雨 日帰り 1回目

前日に宿泊した木津温泉ゑびすやを出発して、少し西の久美浜温泉 湯元館に立ち寄った。
久美浜温泉は京都府北西端に位置する久美浜湾の東1.5kmにある温泉である。
10kmも西に行くと兵庫県の城崎温泉がある。

今回京都に来る前、京都府の温泉についてほとんど何も知らなかったが、久美浜温泉だけは知っていた。
温泉チャンピオン 郡司勇の温泉サイト » 源泉掛け流しを守る会をはじめ、いくつかのWebサイトにて湯の使い方が良いと紹介されていたからである。

有名な温泉旅館

久美浜温泉が有名な理由には、ざっと見たところ特徴があるようだ:

  • 北近畿で一番広いとされる露天風呂
  • 露天風呂の源泉が流れる豪快な滝
  • 大量の湯を非加熱、非加水、掛け流しで利用することによる湯の鮮度
  • 大阪道頓堀くいだおれの創業者による掘削

北近畿で一番広いとされる露天風呂

露天風呂は広大で一度に100〜150人が入浴できるとされている。

確かにめちゃ広いが、100人はちょっと詰めすぎのような気がする。
実際に入浴したら60人を越えたら厳しくなってくるんじゃないかと感じた。

北近畿で一番、という微妙な範囲に限定されているのは、南近畿には和歌山県の川湯温泉の仙人風呂が、中国・四国地方には島根県の玉造温泉長楽園があるためと思われる。

露天風呂の源泉が流れる豪快な滝

広大な露天風呂で一際目立つのは浴槽に隣接する岩場を流れ落ちる滝。
岩場の上、10m程度の高さから湯が滝となって流れ、岩を伝って浴槽に注いでいる。
なんとこの湯が温泉の源泉である。

まさかと思ったが、これは天然の滝ではなく、岩の上にポンプで湯を引き揚げているらしい。

人工の滝なのでちゃんと男湯、女湯の両方に用意されており、不公平にならない。

大量の湯を非加熱、非加水、掛け流しで利用することによる湯の鮮度

第一源泉は653L/分、第二源泉は88.8L/分で、計750L/分もの湯が湧出している。
この湯のほとんどを大露天風呂に使って掛け流ししていると思われる。

この湯量こそが大露天風呂や滝を演出できる正義のようだ。

第一源泉は51.2℃で熱いが、第二源泉は32.0℃でぬるいため、2つの源泉をうまく浴槽に投入することにより加水せずに温度を調節しているらしい。

大阪道頓堀くいだおれの創業者による掘削

地元から大阪が遠く、大阪も数回しか行ったことが無いため、あまりピンと来ないのだが、道頓堀の立役者的な方が掘削した源泉らしい。庶民が安価に入浴できるよう、わざと公衆浴場的な温泉施設にしたとか。

露天風呂には彼の等身大?銅像が直立しており、妙なB級スポット感を醸し出していた。

そういうわけで、久美浜温泉 湯元館は日帰り入浴も積極的に受け入れている。ありがたいことだ。

日帰り入浴の営業時間は9:00〜21:00。入浴料金は600円。

源泉100%の掛け流し

久美浜温泉湯元館 入口
↑ 写真: 久美浜温泉 湯元館 入口

今回、平日限定で400円にて入浴できる期間限定キャンペーンをやっており、かなり安く入浴できた。
この価格帯は東北でも珍しくなってきた。

久美浜温泉湯元館 400円
↑ 写真: 久美浜温泉 湯元館 平日限定料金 400円

さらに、毎月26日はお風呂の日で半額の300円で入浴できるらしい。これはすごい安い。

久美浜温泉湯元館 脱衣場入口
↑ 写真: 久美浜温泉 湯元館 男湯・女湯入口

ソフトクリームのやつが置いてあるあたりがスーパー銭湯感あってよいと思う。

久美浜温泉湯元館 男湯脱衣場
↑ 写真: 久美浜温泉 湯元館 男湯脱衣場

脱衣場は大きくない。写真中央の扉の向こうが浴室に繋がっている。

久美浜温泉湯元館 天然温泉の上手な入り方
↑ 写真: 久美浜温泉 湯元館 天然温泉の上手な入り方

天然温泉の上手な入り方を以下に書き起した:

天然温泉の上手な入り方

露天風呂でゆっくりと身体を慣らしてから内湯へお入りください。

当温泉は源泉100%の天然掛け流しです。56℃の高温泉源と、32℃の低温泉源を混ぜ合わせて送っています。
湯温は約41℃〜43℃になっていますが、露天風呂は外気温で変わりやすく、内湯は冷めにくいため、湯温は高めになります。
天然温泉のため多少の温度差があります。ご了承ください。

高温と低温の2つの源泉を混ぜて温度調整しているとのこと。

浴室は男女別。こういう大露天風呂があるところでは混浴露天風呂も設置されていたりするが、ここでは完全に分けられている。

浴槽は内風呂に1つと、露天風呂には巨大な浴槽1つと、小さい薬湯1つで計3つある。

落ち着いて入れる内湯

内湯は8人くらいが入浴可能なサイズ。
右奥に湯口があり、熱い湯がジャバジャバと流れ出している。
湯はそのまま浴槽縁からオーバーフローしていた。

浴槽温度は43℃少しあり結構熱いため、いきなりこの時期にいきなり入ると辛かった。
ただ当日は結構雨が降っていたこともあり、内湯の方が静かに浸かることができた。

久美浜温泉湯元館 男湯内風呂
↑ 写真: 久美浜温泉 湯元館 男湯内湯

他に入浴者がいたので、内湯だけ誰もいなくなった隙に撮影できた。
手前右側に扉があり、開けると露天風呂へ出ることができる。

野趣さえある露天風呂

露天風呂は、上の写真の視線で右方向に大きく広がっている。
例の滝は右奥の柱の向こうあたりにある。
浴槽の一番右奥にはくいだおれ創業者の像が立つ。
浴槽は広いところで幅4m、長さは20mはあり、広大である。

