日帰り, 1回目, 晴れ, 2020年度中35湯目
那須七湯の一つである那須高雄温泉を使用する「おおるり山荘」で日帰り入浴。那須山中の温泉を巡ってきた帰りに立ち寄って登山の疲れを癒した。温泉は硫化水素泉ながら温め、サッパリめで休むには絶好の湯。今度泊まってじっくり味わってみたい。
施設・温泉概要
所在地: 栃木県那須郡那須町湯本212-486
Web: 那須高雄温泉 おおるり山荘
日帰り入浴: 可 11:30-19:30
宿泊: 可 4,300円-
源泉名: 高雄温泉
湧出地: 栃木県那須郡那須町大字湯元字高雄135番地
湧出量: 800 ℓ/分 (自然湧出)
泉温: 40.1 ℃
pH: 6.1
成分総計: 1332.7 mg/kg
泉質: 含硫黄-カルシウム・マグネシウム・ナトリウム-硫酸塩・炭酸水素塩温泉 (硫化水素型) (低張性・中性・温泉)
旧泉質名: 硫黄泉 / 硫化水素泉 / 硫酸塩硫化水素泉 / 石膏硫化水素泉
一番良い浴槽の温泉利用:
加温 | 加水 | 循環 | 消毒 |
---|---|---|---|
無 | 無 | 無 | 無 |
那須高雄温泉とおおるり山荘
那須高雄温泉は那須七湯に数えられる歴史ある温泉で、その発見は万延年間 (1860年頃) と言われている。かつては「高雄股温泉」や「温泉 (ゆぜん) 様の湯」「御行の湯」と呼ばれ信仰されていたという。少し前までは昔の旅館の焼跡があり、源泉の隣に地元民の手による浴槽が設置されていた。2004年に格安ホテルを営業する「おおるりグループ」が旅館を建て、現在の「那須高雄温泉 おおるり山荘」である。
おおるりグループの旅館について触れるとき、ことさらに格安を強調されるのは、公式ページに "格安" と書いているし、確かに安いのもあるが、建物からコスト削減の印象を強く受けてしまうのが理由のようだ。もちろん、これは需要を捉えた上でわかってやっているのだろう。安くて良い温泉に入れるなら、それに越したことはない。
⬑ 山奥に現われる団地のような建物
⬑ 絶妙に安っぽい入口
⬑ 内部はほどほどに綺麗
⬑ 脱衣場ドアは秘湯感あって良い
⬑ 脱衣場はなぜか昭和感
⬑ 浴室ドアが一番ボロかった
浴場周りの設備については、硫化水素で腐食するので多少ボロいのは仕方が無いだろう。そういうものだ。
温泉浴槽と浴感
浴室には内湯と露天風呂があり、いずれも温泉使用。内湯はコンクリートで固められた無骨なもので、長方形。15人以上は入浴できる大きさがあり広かった。壁は木板が貼られ、腐食具合は酸ヶ湯系の山奥の秘湯を思わせ風情さえある。
⬑ 白濁した浴槽
湯口は浴室の角に設置され、木にパイプが通されているもの。パイプから透明な湯がジョボジョボと投入されている。湯は一度コンクリートで仕切られた小さい槽に注がれ、(たしか) 下から浴槽に流れ込むようになっている。湯口の下はコバルトブルーの透明な湯が流れ美しい。湯のオーバーフローは無かったので、どこかに流れ込んでいるはずだが、確認はしなかった。温度は43℃ほどあり加温していると思われる。
⬑ 三角の槽内はコバルトブルー
浴槽の湯は緑灰色または青緑灰色で白濁。水中は細かい白い湯の華が大量に浮遊している。
⬑ 白濁した内湯の湯
温泉からは明瞭な硫化水素系の卵臭が香った。飲んでみると、硫黄の刺激的な毒味があって不味いが、水っぽく薄い。鹿の湯のようなコッテリした温泉を予想していたが、浸かっていてもサッパリした浴感で入浴しやすかった。
⬑ 浴室奥から見る内湯浴槽
しばらく過ごしていると誰もいなくなったので、浴槽の縁に寝そべってトド寝し、登山&野湯巡りの疲れを癒した。
露天風呂に出ると、青白く透き通った浴槽があった。内湯と比べ緑色成分が少ない。温度は39℃程度でぬるいが、こちらが非加熱の湯を使っていたようだ。ぬる湯の入浴を楽しみながら呆けていた。
⬑ 青白い露天風呂
実は、最大の目玉の大露天風呂が別にあり、そっちの湯が素晴らしいとのこと。事前の勉強が足りず気付かなかった。残念すぎる。リベンジ必須だ。
⬑ 旅館の前を色付いた川が流れている
温泉の成分
以下は自前のプログラムに分析書のデータを入力して、自動計算したもの。本物の分析書とは計算精度等の理由によりやや値が異なる場合があるかもしれない。
源泉名: 那須高雄温泉 (源泉名 高雄温泉)
湧出地: 栃木県那須郡那須町大字湯元字高雄135番地
分析年月日: 平成15年12月12日
湧出量 800 l/min (自然湧出)
pH 6.1
泉温: 40.1 ℃ (調査時における気温8.0℃)
泉質 含硫黄-カルシウム・マグネシウム・ナトリウム-硫酸塩・炭酸水素塩温泉 (硫化水素型) (低張性・中性・温泉)
溶存物質合計 (ガス性のものを除く) 1044.7 mg/kg
成分総計 1332.7 mg/kg
温泉の成分は以下の通り:
(1) 陽イオン
