天風呂では浴槽の湯がコバルトブルーに輝き神々しい。
透明度は高く浴槽の底まではっきりと見えた。
白い湯の花も舞っているがそこまで高密でない。
浴槽の底には白い沈殿あり。写真で熊手状に跡がついているのは私が引っ掻いたもの。溶けやすく粒の細かい湯の花。
飲んでみると、硫黄系の毒味と少しの酸味があった。グイグイ飲める感じではないが、飲み切るのが辛いほどでもない。
匂いは硫化水素の刺激臭。過激な匂いではないが、十分に強くはっきりとしている。
湯は個性的な味付けながら清涼感があり、鮮度の高さを感じた。
個性的な成分の源泉
全ての浴槽で源泉は同じ。
源泉は水沢1号、2号、3号、4号の混合泉。分析年月日は2016.10.5。
湧出量は記載無し、pH6.3、泉温57.0℃、溶存物質 (ガス性のものを除く) 1911mg/kg、成分総計2194mg/kg、泉質は含硫黄-カルシウム・マグネシウム・ナトリウム-硫酸塩・炭酸水素塩温泉 (硫化水素型) (低張性中性高温泉)。
陽イオンは、
カルシウムイオン (Ca) 179.0mg/kg 8.93mval 37.79mval%、
マグネシウムイオン (Mg) 89.0mg/kg 7.32mval 30.98mval%、
ナトリウムイオン (Na) 133.8mg/kg 5.82mval 24.62mval%、
アンモニウムイオン (NH4) 13.9mg/kg 0.77mval 3.26mval%、
カリウムイオン (K) 27.4mg/kg 0.70mval 2.96mval%、
マンガンイオン (Mn) 2.2mg/kg 0.08mval 0.34mval%、
ストロンチウムイオン (Sr) 0.4mg/kg 0.01mval 0.04mval%、
以下略、
計 445.7mg/kg 23.64mval。
陰イオンは、
硫酸イオン (SO4) 621.7mg/kg 12.94mval 55.79mval%、
炭酸水素イオン (HCO3) 441.4mg/kg 7.23mval 31.18mval%、
塩化物イオン (Cl) 104.8mg/kg 2.95mval 12.72mval%、
硫化水素イオン (HS) 1.5mg/kg 0.05mval 0.20mval%、
チオ硫酸イオン (S2O3) 1.0mg/kg 0.02mval 0.08mval%、
以下略、
計 1170.8mg/kg 23.20mval。
遊離成分で非解離成分は、
メタケイ酸 (H2SiO3) 289.0mg 3.7mmol、
以下略、
計 294.7mg 3.83mmol。
溶存成分は、
遊離二酸化炭素 (CO2) 274.3mg 6.23mmol、
遊離硫化水素 (H2S) 8.8mg 0.26mmol、
計 293.1mg 6.49mmol。
やけに長い泉質名である。硫黄成分が強い中性泉なので火山性塩化物泉の仲間と思われるが、それにしてもカルシウムイオン、マグネシウムイオンが多く珍しい湯だと思う。
メタケイ酸を300g弱も含んでおり、これもかなり多い部類。