日帰り, 1回目, 曇り, 2020年度中76湯目
霧島市牧園の国道沿いに見事な噴湯丘があった。噴湯丘の頂上では、発泡して鼻がツーンとする炭酸臭のある温泉が自噴し、すぐ横を流れる溪流は美しく、あたかも桃源郷のような空間だった。
湯が川に落ちる水際には立派な浴槽が作られていて、特に立入を禁止しているようでも無かったのでこっそり? 楽しませてもらった。自噴泉を直接注いだ素晴らしい鮮度の湯を湛えた浴槽に浸かり、最高の一時だった。どなたかわかりませんが、本当にありがとうございました。
施設・温泉概要
泉温: 50 ℃強
泉質: 不明。近隣の源泉より、ナトリウム・マグネシウム・カルシウム-炭酸水素塩温泉 (低張性・中性・高温泉) と思われる。
旧泉質名: 不明。近隣の源泉より、重曹泉 / 含土類重曹泉 と思われる。
一番良い浴槽の温泉利用方法:
加温 | 加水 | 循環 | 消毒 |
---|---|---|---|
無 | 無 | 無 | 無 |
炭酸泉が自噴する神々しい噴湯丘
国道223号を走っていると、何も施設の無い川沿いに湯気が上がっているのが目に入った。気になったので車を置いて付近を散策していると、川の方へ降りていく道を見つけた。
⬑ 竹林を歩いていくと…
⬑ 湯気の上がる幻想的な源泉地帯に出た
この雰囲気は噴泉丘だ!! 土のような赤茶の地面は全て温泉の成分が積み重なったもの。左手側の水の流れに近付くと…
⬑ 温泉が湧き上がるのが見えた
⬑ 瑞々しい赤茶のオブジェクトの隙間から湧く温泉
湯は噴湯丘の頂上より滔々と湧き出す。槪ね一定量で絶えず流れているようだ。炭酸を多く含んでいるのか、シャワシャワとしている。
温度は50℃強もあり、手で触れないこともないが、掬い上げるには熱い。湧出口の真上で匂いを嗅ぐとツーンと鼻を痺れさせるような炭酸臭があった。
⬑ 湯量は多く、60 ℓ/分 以上の湧出はありそうだ
⬑ 興奮の余りたくさん写真を撮ってしまった
湧きたての温泉をコップに汲んでみると、なんと内側が泡で覆われて、発泡していた!! 自然湧出の炭酸泉だ。素晴らしい自然の恵みに感謝。
⬑ コップの内側に泡
さっそく飲んでみると、明瞭で強い炭酸味で土っぽいサイダーのような印象。続いて塩化土類味、そして弱い苦みがあった。飲み込んでもやはり炭酸感が強いが、微かにタマゴ臭が鼻に抜けた。
ここに来る前に寄った塩浸温泉龍馬公園の湯と比べると、やはり炭酸が圧倒的に強く、その分だけ硫化水素の印象が弱い。
炭酸泉と言えば鉄の金気味、金気臭とセットになっていることが多いが、ここでは不思議なことに金気は無く、味、匂いともに炭酸を単独で知覚した。
⬑ 湧いた湯は周囲を大きな湯溜りを作り、川に向かって流れていく
⬑ 巨大な析出オブジェの上をゆったりと流れて…
⬑ 自然のまま川に落ちていく…
と思いきや、川との境目に何かあるのを見つけた。あれはどうやら浴槽だ。実のところ、この辺りに噴泉丘があることは事前にインターネットで調べて知っていたが、浴槽の存在は知らなかった。
川岸の浴槽
⬑ 噴湯丘の最下部を削って浴槽にしている
浴槽は二段になっていて、上の浴槽から溢れた湯が下に注がれる方式。とても綺麗でよく整備された浴槽だ。
あまりに立派だったので浸かっていいか悩んだが、駄目と書いていないので浴びさせてもらうことにした。
⬑ 上段
⬑ 下段
湯は噴湯丘から流れてきたものをそのまま浴槽に貯めて使っている。浴槽に浸かると沈んだ砂が舞い上がって黄色く濁るが、大量の湯が常に供給されているのであっと言う間に元の透明な湯に戻った。湯の色は無色透明で清澄。湧いた瞬間ほどではないが鮮度は高く、ほのかな炭酸と土の香りがある。
温度は上段で 41℃ ほど。湧出時は 50℃ だった湯も、40℃ 近くまで冷まされて適温になっているようだ。
⬑ 湯の流れは黄白色の帯状に着色
⬑ すぐ横は穏やかな川で景観も素晴らしい
⬑ 流れ落ちる湯の下には魚が来たりする
⬑ 椅子も置いてあり地元で活用されているのだと思う