曇り時々雪 日帰り 1回目

仙気の湯は飯坂温泉の共同浴場。導専の湯に続きやってきた。

飯坂温泉の地理や歴史については以下の記事で少し詳しく書いた:
2019/12/31 飯坂温泉 導専の湯

仙気の湯は飯坂温泉駅の北東、愛宕山の下にある。これよりも北東には源泉は無いようだ。愛宕山は登ると飯坂温泉街が一望できるらしい。

施設

仙気の湯は飯坂温泉に9つある共同浴場の1つ。営業時間は共同浴場共通で6:00〜22:00、入浴料金は200円。

飯坂温泉 仙気の湯 番台
↑ 写真: 飯坂温泉 仙気の湯 番台と入浴券券売機

飯坂温泉 仙気の湯 脱衣場
↑ 写真: 飯坂温泉 仙気の湯 脱衣場

源泉は導専の湯と同じ若竹分湯糟を利用。

この分湯糟は飯坂温泉の8つの源泉を集めたもの。摺上川の東側で多く使われているようで、共同浴場では、導専の湯、仙気の湯、切湯の3つで利用。旅館では、インターネットで軽く調べたところでは、小松や、つたや旅館、平野屋旅館、福住旅館、湯乃屋、ちゃんこちゃんこの湯 (足湯) が見つかった。きっと他にもあると思う。

浴槽の形状も導専の湯とそっくりである。角のとれた長方形の浴槽が浴室内の右手側にあって、2つに仕切られている。微妙に異なるのは、手前が「熱い湯」、奥が「温い湯」で配置が逆になっていることだ。導専の湯では手前「温い湯」、奥「熱い湯」だった。

湯口の構造は似ているが、微妙に異なる。導専の湯では湯が細く飛び出すように注がれていたのに対し、仙気の湯では広い流れになっている。特に湯の温度や泉質に影響を与える違いではないと思う。たぶん単に意匠のこだわり。あらためて見てみると結構スタイリッシュに見えなくもない。

何が特にスタイリッシュかというと、湯口の上に鎮座する謎のうさぎ像である。額の上にタオル (像の一部) が乗せられている。耳に桶が被せられて自然に活用?されていた。福島ご当地キャラクターのももりんらしい。最近はライバルのブラックももりんも誕生したらしい。福島市内ではももりんグッズも買うことができる。

湯の利用方法と浴感

湯口からは50℃近い温度の熱い源泉が浴槽に注がれている。
そのままでは熱すぎるため、浴槽に取り付けられた水道で加水されていて、加温無し、加水有り、循環無し、消毒無しの掛け流し。

湯量は浴槽の大きさに対し十分な量があり、それが浴槽縁から常にオーバーフローしている。湯はよく入れ替わっているようで、新鮮に感じた。

温度は手前の「熱い湯」が45℃位で熱かった。長く入ることはできない、というかこれくらいの熱さになってくると、出入りで手足が痛くて辛い。入っている間の達成感はこれはこれでいいのだが。地元の人もあまり入っていなかった。

奥の「温い湯」は43℃位だが安心する。

源泉は導専の湯と同じで、特に違いを感じることはできなかった。見た目は無色透明で浴槽の底がはっきりと見える。味は無味。匂いもはっきりとは無し。

浴感は肌に馴染むので、多少熱くても身体にはビリビリくることなく自然に入浴できる。一度温まれば長続きし、雪がチラつく日でもしばらくは温かいまま外を歩き回ることができた。

源泉と成分

源泉名は「若竹分湯糟」。分析年月日は2011.11.21。湧出量は記載無し (動力揚湯)、pH 8.7、泉温60.2℃、溶存物質 (ガス性のものを除く) 789.4mg/kg、成分総計 789.4mg/kg、泉質名はアルカリ性単純温泉 (低張性アルカリ性高温泉)。

成分は以下の通り:

陽イオンは、
ナトリウムイオン (Na) 198.6mg/kg 8.64mval/kg 84.05mval%、
カルシウムイオン (Ca) 30.1mg/kg 1.50mval/kg 14.59mval%、
カリウムイオン (K) 4.8mg/kg 0.12mval/kg 1.17mval%、
以下略、
計233.7mg/kg 10.28mval/kg。

陰イオンは、
硫酸イオン (SO4) 321.1mg/kg 5.59mval/kg 63.11mval%、
塩素イオン (Cl) 92.8mg/kg 2.65mval/kg 25.00mval%、
炭酸水素イオン (HCO3) 55.0mg/kg 0.90mval/kg 8.49mval%、
フッ化物イオン (F) 4.7mg/kg 0.25mval/kg 2.36mval%、
以下略、
計477.7mg/kg 10.60mval/kg。

遊離成分は非解離成分は、
メタけい酸 (S2SiO3) 74.8mg/kg 0.96mmol/kg、
以下略、
計78.0mg/kg 1.03mmol。

溶存ガス成分は無し。
飯坂温泉 仙気の湯 温泉分析書
↑ 写真: 飯坂温泉 仙気の湯 脱衣場

若竹分湯糟は、以下の通り飯坂温泉の8ヶ所から湯を集めている:

  • 大門源泉 :福島県福島市飯坂町字大門22の先
  • 筑前源泉 :福島県福島市飯坂町字筑前42番地先
  • 一本松源泉:福島県福島市飯坂町字一本松8の先
  • 新19号源泉:福島県福島市飯坂町字一本松10番1号地先
  • 24号源泉 :福島県福島市飯坂町字一本松17の2
  • 馬場源泉 :福島県福島市飯坂町字馬場20の1
  • 八幡内源泉:福島県福島市飯坂町字八幡内32の先
  • 公民館源泉:福島県福島市飯坂町字八幡8番地

どれも摺上川の西側の源泉なので、それを集めてここまで引いてきているのだろう。

参考資料