日帰り, 1回目, 曇り, 2020年度中36湯目
仕事の出張で大阪にやってきた。任務達成後の足で、大阪市内の花乃井温泉に寄ってみたが当面休業。その後、気がついた時にはなぜか、和歌山市内のスーパー銭湯「ふくろうの湯」の前に立っていた。
「ふくろうの湯」は街中の施設だが、成分総計37000mg/kgの極めて濃い温泉が湧出している。今回はさらに夏季限定かつ曜日限定の、31℃の源泉ぬる湯の非加熱掛け流しをやっていて素晴しい温泉だった。和歌山市になら住んでもいい。
施設・温泉概要
所在地: 和歌山市本町2丁目1番地 フォルテワジマ地下1階
Web: ふくろうの湯
日帰り入浴: 可
宿泊: 不可
源泉名: ふくろうの湯
湧出地: 和歌山県和歌山市南大工町13番地
湧出量: 65 ℓ/分 (掘削1,500m・動力揚湯)
泉温: 31.0 ℃
pH: 6.7
成分総計: 37230 mg/kg
泉質: 含鉄-ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩強塩温泉 (高張性・中性・低温泉)
旧泉質名: 鉄泉 / 含塩化物鉄泉
温泉の利用方法:
加温 | 加水 | 循環 | 消毒 |
---|---|---|---|
無 | 無 | 無 | 無 |
温泉
「ふくろうの湯」は和歌山市内の商店街「ぶらくり丁」にある商業施設「フォルテワジマ」地下にあるスーパー銭湯。かつて存在した老舗の百貨店「丸正」の跡地に2007年12月にオープンしたとのこと[1]。
フォルテワジマは南海電鉄の和歌山市駅からは1km弱、JR和歌山駅からは1.5km強でそこそこ便利な場所に建っていた。初めて訪れる繁華街やら商店街を見ながら歩いていると見付かった。こんな街中に源泉をそのまま利用した温泉があるなんて素晴らしい。
⬑ 商業ビル前にふくろうの湯の看板
⬑ 地下に綺麗な空間
⬑ 入口は、都市の駅前ビジネスホテル的な感じ
⬑ 食事処はもちろん、岩盤浴とかマッサージとかある系
ふくろうの湯では、地下1,500mから湧出する強塩泉を使用している。その成分総計は37,000mg/kgを超えており、非常に濃厚な古代海水系温泉だ。なお館内の紹介では遊離二酸化炭素を1,430mg/kgも含むと書いてあるが、2017年の分析では338mg/kgになっている。結構数値が小さくなってしまったようだ。
⬑ 溶存物質 38,110mg/kg !!
狙いは源泉ぬる湯風呂。源泉を加温せずそのまま掛け流しで使用しているが、夏季限定でかつ毎週水・金・土しか実施していない。このために和歌山までやって来たのだった。
⬑ 加温せずそのままの温度でお楽しみいただけます
温泉使用の浴槽と浴感
温泉を使った浴槽には、源泉掛け流し風呂浴槽の他、温泉風呂大浴槽、壺湯、座湯があった。掛け流しの浴槽は日にち限定で非加熱源泉を使い、加温無し、加水無し、循環無し、消毒無し。他の浴槽は加温有り、加水無し、循環・濾過有り、消毒有り。
循環の浴槽の湯は無色透明で、特徴もほとんど無くそれほど楽しめない。源泉浴槽の順番待ちで浸かれば十分と思った。
源泉浴槽は細長い長方形で、4人程が並んで入浴できる大きさ。見た目はもっと広いが、湯口下付近1mは足場があって浅くなっており、座っても腰下までしか浸かれない。もっとも、浅い部分こそ鮮度が最高なため、半分臥した体勢で無理矢理入浴してみたりした。
湯は黄緑色でやや白く濁っていて、見通し10cmは強しかなく、入浴中は身体がほとんど見えない。浴槽には茶色い析出物があり、湯口周りにオブジェクトが形成されている他、湯面に沿って庇状の析出物が延びている。壁は赤茶色に塗られ、味わいある光景になっている。
湯の温度は36℃くらいで分析書に記載の源泉温度よりやや温かい。ぬるいためか、しばらく浸かっていても、そこまで疲れなかった。5分程も浸かっていると肌に泡付きあり、炭酸泉らしいポカポカ感も感じられた。入浴後は少しベタベタする。
匂いは弱く金気臭が香った。食塩臭があるが強くない。湯口から湯を手に掬って飲んでみると複雑な味覚。はじめに舌の左右にくる強い鹹味があって塩辛く苦い。追いかけるようにして、鉄系の金気と、炭酸のピリピリする感覚があった。味に変化があって、飲むほどに楽しい温泉である。
温泉の成分
温泉分析書は脱衣場に掲示されていたような記憶がある。湧出地はフォルテワジマのすぐ裏手のようだ。
⬑ 温泉分析書
⬑ 温泉分析書別表
⬑ 保険所への届出 (2007年)
以下は自前のプログラムに分析書のデータを入力して、自動計算したもの。本物の分析書とは計算精度等の理由によりやや値が異なる場合があるかもしれない。
源泉名: ふくろうの湯
