金曜日 日帰り
長野県千曲市、戸倉温泉の銭湯。番台方式の素朴な日帰り入浴施設である。群馬側より関越自動車道を走り、軽井沢を抜け上田市を過ぎると千曲市である。坂城ICで下道に降りて千曲川沿いを少し進むと戸倉上山田温泉郷に至る。南東から北西にかけて流れる千曲川を挟み、北東側が戸倉温泉、南西側が上山田温泉である。上山田温泉の方は温泉ホテルが並び華やかな印象である。町並みは松本市の浅間温泉や、新発田市の月岡温泉に雰囲気が似ている。対岸の戸倉温泉はもう少し落ち着いた感じで、良い意味で程良い田舎感がある。
戸倉観世温泉は戸倉温泉の中で最も早い時間から営業している共同浴場である。なんと朝5時から入ることができる。東京方面から夜通し車を走らせ、朝一でここに到着し半分寝ながら湯を満喫するという活用方法が取り得る。
今後も何度でも訪れたい。
今回は午前7時前に訪れたが、5, 6人が出入りして賑わっていた。
早朝から営業している共同浴場といえば、経験的に素晴らしい湯に入浴できる可能性が高い。その中でもここは湯の鮮度、泉質、使い方、雰囲気共に最高レベルの施設である。
脱衣場には「いつも新鮮で大量な天然の温泉が注がれ、一度使用された湯はすべて排水されます」とある。またその上には「戸倉観世温泉は、「五感」で充分に満足できる数少ない温泉」と書かれている。五感と来た。これは分かっている湯だ。
共同浴場にしては広めの浴室に入ると、早速タマゴ系の硫化水素臭が感じられた。
浴室中央部には15人は入れそうな大きい浴槽。湯口から出る湯は無色透明だが、浴槽の湯は美しく透き通った神々しいエメラルドグリーンに見える。この浴槽では観世温泉2号泉が利用されている。
浴室に入って右奥には檜風呂がある。こちらは2人が入れるくらいの小さな浴槽。無色透明で少し黄色を帯びているようだ。よく見ると白い湯の華が浮いている。観世温泉3号泉が使われているとのこと。
源泉 観世温泉2号泉、3号泉共に単純硫黄泉。
2号泉は46.8度、硫化水素イオン (HS) 11.0g/kg、硫酸イオン (SO4) 34.5g/kg、炭酸水素イオン (HCO3) 72.2g/kg。3号泉は44.2度、硫化水素イオン 8.0g/kg、硫酸イオン 71.2g/kg、炭酸水素イオン 51.5g/kg。似た成分だが少し異なるようだ。
2号泉だけ鮮やかな緑色になるのは不思議だ。
成分分析表は、1つの表に2源泉が併記されて珍しい様式だった。
大浴槽、檜風呂ともに無味で、心地良い硫化水素臭が感じられた。
大浴槽は42, 43度ほどで徹夜の身体には少し熱い。
泡付きがあったが、撹拌しているための気がした。常にオーバーフローがあり、広い浴槽なのに湯が新鮮に保たれており気持ち良い。時間と体力の続く限り入り浸ってみたい湯である。
檜浴槽は温度はややぬるく41度くらい。白い湯の華が少し舞っている。こちらは泡付きが無かった。
心地良い硫化水素臭や、とろみのある肌触りがあり、大浴槽よりも浴感は個性的である。