日帰り, 1回目, 晴れ, 2020年度中83湯目
ふるさと納税の返礼で貰った宿泊券を使うために鹿児島にやって来た。宿泊券は初日に使い、昨夜は鹿児島天文館の「温泉ホテル中原別荘」に宿泊。今日は鹿児島3日目で同じく鹿児島市内の温泉銭湯「かごっま温泉」で入浴した。
鹿児島市内には温泉を使用した銭湯が40軒以上もあり、しかもそのほとんどが源泉掛け流しを行っている。「かごっま温泉」はそのうちの1つで、市役所と桜島フェリーターミナルの中間あたりに建つ。温泉は加温無し、加水無しの掛け流しで黄褐色。ごくごく微かに硫化水素臭があって鮮度感が高い。
年季の入った浴場は歌謡曲が響く高純度なレトロ空間で、少し熱めの湯にじっと浸かっていると不思議な恍惚感に包まれた。
施設・温泉概要
所在地: 鹿児島県鹿児島市易居町3-28
Web: かごっま温泉:かごしま銭湯・温泉郷
日帰り入浴: 可 8:00-24:00
宿泊: 不可
源泉名: 甲突川左岸101号
湧出地: 鹿児島県鹿児島市易居町3-63
湧出量: 記載無し (掘削 927 m・動力揚湯)
泉温: 52.2 ℃
pH: 7.9
溶存物質合計 (ガス性のものを除く): 1774 mg/kg
成分総計: 1781 mg/kg
泉質: ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉 (低張性・弱アルカリ性・高温泉)
旧泉質名: 重曹泉 / 含食塩重曹泉
一番良い浴槽の温泉利用方法:
加温 | 加水 | 循環 | 消毒 |
---|---|---|---|
無 | 無 | 無 | 有 |
地下 927 m より湧出する源泉
かごっま温泉は鹿児島市にある温泉銭湯。市役所と桜島フェリーターミナルの中間あたりに建つマンションの1階が銭湯になっている。鹿児島市では市内だけで40軒を越える温泉銭湯が点在し、駅からでもふらっと歩けば温泉に入れてしまう。夢のような素晴しい土地だ。桃源郷か。時間が許すなら鹿児島市に3ヶ月くらい滞在してみたいところだ。なお各温泉銭湯を探すには かごしま銭湯・温泉郷 の Web サイトが有用。
かごっま温泉の「かごっま」とは何だろう。ご想像の通り鹿児島のことらしい。鹿児島 (かごっま) 弁では単語の一部が促音に置き換わることがあるそうだ。「かごっま」温泉ではその発音のそのまま施設の名称にしている。
源泉は敷地内? にて 927 m の掘削により湧出する重曹泉 [1]。鹿児島市内の地下は深度 600 m 〜 700 m 以深で基盤岩の地層が広がっており、かごっま温泉の源泉は基盤岩に貯留されたものと考えられる。鹿児島市内では大体このように掘削して得た温泉を使用している [2]。
この基盤岩は四万十層群と呼ばれる、九州から関東まで広がるメジャーな地層群。中生代白亜紀〜新生代古第三紀に形成された地層で、付加体 (海洋プレートが大陸側プレートの下に潜り込む時に、プレート上層部が削れて海底から積み重なってできた岩石) により構成されている。
レトロ充滿する浴室に黄褐色の温泉
⬑ マンション1階に陽気な見た目のかごっま温泉
⬑ 中はレトロな銭湯
脱衣場、浴室ともに賑わっていたので、残念ながらここから先の写真は無い。鹿児島銭湯組合 のページを見ながら読んで欲しい。昼間だったが利用者は多く、常に2人以上は浴場内にいる状態だった。
浴室は絶妙に渋く味わいある空間。カランは年季が入っていて、パイプむき出しな素朴で古いタイプ。聴いたことのない歌謡曲が大音量で流されて、浴室内はレトロな雰囲気で充滿している。
温泉の浴槽は3つで、5人サイズの大浴槽と、その隣に1〜2人サイズの塩浴用の小浴槽、あとは入浴剤入りの電気風呂浴槽がある。他には井水使用の水風呂。大浴槽、小浴槽ともに、非加熱・非加水の源泉掛け流し。
大浴槽では湯口からジャバジャバと湯が注がれていて、加えて浴槽底面からのバイブラ圧注がある。いずれの湯も循環を行っていない。投入される湯量は十分で、注がれた湯は浴槽縁の全体からオーバーフローし、ほとんど絶えず溢れ続けていた。
湯口の湯は46℃程度。そのままの温度だと入浴には熱めだが、手で掬ってみることができる。浴槽の温度は42℃程度になっており入浴しやすい。レトロ満ちた空間で、ぐつぐつと温泉に茹でられていると、素晴しい陶酔感、恍惚感、そして旅情が生み出された。
温泉の見た目は黄色がかった透明、黄褐色。透明度は高めで浴槽の底はよく見えていた。湯口から飲んだり嗅いだりしてみたが無味、無臭。ごくわずかにタマゴ臭が感じられたような…無いような…でも多分あったんだと思う。肌触りはすべすべして心地良い。
⬑ 加水無し、加温無し、循環・濾過無し。塩素系薬剤による消毒
温泉の成分
成分分析書が脱衣場に掲示されていた。
⬑ 温泉の成分、禁忌症、適応症及び入浴又は飲用上の注意 (その1)
⬑ 飲用許可は無し