湧出地: 和歌山県和歌山市南大工町13番地
分析年月日: 平成29年6月27日
湧出量 65 L/min (掘削・動力揚湯)
pH 6.7
泉温: 31.0 ℃ (気温27℃)
泉質 含鉄-ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩強塩温泉 (高張性・中性・低温泉)
溶存物質合計 (ガス性のものを除く) 36895.13 mg/kg
成分総計 37232.63 mg/kg
温泉の成分は以下の通り:
(1) 陽イオン
成分 | ミリグラム [mg/kg] | ミリバル [mval/kg] | ミリバル% [mval%] |
---|---|---|---|
水素イオン (H+) | 0.1以下 | -- | -- |
リチウムイオン (Li+) | 11.00 | 1.58 | 0.28 |
ナトリウムイオン (Na+) | 11440 | 497.61 | 88.98 |
カリウムイオン (K+) | 163.60 | 4.18 | 0.75 |
アンモニウムイオン (NH4+) | 36.50 | 2.02 | 0.36 |
マグネシウムイオン (Mg2+) | 476.30 | 39.19 | 7.01 |
カルシウムイオン (Ca2+) | 267.70 | 13.36 | 2.39 |
ストロンチウムイオン (Sr2+) | 15.90 | 0.36 | 0.06 |
アルミニウムイオン (Al3+) | 0.1以下 | -- | -- |
マンガンイオン (Mn2+) | 0.20 | 0.01 | 0.00 |
鉄 (II) イオン (Fe2+) | 24.60 | 0.88 | 0.16 |
鉄 (III) イオン (Fe3+) | 0.1以下 | -- | -- |
陽イオン計 | 12440 | 559 | 100.00 |
(2) 陰イオン
成分 | ミリグラム [mg/kg] | ミリバル [mval/kg] | ミリバル% [mval%] |
---|---|---|---|
フッ素イオン (F-) | 0.1以下 | -- | -- |
塩素イオン (Cl-) | 15380 | 433.81 | 78.37 |
臭素イオン (Br-) | 37.70 | 0.47 | 0.08 |
ヨウ化物イオン (I-) | 0.1以下 | -- | -- |
硫化水素イオン (HS-) | 0.1以下 | -- | -- |
チオ硫酸イオン (S2O32-) | 0.1以下 | -- | -- |
硫酸イオン (SO42-) | 15.40 | 0.32 | 0.06 |
亜硝酸イオン (HNO2-) | 0.20 | 0.00 | 0.00 |
硝酸イオン (NO3-) | 16.20 | 0.26 | 0.05 |
リン酸水素イオン (HPO42-) | 0.60 | 0.01 | 0.00 |
炭酸水素イオン (HCO3-) | 7240.0 | 118.66 | 21.44 |
炭酸イオン (CO32-) | 0.1以下 | -- | -- |
陰イオン計 | 22690 | 554 | 100.00 |
(3) 遊離成分
成分 | ミリグラム [mg/kg] | ミリモル [mmol/kg] |
---|---|---|
メタ亜砒酸 (HAsO2) | 0.1以下 | -- |
メタケイ酸 (H2SiO3) | 197.50 | 2.53 |
メタホウ酸 (HBO2) | 1568.0 | 35.78 |
非解離成分計 | 1765.5 | 38.31 |
成分 | ミリグラム [mg/kg] | ミリモル [mmol/kg] |
---|---|---|
遊離二酸化炭素 (CO2) | 337.50 | 7.67 |
遊離硫化水素 (H2S) | 0.1以下 | -- |
溶存ガス成分計 | 337.50 | 7.67 |
(4) その他の微量成分
成分 | ミリグラム [mg/kg] | ミリモル [mmol/kg] |
---|---|---|
総砒素 (As) | 0.00 | 0.00 |
総水銀 (Hg) | 0.00005 mg未満 | -- |
銅イオン (Cu) | 0.05未満 | -- |
クロム (Cr) | 0.01 mg未満 | -- |
鉛イオン (Pb) | 0.01 mg未満 | -- |
カドミウムイオン (Cd) | 0.01 mg未満 | -- |
亜鉛イオン (Zn) | 0.01 | 0.00 |
微量成分計 | 0.03 | 0.00 |
下記にも掲載しました。
ふくろうの湯 - 湯花草子