日帰り, 1回目, 曇り後雨, 2020年度中39湯目

花山温泉 薬師の湯の次に「かつらぎ温泉 八風の湯」に向かった。花山温泉からJR和歌山線の田井ノ瀬駅へ歩き出すと、直ちに遠雷が轟き始め、やがて辺りは土砂降りと雷鳴に包まれた。気象情報を見ると大雨警報の赤いマーク。傘など持っていないので上半身ずぶ濡れになって駅に着いた。電車を待つ内に雨はさらに強くなったので、ギリギリでピークは回避できたようだ。

30分ほど待って電車に乗り、紀州らしい山並みを眺めながら西笠田駅へ。本当は笠田駅で降りるつもりが勢い余って、一駅早く下車してしまった。さすが鉄道は雨雲の下から抜け出したようで、かつらぎ町では晴れていた。

駅
⬑ 屋根と壁しか無い西笠田駅

川
⬑ 紀ノ川を流れを眺めて中央構造線を感じる

道の駅で買ったクッキーを貪りながら歩いていると武家屋敷風な建築の施設「かつらぎ温泉 八風の湯」に到着。混合、循環ながら成分総計32g/kgのかなり濃い強温泉が使われた浴槽があり、かつての酒蔵を活用した浴室を見ながら入浴して楽しめた。

施設・温泉概要

所在地: 和歌山県伊都郡かつらぎ町佐野702
Web: かつらぎ温泉 八風の湯
日帰り入浴: 可 10:00-22:00 (受付21:00)
宿泊: 可 15,400円〜

源泉名: かつらぎ温泉 八風の湯 第二源泉・第三源泉・第四源泉・第五源泉

第二源泉

成分総計: 3138 mg/kg
泉質: ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩冷鉱泉 (低張性・中性・冷鉱泉)
旧泉質名: 食塩泉 / 含重曹食塩泉

一番良い浴槽の温泉利用方法:

加温 加水 循環 消毒

第三源泉

成分総計: 246.8 mg/kg
泉質: 温泉法第二条の別表中に示されたメタほう酸及びメタけい酸の項で温泉法の温泉に適合する

一番良い浴槽の温泉利用方法:

加温 加水 循環 消毒

第四源泉

成分総計: 6786 mg/kg
泉質: 含二酸化炭素-ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩冷鉱泉 (低張性・弱酸性・冷鉱泉)
旧泉質名: 食塩泉 / 含炭酸食塩泉

一番良い浴槽の温泉利用方法:

加温 加水 循環 消毒

第五源泉

湧出地: 和歌山県伊都郡かつらぎ町大字佐野721−1湧出
湧出量: 48.1 ℓ/分 (動力揚湯)
泉温: 29.5 ℃
pH: 6.5
成分総計: 32859 mg/kg
泉質: 含鉄-ナトリウム-塩化物強塩温泉 (高張性・中性・低温泉)
旧泉質名: 食塩泉 / 含重曹食塩泉

一番良い浴槽の温泉利用方法:

加温 加水 循環 消毒

温泉

「かつらぎ温泉 八風の湯」は和歌山県北東部のかつらぎ町にある温泉施設。以前は県内の酒造が経営していた日帰り入浴施設「蔵乃湯温泉 野半の里 蔵乃湯」があったが、その後倒産し、経営が変わって宿泊も可能な「かつらぎ温泉 八風の湯」になった。5つあった源泉も引き継がれたが、第一源泉は現在使用していないようだ。

施設は立派で綺麗。だいぶローカルな場所に来たと思ったので、勝手にもっと渋いなものを想像していた。

かつらぎ温泉八風の湯 命名
⬑ 命名は近江と桑名を繋ぐ八風街道に由来

かつらぎ温泉八風の湯 営業
⬑ 入館料は高め

かつらぎ温泉八風の湯 通路
⬑ 渡り廊下を通り浴場へ

かつらぎ温泉八風の湯 館内図
⬑ 男女別大浴場それぞれに内湯と露天風呂

かつらぎ温泉八風の里 脱衣場入口
⬑ 脱衣場入口

温泉浴場と浴感

浴場内湯は、胸より上の高さは木柱で支え・木と漆喰を使った和風家屋的見た目。胸より下は洋風寄りで石を張った造り。各浴槽に「源泉かけ流し」の札が立っているが、加温、循環を行っており「かけ流し」の定義は不明。源泉の紹介では「加温のため循環」と記述されているが、加温と循環に直接の関係は無いはずなのでこれも意図が不明。このあたりはちゃんと矛盾の無いように説明して欲しいと思う。

温泉浴槽は内湯あつ湯、ぬる湯大浴槽と、露天風呂の大浴槽、さらに内湯と露天風呂の中間に水風呂壺湯があって、それぞれ異なる源泉またはその組合せを使用している。

内湯あつ湯は、浴室に入って右手側にある4人サイズの浴槽。使用源泉は第三源泉でメタけい酸泉。2本の木樋から湯が出ており、片方からは多量にドバドバと、一方からはチョロチョロとだけ注がれている。オーバーフローは無く、加温有り、循環有り、消毒有り。湯の特徴は薄く、無色透明、無味無臭で、ツルツル感も無い。