成分 | ミリグラム [mg/kg] | ミリバル [mval/kg] | ミリバル% [mval%] |
---|---|---|---|
水素イオン (H+) | 0.00 | 0.00 | 0.00 |
ナトリウムイオン (Na+) | 55.30 | 2.41 | 20.07 |
カリウムイオン (K+) | 17.00 | 0.43 | 3.58 |
マグネシウムイオン (Mg2+) | 44.80 | 3.69 | 30.72 |
カルシウムイオン (Ca2+) | 108.60 | 5.42 | 45.13 |
ストロンチウムイオン (Sr2+) | -- | -- | -- |
マンガンイオン (Mn2+) | 1.60 | 0.06 | 0.50 |
鉄 (II) イオン (Fe2+) | 0.10 | 0.00 | 0.00 |
亜鉛イオン (Zn2+) | 0.00 | 0.00 | 0.00 |
カドミウムイオン (Cd2+) | 0.00 | 0.00 | 0.00 |
クロムイオン (Cr3+) | 0.00 | 0.00 | 0.00 |
陽イオン計 | 227 | 12.0 | 100.00 |
(2) 陰イオン
成分 | ミリグラム [mg/kg] | ミリバル [mval/kg] | ミリバル% [mval%] |
---|---|---|---|
フッ素イオン (F-) | 0.30 | 0.02 | 0.17 |
塩素イオン (Cl-) | 44.80 | 1.26 | 10.43 |
臭素イオン (Br-) | 0.00 | 0.00 | 0.00 |
水酸イオン (OH-) | 0.00 | 0.00 | 0.00 |
硫化水素イオン (HS-) | 2.90 | 0.09 | 0.74 |
硫化物イオン (S2-) | 0.00 | 0.00 | 0.00 |
チオ硫酸イオン (S2O32-) | 0.00 | 0.00 | 0.00 |
硫酸水素イオン (HSO4-) | 0.00 | 0.00 | 0.00 |
硫酸イオン (SO42-) | 359.90 | 7.49 | 62.00 |
亜硝酸イオン (HNO2-) | 0.00 | 0.00 | 0.00 |
硝酸イオン (NO3-) | 0.00 | 0.00 | 0.00 |
リン酸二水素イオン (H2PO42-) | 0.00 | 0.00 | 0.00 |
リン酸水素イオン (HPO42-) | 0.00 | 0.00 | 0.00 |
リン酸イオン (PO42-) | 0.00 | 0.00 | 0.00 |
炭酸水素イオン (HCO3-) | 196.50 | 3.22 | 26.66 |
炭酸イオン (CO32-) | 0.00 | 0.00 | 0.00 |
メタ亜砒酸イオン (AsO2-) | 0.00 | 0.00 | 0.00 |
メタケイ酸イオン (HSiO3-) | 0.00 | 0.00 | 0.00 |
陰イオン計 | 604 | 12.1 | 100.00 |
(3) 遊離成分
非解離成分:成分 | ミリグラム [mg/kg] | ミリモル [mmol/kg] |
---|---|---|
メタ亜砒酸 (HAsO2) | 0.00 | 0.00 |
メタケイ酸 (H2SiO3) | 208.10 | 2.66 |
メタホウ酸 (HBO2) | 4.80 | 0.11 |
非解離成分計 | 212.90 | 2.77 |
成分 | ミリグラム [mg/kg] | ミリモル [mmol/kg] |
---|---|---|
遊離二酸化炭素 (CO2) | 261.80 | 5.95 |
遊離硫化水素 (H2S) | 26.20 | 0.77 |
溶存ガス成分計 | 288.00 | 6.72 |
(4) その他の微量成分
成分 | ミリグラム [mg/kg] | ミリモル [mmol/kg] |
---|---|---|
総砒素 (As) | 0.00 | 0.00 |
総水銀 (Hg) | 0.00 | 0.00 |
銅イオン (Cu) | 0.05未満 | -- |
クロム (Cr) | 0.00 | 0.00 |
鉛イオン (Pb) | 0.00 | 0.00 |
カドミウムイオン (Cd) | 0.00 | 0.00 |
微量成分計 | 0.00 | 0.00 |
下記にも掲載しました。
那須高雄温泉 - 湯花草子
温泉成分は、アルカリ土類金属の硫酸塩を主とした硫化水素泉。遊離二酸化炭素 260mg/kg や遊離硫化水素 26 mg/kg もかなり個性的。メタけい酸が 200mg/kg を超え、死角の無い泉質で素晴しい。泊まって時間をかけて楽しむべき温泉だ。
成分の傾向は水沢温泉や七味温泉に近い気がする。そういえば水沢温泉の湯も良い色に輝いていた。