晴れ 日帰り 1回目

松川温泉は八幡平を岩手県側より上るルートの途中にある。八幡平を上るルートには岩手県道23号 (八幡平アスピーテライン) と岩手県道318号 (八幡平樹海ライン)の2つがあるが、松川温泉があるのは後者の道路沿い。

八幡平樹海ラインに隣接する源泉としては、中腹には太古の息吹という93℃の温泉湧出口、峠頂上付近には藤七温泉彩雲荘がある。また、彩雲荘の裏には彩雲荘の所有する野湯があるらしい。今回は時間が足りなかったので入浴しなかった。

松川温泉では、国土地理院地図には4箇所の源泉が描かれており、温泉宿3軒と松川地熱発電所で利用している。温泉宿は峡雲荘 (源泉: 新駒鳥の湯、新駒鳥の湯1、新駒鳥の湯2)、松川荘 (源泉: 鶺鴒の湯、新湯)、松楓荘 (源泉: 桜の湯) がある。松川地熱発電所では発電タービンを回したあと冷却によりできた温泉水を東八幡平温泉へ引き湯し、マグマの湯として利用しているとのこと。

男女別の浴室と混浴露天風呂

峡雲荘は松川温泉で最も上流にある温泉旅館。日本秘湯を守る会の会員である。施設は2006年にリニューアルされたらしく、モダンな外観だった。

峡雲荘 正面

フロントも広く綺麗である。

峡雲荘 フロント

浴場は男女別であるが、混浴露天風呂もある。
男湯には内湯のみで、露天風呂は混浴である。女湯は内湯の他、専用の露天風呂があるらしい。まあ合理的な設計。混浴露天風呂は普通に男しかいなかった。

以下は男湯の脱衣場から内湯を見た写真。露天風呂は左側の窓の向こうに配置されている。

峡雲荘 浴室入口

緑がかった白濁の硫黄泉

内湯は15人サイズの大きい浴槽が1つ。四角形の一部を削り取ったような形状。

湯の温度は42℃くらいで適温。湯口からは熱い透明な湯が注がれている。触れない程ではないので44℃くらいか。源泉は60℃程度のため、加水により温度を調整していると思われる。

湯は白く濁っていて少し緑がかっている。見通しは10cm未満で浴槽の底は全く見えない。

飲んでみると薄いレモンのような酸味。少しだけ硫化水素の毒のような味があった。

匂いはムワッとする卵臭。

混浴露天風呂は岩風呂で、岩を利用した複雑な形になっていた。10人以上は入浴できるやはり広い浴槽。

内湯と比べて白い濁りが濃くなっていた。
浴槽に注がれる前に加水されているほか、気温による冷却も相まって湯の花が多く生成されているようだ。
浴槽の温度は39度くらいで、寝られるくらいぬるい。

内湯と露天風呂を交互に利用すれば無限に入浴できそうだ。

加水に使っている水は源太岳から流れる水と思われる。松川温泉の施設で使う水は全て源太岳のもの、とのこと。

露天風呂の脇で立つと、川の向こうに松川地熱発電所の大きな円柱が見える。かっこいい。湯から出て休む時は発電所を眺めたらいいだろう。

次回訪れたら見学に行ってみたいと思う。

なおかっこいい円柱は冷却塔であり、発電タービンを回したあとの蒸気を冷やし、タービンを回す効率を下げない役割がある。

3つの源泉

源泉は3種類あるのでそれぞれ書き起こす。全て分析年月日は2018.12.27。湧出量は記載無し。

新駒鳥の湯1

pH5.4、泉温62.2℃、溶存物質 (ガス性のものを除く) 66mg/kg、成分総計219mg/kg、泉質は単純硫黄温泉 (硫化水素型) (低張性弱酸性高温泉)。

陽イオンは
カルシウムイオン (Ca) 6.40mg/kg 0.32mval 53.33mval%、
マグネシウムイオン (Mg) 1.7mg/kg 0.17mval 23.33mval%、
ナトリウムイオン (Na) 2.8mg/kg 0.12mval 20.0mval%、
カリウムイオン (K) 0.3mg/kg 0.01mval 1.67mval%、
以下略、
計11mg/kg 0.6mval。