内湯ぬる湯は、浴室に入り正面の大きな浴槽。20人は入浴できそうだ。使用源泉は第四源泉と第五源泉の混合泉。あつ湯とは隣接していて、チョロチョロ投入の木樋を共有している。主力の温泉投入は木樋の下辺り浴槽内への注入で、高温の湯が大量に噴き出している。前者の湯は無色透明で、微かな塩味、ほぼ無臭。オーバーフローは無いこともあり、少なくとも後者は循環湯と思われる。浴槽の湯は褐色で濃い鹹味あり。ここの浴槽が一番、温泉感がある。

露天風呂の浴槽は2つあるが、1つは非温泉の薬草風呂のため、内側にある方だけが温泉浴槽。使用源泉は第二源泉と掲示されている。湯口、オーバーフローは無く、浴槽内循環。浴槽の湯は透明で、若干の塩素消毒臭があった。

水風呂つぼ湯は2つあって、汗を流してから入浴せよという貼り紙の下に隠されて、第四源泉という掲示がある。隠しているのは今は非温泉からなのか、貼る場所が無かったからなのか不明。第四源泉であれば含炭酸食塩泉ということになるが特徴は無く温泉か区別がつかなかった。

温泉の成分

温泉分析書の掲示は無いが、成分表が脱衣場の隅に掲示されていた。

かつらぎ温泉八風の里 分析書
⬑ 成分表

以下は自前のプログラムに分析書のデータを入力して、自動計算したもの。本物の分析書とは計算精度等の理由によりやや値が異なる場合があるかもしれない。ここでは第五源泉のみ紹介しておく。

源泉名: かつらぎ温泉 八風の湯 第五源泉
湧出地: 和歌山県伊都郡かつらぎ町大字佐野721−1湧出
分析年月日: 平成25年2月27日

湧出量 48 L/min (動力揚湯)
pH 6.5
泉温: 29.5 ℃ (調査時における気温11.5℃)
泉質 含鉄-ナトリウム-塩化物強塩温泉 (高張性・中性・低温泉)
溶存物質合計 (ガス性のものを除く) 30912.01 mg/kg
成分総計 31859.51 mg/kg

温泉の成分は以下の通り:

(1) 陽イオン
成分ミリグラム [mg/kg]ミリバル [mval/kg]ミリバル% [mval%]
水素イオン (H+)0.1未満----
ナトリウムイオン (Na+)9399.0408.8384.43
カリウムイオン (K+)152.803.910.81
マグネシウムイオン (Mg2+)489.9040.318.32
カルシウムイオン (Ca2+)610.6030.476.29
ストロンチウムイオン (Sr2+)------
アルミニウムイオン (Al3+)0.1未満----
マンガンイオン (Mn2+)0.200.010.00
鉄 (II) イオン (Fe2+)20.100.720.15
陽イオン計10673484100.00
(2) 陰イオン
成分ミリグラム [mg/kg]ミリバル [mval/kg]ミリバル% [mval%]
フッ素イオン (F-)30.801.620.34
塩素イオン (Cl-)14450407.5884.27
水酸イオン (OH-)0.1未満----
硫化水素イオン (HS-)0.1未満----
チオ硫酸イオン (S2O32-)0.1未満----
硫酸イオン (SO42-)2.200.050.01
炭酸水素イオン (HCO3-)4539.074.3915.38
炭酸イオン (CO32-)0.1未満----
メタケイ酸イオン (HSiO3-)0.1未満----
メタホウ酸イオン (BO2)0.1未満----
陰イオン計19022484100.00
(3) 遊離成分
非解離成分:
成分ミリグラム [mg/kg]ミリモル [mmol/kg]
メタケイ酸 (H2SiO3)91.301.17
メタホウ酸 (HBO2)1126.025.70
非解離成分計1217.326.87
溶存ガス成分:
成分ミリグラム [mg/kg]ミリモル [mmol/kg]
遊離二酸化炭素 (CO2)947.5021.53
遊離硫化水素 (H2S)0.1未満--
溶存ガス成分計947.5021.53
(4) その他の微量成分
成分ミリグラム [mg/kg]ミリモル [mmol/kg]
総砒素 (As)0.090.00
総水銀 (Hg)0.0005未満--
銅イオン (Cu)0.05未満--
鉛イオン (Pb)0.05未満--
カドミウムイオン (Cd)0.05未満--
微量成分計0.110.00

下記にも掲載しました。

成分総計 31860 mg/kg で非常に濃い強塩泉。公式Webページや、浴室内ではズバリ古代海水由来の温泉であると説明しているが、その割にはカルシウムイオン含有量が遊離炭酸が多い感じもある。花山温泉 薬師の湯と同じような起源の成分が混ざっていたり、もしかしたらするのかもしれない。