100人が一度に入浴できると云われているが、当日の入浴者は多い時でも4人程でとても広々としていた。

滝は直瀑でなく、岩を伝って流れ落ちるスタイル。
滝の下にいると水飛沫が飛んでくるとか、そういうやつではない。
一番上はかなり高いところにあるので、どうなっているのか下からはわからなかった。

滝の下には「滝にのぼるな」と書かれた看板が立てられていた。まあ登ってみたくなるよね。
滝の流れた跡は少し黒っぽくなっていたが、それと言って特徴的な析出などは見られなかった。

滝からは高温源泉が流されていると思われ、付近は湯の温度が高めになっていた。
他にも足元やホース等あちこちから湯が注入されている。
ホースの湯口からは低温源泉が注がれていたため、その周辺は温度が少し低くなっていた。

場所によって湯の温度が大きく変わるため、入浴ポジション探しに時間がかかる。
そういうところに野趣の感じられる風呂だ。

湯はかなりの量が投入されているはずだが、なぜかオーバーフローは無し。
どこからか抜けていると思われるが、雨も降っていて面倒くさかったので探せなかった。

個性的な味がする源泉

湯は無臭、無色透明。

飲んでみると、その見た目に反し個性的な味覚があり、塩味がしそうな雰囲気を出したと思いきや、塩味は全くせずそのまま謎の苦味に転じる。見た目から予想する味と違って強力な味があるため、違和感がある。

飲んだのは内湯だったと思うので、低温泉源のマグネシウムイオンが効いていたのかもしれない。

匂いは特に無し。

第一源泉 (高温泉源)

源泉名は「久美浜温泉 (高温泉源)」。
分析年月日は2017.7.3。湧出量は653L/分 (水中ポンプ)、pH 7.81、泉温51.2℃、溶存物質 (ガス性のものを除く) 4750mg/kg、成分総計 4750mg/kg、泉質はカルシウム・ナトリウム-塩化物泉 (低張性弱アルカリ性高温泉)。

成分は次の通り:
陽イオンは、
カルシウムイオン (Ca) 889.1mg/kg 44.37mval/kg 55.41mval%、
ナトリウムイオン (Na) 808.3mval/kg 35.16mval/kg 43.91mval%、
カリウムイオン (K) 12.0mg/kg 0.31mval/kg 0.38mval%、
以下略、
経緯 1717mg/kg 80.07mval/kg。

陰イオンは、
塩素イオン (Cl) 2278mg/kg 64.25mval/kg 81.21mval%、
硫酸イオン (SO4) 690.9mg/kg 14.38mval/kg 18.18mval%、
炭酸水素イオン (HCO3) 11.0mg/kg 0.18mval/kg 0.23mval%、
フッ素イオン (F) 3.3mg/kg 0.17mval/kg 0.22mval%、
以下略、
計 2993mg/kg 79.12mval/kg。

久美浜温泉湯元館 高温泉源 温泉分析書
↑ 写真: 久美浜温泉 (高温泉源) 温泉分析書

久美浜温泉湯元館 高温泉源 温泉分析書
↑ 写真: 久美浜温泉 (高温泉源) 温泉分析書別表

久美浜温泉湯元館 高温泉源 入浴方法
↑ 写真: 久美浜温泉 (高温泉源) の成分、禁忌症・適応症及び入浴上の注意

第二源泉 (低温泉源)

源泉名は「久美浜温泉 (低温泉源)」。
分析年月日は2017.7.3。湧出量は89L/分 (水中ポンプ)、pH 7.66、泉温33.0℃、溶存物質 (ガス性のものを除く) 1870mg/kg、成分総計 1870mg/kg、泉質はナトリウム・カルシウム-塩化物泉 (低張性弱アルカリ低温泉)。

成分は次の通り:
陽イオンは、
ナトリウムイオン (Na) 398.2mg/kg 17.32mval/kg 56.96mval%、
カルシウムイオン (Ca) 244.2mg/kg 12.19mval/kg 40.08mval%、
マグネシウムイオン (Mg) 7.2mg/kg 0.59mval/kg 1.95mval%、
カリウムイオン (K) 10.0mg/kg 0.26mval/kg 0.84mval%、
以下略、
計 661.9mg/kg 30.41mval/kg。

陰イオンは、
塩素イオン (Cl) 840.1mg/kg 23.70mval/kg 77.92mval%、
硫酸イオン (SO4) 245.2mg/kg 5.11mval/kg 16.79mval%、
炭酸水素イオン (HCO3) 89.1mg/kg 1.46mval/kg 4.80mval%、
フッ素イオン (F) 2.0mg/kg 0.11mval/kg 0.35mval%、
以下略、
計 1180mg/kg 30.41mval/kg。

久美浜温泉湯元館 低温泉源 温泉分析書
↑ 写真: 久美浜温泉 (低温泉源) 温泉分析書

久美浜温泉湯元館 低温泉源 温泉分析書
↑ 写真: 久美浜温泉 (低温泉源) 温泉分析書別表

久美浜温泉湯元館 低温泉源 入浴方法
↑ 写真: 久美浜温泉 (低温泉源) の成分、禁忌症・適応症及び入浴上の注意

2つの源泉で大体同じような成分であるが、低温泉源の方がマグネシウムイオン、炭酸水素イオンの比率が多いなど若干の個性がある。

[久美浜温泉・湯元館【公式サイト】|天然掛け流し温泉と料理自慢](http://www.kumihama-spa.com/