日帰り, 1回目, 晴れ, 2020年度中19湯目
鬼首で神滝温泉裏の源泉旧神瀧温泉を訪れたあとは、本日の宿泊予定場所である玉川ダムキャンプ場を目指して秋田県にやってきた。湯沢市に着いたころ藪漕ぎの疲れが出てきたため入浴して休憩を…ということで見つけた戸波鉱泉に入浴した。
柔らかいタマゴ臭に包まれながらゆったりと入浴して体力が回復した。特にシャワー、カランは源泉掛け流しなのが素晴しく、浴びていると心も身体も洗われて、シャキッとした。場所も便利で、秋田県南東部に行ったときにはまた活用した温泉だ。
施設・温泉概要
所在地: 秋田県横手市増田町戸波字吉ケ沢口9-3
Web: 戸波鉱泉公式ホームページ
日帰り入浴: 可 9:00-20:00
宿泊: 不可
源泉名: 戸波鉱泉
湧出地: 秋田県横手市増田町戸波字吉ケ沢口9-3
湧出量: 3.0 L/分 (ボーリング・自噴)
泉温: 12.7 ℃
pH: 9.3
成分総計: 452.9 mg/kg
泉質: 温泉法第2条別表に規定する総硫黄の項により温泉に適合する
温泉の利用方法: 加温有り、加水無し、循環有り、消毒有り
戸波鉱泉の施設
秋田県の横手盆地は広大な稲作地帯を擁する平野だが、実は湯沢〜十文字の間くらいまで小さな山地が食い込んでいて、北端に標高353mの天ヶ台山 (あまがだいやま) がある。その東麓には隠れるようにして戸波の集落があって、戸波鉱泉はその中でも少し外れて奥まったところにあった。平野の片隅にいるはずなのに、ここだけ山間のような雰囲気があった。
戸波鉱泉は元々湯治宿だったが、現在は日帰り入浴のみの営業になっている。入口で入浴料金を払い館内に進むと小さな休憩室があって、そこから暖簾を潜った先の廊下で男女別の脱衣場、浴場へ分かれる。館内は素朴で安心感がある。
↑ 素朴な休憩室
↑ 素朴な廊下
↑ やけにたくさんのうさぎが描かれた暖簾を潜って脱衣場へ
↑ 素朴でどことなくばあちゃんち感がある脱衣場
↑ やっぱ東北の温泉はこういう雰囲気が良いよね
温泉の浴槽と浴感
浴室に入ると、既に2人の地元っぽい方が既に入浴中だった。その後も入れ替わるように新しい人が入ってきており、夕方は軽い賑いがある。貸切になる時間は無かったので、今回写真は無い。
浴室内では左手側・正面に浴槽が1つあり、温泉を使用している。右手側にシャワーとカランがあり、これも温泉を使用している。
浴槽はタイル張りで、壁にピッタリと付いた扇形の曲線を内側に歪ませたような形状で、ハート型とも表現できる。大きさは3人までなら入浴できる程度で、快適に浸かるなら2人くらいが良い。角に湯口があって、湯がジャバジャバと注がれている。オーバーフローはほぼ無く、浴槽内で吸入して加温後、新湯と混合して湯口から注がれる方式。温泉の使用方法は加温有り、加水無し、循環有り、消毒有りだが、塩素消毒の匂いは感じなかった。
浴槽温度は42℃くらい。温度はそれほど高く無いが、野湯を巡って疲れたせいか、夏で外気温が高いせいか、長時間浸かり続けることはできなかった。意外と休みたくなる湯。
浴槽の湯の色はなぜかやや黄色がかり薄く濁っている。槪ね透明で浴槽の底はよく見える。
入浴中は体が少しツルツルした。これはpH9.3のアルカリによるものだろう。
カラン・シャワーは温泉を掛け流しで使用している。そういう訳で意気揚々と手を樋のようにして水道から口へ湯が流れるようにして、がぶ飮みした。大量に飲んだところ、硫黄系のタマゴ味が感じられた。飲み干したあとには鼻からはっきりとしたタマゴ臭が抜けて心地良い。また、体を流していても弱い硫黄臭が漂ってくる。
↑ 温泉の使用方法が明示されている
効能の掲示があったので書き起しておく。確かに秋田の温泉にアルカリ性のイメージは無い。どうして奥羽山脈近くなのにアルカリ性になるんだろう。
戸波鉱泉効能
神経痛 リュウマチ 冷症
胃腸病 事故等に依り打身其ノ他当泉はPH9.0という極めて珍らしいアルカリ性であり県内でPH9.0以上のものとしては、湯瀬、森岳温泉、二ツ井町梅内鉱泉の3泉が知られているだけであり、したがって戸波鉱泉は珍しい存在といえる (秋田大学近藤教授 1965年) とされていあますう。従って温たまりの効果は著じるしいものが有り、上記の症状には卓効があるとされていますので症状に見合う入浴をお推めいたします。
戸波鉱泉
↑ 珍しい強アルカリ性泉
温泉の成分
温泉分析書が脱衣場外の廊下に掲示されていた。新旧の2つがあって、古い方は昭和43年の分析で歴史がある。ちゃんと最近の分析書もあり、紙で掲示されていた。
↑ 温泉分析書
↑ 温泉分析書 詳細版
