曇り 日帰り 1回目
十綱の湯 (とつなのゆ) は飯坂温泉の共同浴場。同じく共同浴場の導専の湯、仙気の湯に入浴したあと飯坂温泉街を一周し最後にやってきた。
飯坂温泉の地理や歴史については、上の導専の湯の記事に少し書いた。
飯坂温泉には9つの共同浴場があるが、十綱の湯はそれらの中で最も南にあり、飯坂温泉街からは少し外れて住宅地の中に位置する。福島交通飯坂線ならば花水坂駅の方が近い。飯坂温泉街からそれほど遠いわけではないが、周りに温泉っぽい雰囲気が無いため道中やや不安になって遠く感じた。
道があっていれば、倉庫とか海水浴場の脱衣場とかを想像させるシンプルな建物が左手に表れる (記事のトップ画像)。他の共同浴場と同じく、男湯と女湯の入口が表にあるので、これが目的地であると確信できるはず。
施設
営業時間、入浴料金は共同浴場共通で6:00〜22:00、入浴料金は200円。
内装はおなじみのもので、男女湯の間に個室的な番台があり、外側に脱衣場、奥に浴室の構造。
↑ 写真: 飯坂温泉 十綱の湯 番台
浴室内はこれも最も素朴なもので、中央に長円型の浴槽があるのみ。シャワーはおろかカランさえ無い。湯を浴びるには、浴槽の外側に座り込み、桶で浴槽から湯を汲んで被るようにする。
浴槽の中央部には建てられた水面+40cmくらいの高さの柱があり、これが湯口になっている。湯口の前面、背面から湯が投入されている。湯口から出る湯の温度は50℃程あり、とても熱い。湯は湯口からザバザバと浴槽に注がれ、浴槽の縁からオーバーフローしていた。
浴槽の湯の温度は44℃強ほどに感じた。インターネット上で見る記事を読むともっと熱いことが多いようだが、今回はたくさんの人が入浴していて、おそらく加水もされたと思われた。
浴槽はなぜか深めで、普通に座ると口が溺れるので微妙にしゃがみな姿勢で入浴することになる。伝統的な浴槽にはよくある。湯が熱くそんなに長時間くつろいで浸かることはできなかったため、しゃがみでちょうどよいくらいに感じた。
全体的に男らしい潔い構造。
温泉の利用方法と浴感
温泉は加温無し、加水有り (タイミング次第)、循環無し、消毒無しで利用。
見た目は無色、透明。味は特に無し。嗅覚は無臭だが、ごく僅かに芳香があるようにも感じられた。
肌触りはよく身体に馴染むので、温度が高くても痛かったりせずすんなりと入浴できた。しばらく入っていると、肌の浸かっていたところが紅くなった。6年くらい前に鯖湖湯に入浴したときも同じようになった記憶がある。なぜかは知らないが飯坂温泉はこのようになることが多いが、健康になったような気になれて好きだ。
源泉の成分
源泉名は「大門分湯糟」。分析年月日は2017.7.11、湧出量115L/分 (動力揚湯)、pH8.2、泉温68.0℃、溶存物質 (ガス性のものを除く) 928.9mg/kg、成分総計 955.3mg/kg、泉質名は単純温泉 (低張性弱アルカリ性高温泉)。
成分は以下の通り:
陽イオンは、
ナトリウムイオン (Na) 239.3mg/kg 10.31mval/kg 83.68mval%、
カルシウムイオン (Ca) 36.0mg/kg 1.80mval/kg 14.47mval%、
カリウムイオン (K) 6.1mg/kg 0.16mval/kg 1.29mval%、
マグネシウムイオン (Mg) 0.9mg/kg 0.07mval/kg 0.56mval%、
以下略、
計 282.3mg/kg 12.44mval/kg。
陰イオンは、
硫酸イオン (SO4) 393.6mg/kg 8.19mval/kg 65.10mval%、
塩化物イオン (Cl) 118.4mg/kg 3.34mval/kg 26.55mval%、
炭酸水素イオン (HCO3) 32.1mg/kg 0.53mval/kg 4.21mval%、
フッ化物イオン (F) 5.0mg/kg 0.26mval/kg 2.07mval%、
炭酸イオン (CO3) 7.8mg/kg 0.26mval/kg 2.07mval%、
以下略、
計 556.9mg/kg 12.58mval/kg。
遊離成分で非解離成分は、
メタけい酸 (H2SiO3) 85.6mg/kg 1.10mmol/kg、
メタほう酸 (HBO2) 4.1mg/kg 0.09mmol/kg、
計 89.7mg/kg 1.19mmol/kg。
溶存ガス成分は、
遊離二酸化炭素 (CO2) 26.4mg/kg 0.60mmol/kg、
計 26.4mg/kg 0.60mmol/kg。
大門分湯糟は以下の源泉を混合:
- 大門源泉: 福島県福島市飯坂町字大門22番先
- 筑前源泉: 福島県福島市飯坂町字筑前42番先
- 一本松源泉: 福島県福島市飯坂町字一本松8の先
- 大鳥源泉: 福島県福島市飯坂町字一本松10番2
- 24号源泉: 福島県福島市飯坂町一本松17番地の2
↑ 写真: 飯坂温泉 大門分湯糟 温泉分析書
↑ 写真: 飯坂温泉 大門分湯糟 温泉分析書別表
混合している源泉は、大門源泉、筑前源泉、一本松源泉は多くの分湯糟にも使われているもの。