陰イオンは
炭酸水素イオン (HCO3) 20.0mg/kg 0.30mval 55.0mval%、
硫酸イオン (SO4) 6.7mg/kg 0.14mval 23.33mval%、
塩素イオン (Cl) 1.70mg/kg 0.05mval 8.33mval%、
硫化水素イオン (HS) 0.6mg/kg 0.02mval 3.33mval%、
チオ硫酸イオン (S2O3) 1.1mg/kg 0.02mval 3.33mval%
以下略、
計30mg/kg 0.6mval。

遊離成分で溶存ガスは
遊離二酸化炭素 (CO2) 127mg 2.89mmol、
遊離硫化水素 (H2S) 26mg 0.76mmol、
計153mg 3.65mmol。

峡雲荘 新駒鳥の湯1 温泉分析書

新駒鳥の湯

pH5.0、泉温54.7℃、溶存物資 (ガス性のものを除く) 64mg/kg、成分総計488mg/kg、泉質は単純硫黄泉 (硫化水素型) (低張性弱酸性高温泉)。

陽イオンは
カルシウムイオン (Ca) 6.40mg/kg 0.32mval 53.33mval%、
マグネシウムイオン (Mg) 1.7mg/kg 0.17mval 23.33mval%、
ナトリウムイオン (Na) 2.8mg/kg 0.12mval 20.00mval%、
カリウムイオン (K) 0.3mg/kg 0.01mval 1.67mval%、
以下略、
計11mg/kg 0.6mval。
新駒鳥の湯1とピッタリ同じ。

陰イオンは
炭酸水素イオン (HCO3) 22.0mg/kg 0.36mval 60.00mval%、
硫酸イオン (SO4) 5.6mg/kg 0.12mval 20.00mval%、
塩素イオン (Cl) 1.70mg/kg 0.05mval 8.33mval%、
硫化水素イオン (HS) 0.6mg/kg 0.02mval 3.33mval%、
チオ硫酸イオン (S2O3) 1.1mg/kg 0.02mval 3.33mval%
以下略、
計30mg/kg 0.6mval。

遊離成分で溶存ガスは
遊離二酸化炭素 (CO2) 399mg 9.07mmol、
遊離硫化水素 (H2S) 25mg 0.73mmol、
計424mg 9.80mmol。

峡雲荘 新駒鳥の湯 温泉分析書

新駒鳥の湯2

pH5.3、泉温67.4℃、溶存物質 (ガス性のものを除く) 61mg/kg、成分総計229mg/kg、泉質は単純硫黄泉 (硫化水素型) (低張性弱酸性高温泉)。

陽イオンは
カルシウムイオン (Ca) 6.3mg/kg 0.31mval 51.67mval%、
ナトリウムイオン (Na) 2.8mg/kg 0.12mval 20.00mval%、
マグネシウムイオン (Mg) 1.7mg/kg 0.14mval 23.33mval%、
カリウムイオン (K) 0.3mg/kg 0.01mval 1.67mval%、
以下略、
計11mg/kg 0.6mval。

陰イオンは
炭酸水素イオン (HCO3) 18mg/kg 0.29mval 58.00mval%、
硫酸イオン (SO4) 6.6mg/kg 0.14mval 28.00mval%、
塩素イオン (Cl) 1.7mg/kg 0.05mval 10.00mval%、
硫化水素イオン (HS) 0.5mg/kg 0.02mval 4.00mval%、
チオ硫酸イオン (S2O3) 1.4mg/kg 0.02mval 4.00mval%、
以下略、
計28.0mg/kg 0.5mval。

遊離成分で溶存ガスは
遊離二酸化炭素 (CO2) 143mg 3.25mmol、
遊離硫化水素 (H2S) 25mg 0.73mmol、
計168mg 3.98mmol。

峡雲荘 新駒鳥の湯2 温泉分析書

こうしてみると旧駒鳥の湯はどういうものだったか気になるのだが、残念ながらインターネット上では情報を見つけられなかった。

峡雲荘 温泉法十四条第一項の規定による掲示

峡雲荘 温泉分析表

https://www.kyounso.jp/
松川温泉峡雲荘