曇り 飲用のみ

峰温泉は静岡県河津町にある温泉で、約100℃の温泉が約30mまで噴き上がるという、峰温泉大噴湯が有名である。

峰温泉と近隣の温泉

峰温泉大噴湯では、大正15年に掘削した湯孔より、毎分600Lの湯が自噴しているのだそうだ。600L/分は、源泉かけ流しの温泉施設を2〜3つ程度まかなえる位の湯量である。この規模の源泉を間近に見られるのは大変ありがたいことである。

ちなみに河津町内では合計5100L/分の湯が湧出している。近隣の峰温泉、田中温泉、沢田温泉、逆川温泉の合計では1740L/分が湧出している。このあたりは前日に宿泊した七滝温泉ホテルの記事で書いた。2020/1/11 七滝温泉七滝温泉ホテル

峰温泉大噴湯は説明によると、大正15年に掘り当てたときには50mまで湯が上がったとのこと。現在の噴き上げは栓の開閉によって起きるもので、天然の間歇泉ではないらしい。派手に噴くのもよいが、ドンドコと溢れる湯も見てみたい気もする。ちなみに掘削深度は36.4m、櫓の高さは10mである。

現地の看板では、湯孔の内側に付着するスケールを除去するメンテナンスについて紹介しており、1週間で厚さ1cm程になるスケールを、ノミで週2回除去しているとのこと。

峰温泉の管理保全
↑ 写真: 峰温泉の管理保全

過去に使っていたノミや、スケールの実物も展示されていた。

峰温泉大噴湯 スケール落とし用のノミ
↑ 写真: スケールを落とすノミ

峰温泉大噴湯 スケール
↑ 写真: 厚いスケール

峰温泉大噴湯 スケール
↑ 写真: 長いスケール

広報かわづによると、スケールの除去作業では、職人がノミをウインチで動かして削り取るそうだ。難しそうな作業だ。かき出した湯の華は河津温泉組合が入浴剤「かわづの湯」として販売するしているらしい。今度行ったら買ってきたいと思う。

峰温泉とのその周辺の源泉は集中管理が行なわれており、「峰2号源泉」「辰の湯源泉」「新花田源泉」は井戸水と共に一度峰地区送湯ポンプ場に集められ、峰配湯所に送られた後に峰地区、田中笹原地区に配られる。田中笹原地区では、「谷津18号源泉」「谷津43号源泉」を集めた谷津地区送湯ポンプ場、浜配湯所からも温泉が供給されている。例えば近くの日帰り入浴施設である踊り子温泉会館では、浜配湯所から供給される湯を利用している。

大噴湯

大噴湯から湧く源泉は「峰2号源泉」である (っぽい)。

峰温泉大噴湯 源泉の行方
↑ 写真: 温泉は隣の小屋に吸い込まれていく

峰温泉大噴湯 源泉櫓
↑ 写真: 源泉櫓

櫓の下には自動間歇噴湯装置なるカッコイイ機械が設置されていた。

峰温泉大噴湯 源泉櫓メーカー
↑ 写真: 自動間歇噴湯装置

今回、入浴はしなかったのだが、コップで湯を汲んで飲んでみた。

温泉櫓の横には温泉玉子を作るための小さい湯槽がある。現地の売店で卵を買って、ここの湯に沈めて10分程待つと温泉卵が出来上がるというわけだ。湯の噴出を待ちながら卵を茹でられるのでなかなか良い。

峰温泉大噴湯 茹で卵
↑ 写真: 大噴湯たまご作りコーナー

もちろん温泉玉子を作れるくらいなので入浴はできない。ただ湯は櫓から竹筒で直接引いてきており、湧いてから数秒の極めて新鮮なものである。

峰温泉大噴湯 峰温泉の湯
↑ 写真: 峰温泉の湯を汲んでみた

飲めるくらいまで冷めるのに数分かかってしまうのが惜しい。

温泉の利用方法・味など

言うまでも無いが加温無し、加水無し、循環無し、消毒無し。人間が高温泉を体感できる限界に近い新鮮な状態で飲用。

飲んでみると、基本はお湯味で、僅かな塩味があった。全体的な印象としては直前に入浴した梨本温泉と同じような感じで、胃腸に効きそうである。
僅かに硫黄感のようなキツい味覚があったような無かったような気がした。

色は無色透明。匂いも特に無し。

温泉の成分

なお大噴湯の隣の旅館、花舞 竹の庄では峰温泉の湯をそのまま利用している唯一の施設であるという噂がある。そこの温泉分析書の数値を以下に書いてみる。

源泉名は「峰温泉第2号 峰2号」、湧出地は「賀茂郡河津町峰字三良助212-2」、分析年月日は2008.7.10。湧出量は632L/分 (掘削自噴)、pH 8.5、泉温 99.3℃。溶存物質 (ガス性のものを除く) 2111mg/kg、成分総計 2419mg/kg、泉質はナトリウム-塩化物泉 (低張性・アルカリ性・高温泉)。

成分は以下の通り:

陽イオンは、
ナトリウムイオン (Na) 682.3mg/kg 29.68mval/kg 81.32mval%、
カルシウムイオン (Ca) 101.5mg/kg 5.06mval/kg 13.86mval%、
カリウムイオン (K) 64.3mg/kg 1.64mval/kg 4.49mval%、
マグネシウムイオン (Mg) 1.5mg/kg 0.12mval/kg 0.33mval%、
計 849.6mg/kg 36.50mval/kg。

陰イオンは、
塩化物イオン (Cl) 1142mg/kg 32.21mval/kg 87.48mval%、
硫酸イオン (SO4) 178.1mg/kg 3.71mval/kg 10.8mval%、
炭酸イオン (CO3) 14.4mg/kg 0.48mval/kg 1.30mval%、
炭酸水素イオン (HCO3) 24.4mg/kg 0.40mval/kg 1.09mval%、
以下略、
計 1361mg/kg 36.82mval/kg。

遊離成分で非解離成分は、
メタケイ酸 (H2SiO3) 204.2mg/kg 2.61mmol/kg、
メタホウ酸 (HBO2) 4.4mg/kg 0.10mmol/kg、
計 208.6mg/kg 2.71mmol/kg。

玉峰館の湯

大噴湯の裏手には玉峰館という旅館があり、その横にも大噴湯ほど大きくはないが立派な源泉櫓があり、さかんに蒸気を噴き上げている。その下を見てみると湯が少しだけ漏れ出して捨てられていたので、せっかくだから湯を汲んで飲んでみた。大噴湯との識別するのは難しそうだが…。

玉峰館の源泉櫓
↑ 写真: 玉峰館の源泉櫓

玉峰館の湯
↑ 写真: 玉峰館の湯

なお大噴湯は玉峰館の創業者が掘り当てたものらしい。

参考資料