⬑ 入浴はもちろん OKk
以下は自前のプログラムに分析書のデータを入力して、自動計算したもの。本物の分析書とは計算精度等の理由によりやや値が異なる場合があるかもしれない。
源泉名: 甲突川左岸101号
湧出地: 鹿児島市易居町3番63
分析年月日: 令和2年4月10日
湧出量 記載無し
pH 7.9
泉温: 52.2 ℃ (気温 17.0 ℃)
泉質 ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉 (低張性・弱アルカリ性・高温泉)
溶存物質合計 (ガス性のものを除く) 1773.2 mg/kg
成分総計 1780.9 mg/kg
温泉の成分は以下の通り:
(1) 陽イオン
成分 | ミリグラム [mg/kg] | ミリバル [mval/kg] | ミリバル% [mval%] |
---|---|---|---|
リチウムイオン (Li+) | 0.80 | 0.12 | 0.44 |
ナトリウムイオン (Na+) | 592.90 | 25.79 | 95.17 |
カリウムイオン (K+) | 9.60 | 0.25 | 0.92 |
アンモニウムイオン (NH4+) | 1.50 | 0.08 | 0.30 |
マグネシウムイオン (Mg2+) | 1.90 | 0.16 | 0.59 |
カルシウムイオン (Ca2+) | 13.00 | 0.65 | 2.40 |
ストロンチウムイオン (Sr2+) | 0.80 | 0.02 | 0.07 |
鉄 (II) イオン (Fe2+) | 0.80 | 0.03 | 0.11 |
陽イオン計 | 621 | 27.1 | 100.00 |
(2) 陰イオン
成分 | ミリグラム [mg/kg] | ミリバル [mval/kg] | ミリバル% [mval%] |
---|---|---|---|
フッ素イオン (F-) | 3.10 | 0.16 | 0.62 |
塩素イオン (Cl-) | 602.20 | 16.99 | 65.90 |
臭素イオン (Br-) | 3.20 | 0.04 | 0.16 |
硫化水素イオン (HS-) | 0.10 | 0.00 | 0.00 |
硫酸イオン (SO42-) | 112.50 | 2.34 | 9.08 |
炭酸水素イオン (HCO3-) | 381.60 | 6.25 | 24.24 |
陰イオン計 | 1103 | 25.8 | 100.00 |
(3) 遊離成分
成分 | ミリグラム [mg/kg] | ミリモル [mmol/kg] |
---|---|---|
メタケイ酸 (H2SiO3) | 39.60 | 0.51 |
メタホウ酸 (HBO2) | 9.50 | 0.22 |
非解離成分計 | 49.10 | 0.73 |
成分 | ミリグラム [mg/kg] | ミリモル [mmol/kg] |
---|---|---|
遊離二酸化炭素 (CO2) | 7.70 | 0.17 |
遊離硫化水素 (H2S) | <0.1< td> | -- | 0.1<>
溶存ガス成分計 | 7.70 | 0.17 |
(4) その他の微量成分
成分 | ミリグラム [mg/kg] | ミリモル [mmol/kg] |
---|---|---|
総砒素 (As) | 0.002 未満 | -- |
総水銀 (Hg) | 0.0005 未満 | -- |
銅イオン (Cu) | 0.05 未満 | -- |
鉛イオン (Pb) | 0.05 未満 | -- |
カドミウムイオン (Cd) | 0.05 未満 | -- |
亜鉛イオン (Zn) | 0.05 未満 | -- |
微量成分計 | 0.00 | 0.00 |
下記にも掲載しました。
甲突川左岸101号 - 湯花草子
陽イオンは 95 mval% がナトリウムイオン。陰イオンは塩化物イオンが 66 mval%、炭酸水素イオンが 24 mva%、硫酸イオンが 9 mval%。3:1 位の比率で食塩泉と重曹泉が混ざった泉質。
鉄イオンが 0.8 mg/kg 含まれているのが気になる。
硫化水素臭を感じられるのはなぜだろうか。硫化水素イオン 0.10 mg/kg、硫酸イオン 112 mg/kg、遊離硫化水素は 0.1 mg/kg 以下で、硫化水素臭が香りそうではない。
今朝入浴した「温泉ホテル 中原別荘(全館禁煙・耐震改修済)」と比較してみるとやや異なる泉質であることがわかる。中原別荘では成分総計 2880 mg/kg ながら古代海水っぽい感じの塩化物泉だった。かごっま温泉の成分はもう少し地下水混じりなように思える。
なお中原別荘は「かごっま温泉」の南西 600 m に有り、800 m の掘削で湧出した温泉を使用している。温泉分析書は以下。