宿泊 1回目 晴れ

今回なんとなく勢いだけで京都に来たわけだが、温泉ファンとしてあるまじきことに、温泉巡りをするあてはあまり無かった。そこで困ったのが宿泊先である。せっかく温泉に宿泊するならば源泉掛け流しか、それに近い湯の使い方の良い宿に泊まりたい。夜から朝まで何度も入浴するため、日帰り入浴と比べると入浴時間が長くなるため飽きない湯が良い。

しかし京都付近はただでさえ温泉の極めて少ない地。宿泊日前日に都合の良い源泉掛け流しの宿は見つけることは大変だった。温泉メモを覗いてみると久美浜温泉だけ記してあったが、予約を確認してみると残念ながら満室だった。そこで見つけたのが木津温泉ゑびすやである。

木津温泉は、京都府最北西、兵庫県との県境付近にある温泉地。郷村断層に沿って温泉が自噴しており、京都府内で最も古くからある温泉とされているらしい。ゑびすやは木津温泉で唯一の源泉掛け流しをやっているホテルとのこと。

ただ今回については、加温循環での運用だった。
ホテルに到着してからわかったことだが、普段は源泉掛け流しであるものの、冬期は湯の温度を保つため加温、循環、消毒を行っているようだ。

木津温泉ゑびすや 正面
↑ 写真: 木津温泉ゑびすや 正面

建物は正面から見ると民宿ビジネスホテルみたいにも見えるが、背面側が広がっていて大きい。

木津温泉ゑびすや ロビー
↑ 写真: 木津温泉ゑびすや ロビー

内装はモダンな感じ。

ゑびすやはかつて松本清張も二ヶ月間滞在したという老舗の旅館である。私は氏の著書に思い入れのある世代では無いので特に何も感じないが、少なくともこの温泉が当時から有名であったことを思わせる。

木津温泉ゑびすや 松本清張の愛した部屋
↑ 写真: パンフレット 清張が愛した大正館

希望すれば書斎なら見られるらしいが、近づきもしなかった。

源泉掛け流しの温泉 (冬期以外)

ロビーには源泉掛け流しについての説明が大きく掲げられていた。

木津温泉ゑびすや 源泉かけ流し
↑ 写真: 当館は源泉・掛け流し・さら湯の温泉です

天然・自噴の温泉です。

当館の6ヶ所の浴場は地中から湧き出る自噴泉をそのまま使っています。2本の源泉からは都合、毎分120リットルの源泉が供給されています。
循環・濾過・殺菌等はせず、源泉をそのまま溢れさす、「掛け流し」の湯です。
レジオネラ菌等の細菌が繁殖する危険性はございません。

(源泉の温度は摂氏35.8度 冬場は加温のため循環等で温泉を温めます)

湯を大事に使っていそうなことが書いてある。今回の訪れたのは冬期のため、加温・循環で温泉を温めていた。

浴場は以下の6つがある:

  • 橘の湯 (大浴場) 内風呂、露天風呂
  • 行基の湯 (大浴場) 内風呂、露天風呂
  • ごんすけの湯 (貸切家族風呂)
  • 静の湯 (貸切家族風呂)

大浴場では自家源泉を、貸切家族風呂では木津温泉の新泉源を使っているとのこと。

大浴場は宿泊者が16:00-23:00、6:30-9:30の時間帯で入浴できる。夜と朝で2つの浴場の男女入替がある。

木津温泉ゑびすや 入浴時間
↑ 写真: 浴場案内

貸切風呂は予約制とあるが、宿泊者であっても入浴のために3240円/50分の追加料金と事前予約が必要である。
ちょっと料金が高すぎるため入浴しなかった。

木津温泉ゑびすや 廊下
↑ 写真: 木津温泉ゑびすや 大浴場へ至る廊下

木津温泉ゑびすや 脱衣場前の廊下
↑ 写真: 木津温泉ゑびすや 大浴場脱衣場前の廊下

少しつるつるする無色透明の湯

湯は無味無臭、無色透明だった。
肌触りは多少ツルツルしていると感じた。

それ以外の特徴はあまり感じられなかった。

温泉分析書には微硫化水素臭とあったが、循環のためか匂いは知覚できず。

浴感としては、意外と疲れやすく、長湯しにくい湯。
あまり身体に馴染む湯ではなさそうだ。

一方、長湯できないこともあり体の温まりは弱めで、入浴後はあっさりと暑さが抜けた。

行基の湯

木津温泉ゑびすや 内湯脱衣場
↑ 写真: 行基の湯 脱衣場

木津温泉ゑびすや 内湯
↑ 写真: 行基の湯 広い内風呂

木津温泉ゑびすや 内湯湯口
↑ 写真: 行基の湯 内風呂 大きな岩から流れ出す湯

木津温泉ゑびすや 内湯湯口
↑ 写真: 行基の湯 内風呂 湯は透明

木津温泉ゑびすや 露天風呂と内湯
↑ 写真: 行基の湯 露天風呂から内風呂方面

木津温泉ゑびすや 露天風呂 湯口
↑ 写真: 行基の湯 露天風呂の湯口は底面注入のみ

橘の湯

木津温泉ゑびすや 内湯
↑ 写真: 橘の湯 内湯はコンパクトな岩風呂

木津温泉ゑびすや 内湯湯口
↑ 写真: 橘の湯 湯口

木津温泉ゑびすや 露天風呂
↑ 写真: 橘の湯 露天風呂が大きい

木津温泉ゑびすや 橘の湯由来
↑ 写真: 橘の湯 由来

行基の湯、橘の湯ともに、湯口から流れ出る湯は42℃くらいに加熱されたもの。
湯は浴槽底より吸入されてオーバーフローは全く無かった。

湯口から落ちる湯の音が大きすぎて個人的には落ち着けなかった。

源泉は35.4℃の素朴な中性泉

源泉名は「木津温泉」。
分析年月日は2009.2.27。湧出量 測定不能 (水中ポンプ)、pH 7.48、泉温 35.4℃、溶存物質 (ガス性のものを除く) 420mg/kg、成分総計 430mg/kg、泉質は単純温泉 (中性低張性温泉)。

成分について、
陽イオンは
ナトリウムイオン (Na) 92.0mg/kg 4.00mval/kg 73.99mval%、
カルシウムイオン (Ca) 26.2mg/kg 1.31mval/kg 24.20mval%、
カリウムイオン (K) 2.6mg/kg 0.07mval/kg 1.23mval%、
マグネシウムイオン (Mg) 0.3mg/kg 0.02mval/kg 0.46mval%、
以下略、
計 121.2mg/kg 5.41mval/kg。

陰イオンは
硫酸イオン (SO4) 148.8mg/kg 3.10mval/kg 54.64mval%、
塩素イオン (Cl) 46.5mg/kg 1.31mval/kg 23.11mval%、
炭酸水素イオン (HCO3) 69.1mg/kg 1.13mval/kg 19.97mval%、
フッ素イオン (F) 2.4mg/kg 0.13mval/kg 2.23mval%、
以下略、
計 266.8mg/kg 5.67mval/kg。

成分総量が足らず泉質名が付かないが、方向性としてはナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物温泉、旧泉質名では含土類-食塩泉にあたる。

木津温泉ゑびすや 温泉分析書
↑ 写真: 木津温泉 温泉分析書

温泉分析書の掲示は見つけられなかったが、フロントで訊いてみたところコピーを持ってきて貰えた。