以下は自前のプログラムに分析書のデータを入力して、自動計算したもの。本物の分析書とは計算精度等の理由によりやや値が異なる場合があるかもしれない。
源泉名: 戸波鉱泉
湧出地: 秋田県横手市増田町戸波字吉ケ沢口9-3
分析年月日: 平成22年1月6日
湧出量 3 リッター/分 (ボーリング・自分)
pH 9.3
泉温: 12.7 ℃ (調査時における気温11℃)
泉質 温泉法第二条の別表中に示されたの項で温泉法の温泉に適合する
溶存物質合計 (ガス性のものを除く) 452.5 mg/kg
成分総計 452.5 mg/kg
温泉の成分は以下の通り:
(1) 陽イオン
成分 | ミリグラム [mg/kg] | ミリバル [mval/kg] | ミリバル% [mval%] |
---|---|---|---|
水素イオン (H+) | -- | -- | -- |
リチウムイオン (Li+) | 0.1mg未満 | -- | -- |
ナトリウムイオン (Na+) | 127.20 | 5.53 | 95.02 |
カリウムイオン (K+) | 6.70 | 0.17 | 2.92 |
アンモニウムイオン (NH4+) | 0.50 | 0.03 | 0.52 |
マグネシウムイオン (Mg2+) | 0.30 | 0.02 | 0.34 |
カルシウムイオン (Ca2+) | 1.40 | 0.07 | 1.20 |
ストロンチウムイオン (Sr2+) | 0.1mg未満 | -- | -- |
アルミニウムイオン (Al3+) | 0.1mg未満 | -- | -- |
マンガンイオン (Mn2+) | 0.1mg未満 | -- | -- |
鉄 (II) イオン (Fe2+) | 0.1mg未満 | -- | -- |
鉄 (III) イオン (Fe3+) | 0.1mg未満 | -- | -- |
亜鉛イオン (Zn2+) | 0.1mg未満 | -- | -- |
陽イオン計 | 136 | 5.82 | 100.00 |
(2) 陰イオン
成分 | ミリグラム [mg/kg] | ミリバル [mval/kg] | ミリバル% [mval%] |
---|---|---|---|
フッ素イオン (F-) | 0.70 | 0.04 | 0.71 |
塩素イオン (Cl-) | 12.00 | 0.34 | 6.01 |
臭素イオン (Br-) | 0.1mg未満 | -- | -- |
ヨウ化物イオン (I-) | 0.1mg未満 | -- | -- |
硫化水素イオン (HS-) | 1.00 | 0.03 | 0.53 |
チオ硫酸イオン (S2O32-) | 0.20 | 0.00 | 0.00 |
硫酸イオン (SO42-) | 9.00 | 0.19 | 3.36 |
硝酸イオン (NO3-) | 0.1mg未満 | -- | -- |
リン酸水素イオン (HPO42-) | 1.20 | 0.03 | 0.53 |
炭酸水素イオン (HCO3-) | 229.40 | 3.76 | 66.43 |
炭酸イオン (CO32-) | 37.40 | 1.25 | 22.08 |
メタホウ酸イオン (BO2) | 0.80 | 0.02 | 0.35 |
陰イオン計 | 292 | 5.66 | 100.00 |
(3) 遊離成分
成分 | ミリグラム [mg/kg] | ミリモル [mmol/kg] |
---|---|---|
メタケイ酸 (H2SiO3) | 24.70 | 0.32 |
メタホウ酸 (HBO2) | -- | -- |
非解離成分計 | 24.70 | 0.32 |
成分 | ミリグラム [mg/kg] | ミリモル [mmol/kg] |
---|---|---|
遊離二酸化炭素 (CO2) | -- | -- |
遊離硫化水素 (H2S) | 0.1mg未満 | -- |
溶存ガス成分計 | 0.00 | 0.00 |
(4) その他の微量成分
成分 | ミリグラム [mg/kg] | ミリモル [mmol/kg] |
---|---|---|
総砒素 (As) | 0.02mg未満 | -- |
総水銀 (Hg) | 0.0005mg未満 | -- |
クロム (Cr) | 0.05mg未満 | -- |
鉛イオン (Pb) | 0.05mg未満 | -- |
カドミウムイオン (Cd) | 0.005mg未満 | -- |
微量成分計 | 0.00 | 0.00 |
下記にも掲載しました。
戸波鉱泉 - 湯花草子
↑ 温泉分析 (昭和43年) も掲げられていた