日帰り, 1回目, 晴れ, 2020年度中40湯目

横浜駅から相模鉄道で5駅、和田町駅から徒歩5分ほどの場所にある温泉銭湯「横浜温泉 黄金湯」で入浴した。大変渋い施設で入浴客も少なく、とても落ち着いた雰囲気が魅力的。温泉は成分量こそ多くないが、黒湯の特徴がはっきりと発揮されており湯の使い方がいいのかもしれない、すごく気に入ったので、また入浴しようと思う。

天然化石海水
⬑ ダンジョンみたいな看板がアガる

黄金湯 外観
⬑ 入口は綺麗

施設・温泉概要

所在地: 神奈川県横浜市保土ヶ谷区仏向町248−1
Web: 横浜温泉黄金湯
日帰り入浴: 可 15:00-22:30
宿泊: 不可

源泉名: 神奈川温泉 黄金湯
湧出地: 神奈川県横浜市保土ヶ谷区仏向町248−1
湧出量: 138 ℓ/分 (掘削100m・動力揚湯)
泉温: 16.8 ℃
pH: 7.9
成分総計: 498 mg/kg
泉質: 温泉法第二条の別表中に示されたメタけい酸の項で温泉法の温泉に適合する

一番良い浴槽の温泉利用方法:

加温 加水 循環 消毒

温泉

神奈川県横浜市保土ヶ谷区にある温泉銭湯。創業は1967年 (昭和42年) とのこと。浴室の造りからもっと古いのかと思ったが、1960年代の保土ヶ谷というのはこういう雰囲気だったのかもしれない。

黄金湯 正面
⬑ 赤・水色・紫・橙の配色がセンスある

「あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ 温まるうう゛う゛う゛」の幟は以前、横浜天然温泉くさつ (2020/2/9)でも見た。

暖簾をくぐると正面は壁で、右側にある下足箱へ靴を入れる。壁の裏に周り込むと男女別の脱衣場に分かれた扉。その先、男女脱衣場の中間に番台がある、いわゆる番台方式。

黄金湯 営業時間
⬑ 壁には営業時間の掲示

黄金湯 入口
⬑ 奥が女湯、手前が男湯

玄関に壁があるのは、女性側の脱衣場が外から見えないように配慮したのだろう。脱衣場も女性側は目隠しの壁があって番台からも着替えが見えないようになっている。

浴室は圧倒的な渋さで、本当にタイムスリップしたような光景。構造は典型的な東京式銭湯で、手前側は縦にカランが並び、奥の壁下に浴槽の配置。浴室の壁は質素な木張りで水色を塗られている。もちろん壁画もあって男湯は富士山と芦ノ湖が描かれていた。

浴場奥、男女浴場の仕切りの上にはなぜかスクリーンが設置されていて、はじめはバックトゥザフューチャー2のDVDメニューが表示されたままになっていた。まるで時が止まったようで、逆に良い雰囲気を演出している。あとで番台の人が入れ替わると、おもむろに映像が流れ始めて本編に入った。

黄金湯 浴室
⬑ 味わい深い浴室

浴槽は長方形のタイル浴槽で、5人が並んで入浴できる大きさ。黒湯が湛えられ真っ黒。浴槽の上に出た湯口は無く、底面から静かに注入されている。オーバーフローは無く、浴槽内でやんわりと吸入して加温と循環、消毒を行なっているようだ。

湯は真っ黒い色で漆黒。見通しは40cmほどで浴槽の底は全く見えない。掲示によると、循環時に珪藻土を利用しているため白い砂が浮遊する場合があるとのことだったが、それらしきものは見られなかった。こういう説明は初めて見た。

黄金湯 湯
⬑ 漆黒の湯

黄金湯 湯
⬑ 真っ黒なので浴場の景色が映り込む

浴槽にはカランから付いており、その取っ手を捻るとやや褐色に色付いた冷水が出てきた。手に掬って飲んでみると、水のわずかな甘みがあるだけで無味。金気が感じられたが、これは設備由来だろう。

入浴中には、はっきりとした植物系のモール臭が感じられた。消毒臭は無い。肌触りはあまり特徴無く、ツルツルする感触はほぼ無かった。

色や匂いは、成分総計500mg/kg以下のメタけい酸泉とは思えないほど、温泉の特徴が出ており驚いた。とても良い温泉だ。非加水だし、循環の割合もかなり少ないのかもしれない。

