日帰り, 1回目, 晴れ, 2020年度中32湯目

那須岳周辺の温泉は那須十一湯と言われ、多数の温泉が湧出しているが、実は旅館の営まれていない温泉がさらに多くある。膳棚の湯は、飯森温泉跡の少し下の崖の中腹で自噴する硫黄泉。強い硫黄成分が感じられる温泉で気持ち良かった。温度は低いので入浴するなら夏が良いだろう。

施設・温泉概要

所在地: 栃木県那須郡那須町大字湯本
湧出地: 栃木県那須郡那須町大字湯本
泉質: 硫黄泉 + 単純温泉?

温泉の利用方法: 野湯

峠の茶屋駐車場〜那須ファミリースキー場

現在時刻は午前4:30、那須岳の峠の茶屋駐車場にいる。昨晩は越谷天然温泉美人の湯 ゆの華で入浴してから、那須岳の野湯に入浴するため夜通し那須まで下道で走ってきた。真夏の空はこの時間でも朝の支度に取り掛かっている。

朝
⬑ 東の空は藍色で塗り分けたように美しい色合いを帯びていた

駐車場
⬑ 停まっている車では登山客がまだ朝を待っているのだろう

これから膳棚の湯の呼ばれる野湯へ向かう。膳棚の湯は殺生石から牛ヶ首へ登る登山道の途中の小さな噴気帯の崖に湧く温泉である。ルートは何通りか選べるが、今回はまず明礬沢に沿う登山道を下って大丸温泉の前まで行った後、さらに車道から下りて、那須ファミリースキー場を通る登山道から、牛ヶ首の登山道に入ることにした。

那須岳に向う道は無視して、仄かに明るい道を下って行く。

レールラック
⬑ モノラックだ。明礬沢での作業用だろうか

明礬沢まで下ると「奥の沢源泉」があって松川屋等に引いて使っているらしい。今回は残念ながら見学できなかった。

ガス抜き
⬑ 登山道にはパイプが見え隠れし、時々ガス抜きらしき設備

ガス
⬑ 時々上がる蒸気からは硫化水素臭が香った

小地獄
⬑ 大丸温泉前の沢の源流部には小さな噴気地帯

パイプ
⬑ ガス抜き付近は濃い硫化水素臭が漂う

大丸温泉旅館を見下ろす
⬑ 大丸温泉旅館の屋根が見えた

大丸温泉旅館 源泉設備
⬑ 大丸温泉の温泉設備か?

宝篋印塔
⬑ 宝篋印塔の建つここが江戸時代の登山道だったらしい

大丸温泉旅館 入口
⬑ 大丸温泉旅館への入口から出てきた

あじさい
⬑ 咲き乱れる紫陽花

お土産屋
⬑ 那須大丸ガーデンも日帰り入浴可能

景色
⬑ 那須大丸ガーデンからの景色はだいぶ明るくなってきていた

施設
⬑ 休暇村那須にはたくさんの車

スキー場入口
⬑ 休暇村那須から車道を歩きスキー場へ入る。左ははずれ

スキー場
⬑ 那須ファミリースキー場

那須ファミリースキー場まで来たところで失敗してしまった。登山道が見つけられず、違う沢に下りてしまったのだ。少し前に旧神瀧温泉の廃道で藪漕ぎしたせいで感覚が麻痺してせいだ。

誤った道
⬑ なぜかこれが登山道の入口に見えた

間違い
⬑ 背丈を越える笹藪

間違い
⬑ 小動物にでもなったような視界だが笹が大きすぎるだけ

数十メートル進んだところで間違いに気付いたが、随分と遅かった。盛夏の笹は固く、押すと跳ね返って顔をビシバシ叩いてくる。笹藪の下りは植生の方向に沿い、そこそこ進むことができるが、登りは逆向きになって前に歩けない。さながら罠のようだ。

なんとか格闘して戻ってくることができたが、汗だくになって体力もかなり消耗してしまった。笹に打たれて手足が痛い。

スキー場に戻ってきた
⬑ 草っ原に寝転がって休憩した

少し休んだが早くもヘトヘトだ。コロナで運動不足なこともあって体力が無い。気合いで適当に歩いてゲレンデの端を登った。

リフト
⬑ リフト下も通りたくなるが間違い

那須ファミリースキー〜膳棚の湯

少し進むと普通の道標が現われた。ああ、ちゃんと整備されている。

登山道入口
⬑ 殺生石、牛ヶ首へ

登山道
⬑ ちゃんと木道が整えられている

アジアへ
⬑ この遊歩道は、アジアへ続く!

晴清水
⬑ アジアはわからないが生湧水があった

晴清水
⬑ 岩の下より湧き砂を巻き上げている

晴清水
⬑ 晴清水でペットボトルを満タンにして救われた

合流
⬑ やっと登山道と合流

登山道とパイプ
⬑ 引湯か飲料水のパイプ? 使われていなそうだが

登山道と
⬑ 立派な設備もあったのでやっぱり現役?

普通の登山道を適当に登っていくと、尾根に出てすぐに温泉を発見した。写真ではよくわからないが、突然開けた場所があるので、考えるよりも先に温泉が視界に飛び込んできた。

棚膳の湯 上から
⬑ 真ん中の白い部分が膳棚の湯

膳棚の湯について

膳棚の湯の元へ辿り着くには崩れた斜面を下る必要がある。怪我したりするほどではないが、あまり油断すると転んだり落ちたりしかねないので、慎重に下りた。安全に行くなら、少し先の林に踏み跡があるので、それを辿ると良いだろう。斜面では濃い目の硫化水素臭が香る場所もあった。

棚膳の湯 絶景
⬑ 那須高原方面を見下ろず絶景 沢の底までは200mの高低差

棚膳の湯
⬑ 流れ出した真っ白い湯が斜面を染めていた

浴槽は浅くなっていたので例の如く掘りながら入浴したが、土が固く素手ではあまり深さが稼げず、仕方が無いので浴槽の縁を高くして湯の嵩を上げて入浴した。スコップを持参した方が快適だろう。

最初の状態の浴槽の湯は透明で、浴槽の底には白い泥が積もっていた。

棚膳の湯 浴槽
⬑ 浴槽を掘ったらクリーム色になり透明に戻らなかった

温泉は実は2つの湯を混合してしていて、浴槽のすぐ横から浅く自噴している硫黄泉と、ホースで引いてきている湯から成っている。

前者は浴槽の横30cmで湧出している。湧き出した直後は透明だが、硫黄分が析出して地面を白く染めていた。湯量は少なく、温度は35℃程度でかなり温い。

棚膳の湯 源泉
⬑ 硫黄泉は浴槽横の数ヶ所から浅く自噴している

カップに汲んで飲んでみると、酸味が先行しつつ、硫黄の強い毒味・苦味があってゾッとするほど不味い。濃い硫黄泉は大体不味いものだが、ここまで不味いことはあまり無い。匂いは微かに硫化水素臭が香った。

棚膳の湯 コップ
⬑ 湯量が少なく少量しか汲めなかった

ホースで引いている温泉は、ホースを辿っていくと、浴槽より上、登山道のすぐ下に差し込まれたパイプから流れ出していた。温度は39℃位で適温。無色透明で無味無臭だった。

棚膳の湯 源泉
⬑ ホースが絶妙な位置で湯を受けていた

30分ほど入浴していると身体が冷えて寒くなってきたので、上がって服を着た。8月の真夏でも冷えるので他の季節の入浴は修行だろう。体にはガッツリと硫黄臭が付いていて香ばしかった。