黄金湯 表示
⬑ 温度計は41.2℃を表示

浴槽上部にある温度計によると、浴槽の温度は41.2℃。季節が夏で気温が高いこともあるが、なかなかしっかりとした温まりがあった。

化石海水型温泉の掲示があって、そういえば施設の中でも外でもしきりにアピールしてくるが、東京都大田区や川崎、横浜でお馴染み、地中に堆積した植物や海草が長い時間をかけて分解された有機物を含んだ温泉と思う。塩分濃度も低いし、温泉水は遠い過去に降った雨水由来ではないだろうか。

黄金湯 浴室
⬑ 入浴中目線 本当に落ち着く

湯の投入が静かなだけでなく、入浴客も数人程度で少なく話さないので、とても静かな落ち着く空間だった。

温泉の成分

温泉分析書は浴室内に掲示されていた。揚湯に関する記述がやけに詳しい。

黄金湯 温泉分析書
⬑ 横浜温泉 黄金湯

以下は自前のプログラムに分析書のデータを入力して、自動計算したもの。本物の分析書とは計算精度等の理由によりやや値が異なる場合があるかもしれない。

源泉名: 横浜温泉 (源泉名: 黄金湯)
湧出地: 神奈川県横浜市保土ヶ谷区仏向町248−1
分析年月日: 平成21年12月14日

湧出量 138 ℓ/分, 湧出形態 動力揚湯, 動力 電動1.5kw、エバラ40BKS型深井戸水中ポンプ 使用
pH 7.9
泉温: 16.8 ℃ 13.7℃)
泉質 温泉法第二条の別表中に示されたメタケイ酸の項で温泉法の温泉に適合する
溶存物質合計 (ガス性のものを除く) 492.13 mg/kg
成分総計 498.29 mg/kg

温泉の成分は以下の通り:

(1) 陽イオン
成分ミリグラム [mg/kg]ミリバル [mval/kg]ミリバル% [mval%]
リチウムイオン (Li+)0.000.000.00
ナトリウムイオン (Na+)73.503.2058.50
カリウムイオン (K+)12.600.325.85
アンモニウムイオン (NH4+)4.970.285.12
マグネシウムイオン (Mg2+)6.630.5510.05
カルシウムイオン (Ca2+)19.200.9617.55
ストロンチウムイオン (Sr2+)0.040.000.00
アルミニウムイオン (Al3+)0.470.050.91
マンガンイオン (Mn2+)0.110.000.00
鉄 (II) イオン (Fe2+)3.110.112.01
亜鉛イオン (Zn2+)0.010.000.00
陽イオン計1215.47100.00
(2) 陰イオン
成分ミリグラム [mg/kg]ミリバル [mval/kg]ミリバル% [mval%]
フッ素イオン (F-)0.110.010.19
塩素イオン (Cl-)12.200.346.43
臭素イオン (Br-)0.070.000.00
硫酸イオン (SO42-)0.180.000.00
硝酸イオン (NO3-)0.000.000.00
炭酸水素イオン (HCO3-)297.004.8792.06
炭酸イオン (CO32-)1.850.061.13
メタケイ酸イオン (SiO32-)0.890.010.19
メタホウ酸イオン (BO2-)0.040.000.00
陰イオン計3125.29100.00
(3) 遊離成分
非解離成分:
成分ミリグラム [mg/kg]ミリモル [mmol/kg]
メタケイ酸 (H2SiO3)58.300.75
メタホウ酸 (HBO2)0.850.02
非解離成分計59.150.77
溶存ガス成分:
成分ミリグラム [mg/kg]ミリモル [mmol/kg]
遊離二酸化炭素 (CO2)6.160.14
遊離硫化水素 (H2S)----
溶存ガス成分計6.160.14
(4) その他の微量成分
成分ミリグラム [mg/kg]ミリモル [mmol/kg]
総砒素 (As)0.000.00
総水銀 (Hg)0.000.00
銅イオン (Cu)0.000.00
鉛イオン (Pb)0.000.00
カドミウムイオン (Cd)0.000.00
微量成分計0.000.00

下記にも掲載しました。
横浜温泉 黄金湯 - 湯花草子

泉温、成分量ともに基準値を満たさないので泉質名が無いが、方向的には含土類重曹泉。この辺りの浅い層から出る温泉では、純重曹泉とか含食塩重曹泉が多いので、土類成分が多く含まれた温泉は珍しいと思う。