2020/6/5 深大寺天然温泉 湯守の里

日帰り, 1回目, 晴れ, 2020年度 No.2

新型コロナウィルス感染症拡大の対策として、4/7に緊急自体宣言が発令され、日帰り入浴施設もその多くが営業を自粛することとなった。それから2ヶ月、外出自粛は継続して要請されているものの、緊急自体宣言が5/25に解除されたことを受け、6月になると日帰り入浴施設は徐々に営業を再開し始めた。

「深大寺 (じんだいじ) 天然温泉 湯守の里」は東京都調布市の日帰り入浴施設で、6/1から営業を再開。人混みを避けて平日にバイクで行く分には問題無かろうということで早速行ってきた。今年は「溝口温泉 喜楽里」を訪れてから2ヶ月ぶりの温泉だ。

2020/4/5 溝口温泉 喜楽里

施設・温泉概要

住所: 東京都調布市深大寺元町2-12-2
営業時間: 10:00~22:00, 年中無休
公式サイト: 深大寺天然温泉「湯守の里」
日帰り入浴のみ

源泉名: 深大寺温泉 城山の湯
湧出量: 122.4 L/分 (掘削1,500m・動力揚湯)
泉温: 38.4℃
成分総計: 8.912 g/kg
泉質: ナトリウム-塩化物温泉 (等張性弱アルカリ性温泉)

施設について

「深大寺天然温泉 湯守の里」は関東屈指の天台宗の古刹として知られる深大寺の南側にある日帰り入浴施設。深大寺城跡と池上院、野川、中央自動車道といった新旧入り乱れる狭間のような処にあり、場所がわかりにくい。

かつてこの場所には城山亭という風呂付き料亭があったらしい。1999年に城山亭で温泉を掘り当てたことから「深大寺温泉 ゆかり」をオープンした。その後2014年1月末に経営者が代わり「深大寺天然温泉 湯守の里」になったとのこと。建物は「ゆかり」時代のものがほぼそのまま利用されているようだ。


↑ 写真: 湯守の里 外観

上の写真だと右側の無骨な建物が目立つが、入口は奥の家のような建物の方にある。正面から見たのが冒頭の写真。

館内は古民家風になっている。歴史的風情とはいかないが、単なるスーパー銭湯よりは雰囲気が出ている。


↑ 写真: 湯守の里 館内入口


↑ 写真: 湯守の里 館内廊下

浴場は男女共に1階にある。改めて地図で見てみると、けっこうギッシリと詰め込んだ感じだ。2階には休憩室と食事処がある。


↑ 写真: 湯守の里 館内図

温泉の利用方法と浴感

浴場は男女別で、先の図を見るに浴槽の構成・配置も異なっているようだ。男湯には洞窟風呂がある代わり、女湯には赤道鈴之介 (?) と高見桧風呂がある。また、五右衛門風呂が男湯は1つだけなのに対し、女湯には2つある。よくわからないが、女湯の方が優遇されていそうに見える。珍しい。

男湯では、温かい湯の浴槽は全て温泉利用だった。内湯に大浴槽が1つ、露天風呂には香り風呂、滝見露天風呂、五右衛門風呂、大浴槽、洞窟風呂の6つ。他に水風呂があるが、温泉でない。

湯の良さ的には五右衛門風呂が一番で、次点で内風呂、滝見露天風呂という印象を受けた。五右衛門風呂は一番源泉側にも近いし、オーバーフローもちゃんとあり良い。ただし1つしか無いため、ご老人と取り合いながら入浴した。

滝見風呂のオーバーフローは露天風呂の横で小さな流れになっている。これはうれしいが、流れの先は排水が追い付かず通路で水溜りになってしまっていた。

香り風呂は今は「夢の浮風呂」という名称になっていて、プロジェクトマッピングで天井に自然派エネルギーを身体で感じられる映像が映しだされるらしい。今回訪問時は稼動しておらず、薄暗い中に浴槽があるだけだった。ここは湯があまり入れ替わっているように見えなかった。

内湯の大浴槽は長方形で8人サイズ。壁側の角に湯口があり、黒い湯が注がれている。普通な感じの浴槽ではあるが、湯口が見えて、オーバーフローもちゃんとあるので安心感がある。

その他、浴槽についてはメモが途中で力尽きておりこれ以上書けない。

いずれの浴槽も加温有り、加水無し、循環・濾過有り、塩素系薬剤電解水による消毒有り。


↑ 写真: 湯守の里 温泉利用

湯の見た目は、ガッツリ黒めの茶褐色透明で、見通しは5cm〜10cm程度の濃い色。浴槽の底は全く見えず、滝見風呂では沼のような雰囲気があった。浴槽の縁も水面より少し上が焦げ茶色に着色されていた。

入浴中の肌触りは、中程度のぬめりがあり、手足の指先がぬるぬるとした。入浴してからしばらく時間が経つとこの感触は無くなった。

五右衛門風呂で湯口の湯を手で汲んで飲んでみると、はっきりとした鹹味があって、やや塩辛い。

匂いはメモが無く忘れた。

湯の温度は17時頃は41℃位で温めだったが、18時を回った頃よりなぜか加温が強くなり42℃位になった気がした。身体の温まりはやや強めで、入浴中に暑くなってくるため長湯はしにくい。湯から上がったあとも熱が続くが、露天風呂で休んでいれば冷えてくるので繰り返し入浴できた。

温泉について

館内には温泉についての案内が掲示されている。地下1,500mからの湧出で、古代海水によるものであると説明があった。またフミン酸を多く含むとのこと。

湯守の里 温泉案内
当施設の温泉は地下1500メートルから湧出した100%天然の温泉を使用しております。
この温泉は数百万年前の大陸移動による地殻変動によって地下にとじこめられた海で、化石海水とも呼ばれています。その化石海水が地熱によって温められ、当施設の温泉となっております。どうぞ温泉に入りながら太古の昔をあじわってください。黒い色は、海水中の海藻類が微生物により分解されてできた「フミン酸」によるもので、当施設のお湯には多量の「フミン酸」が含まれ黒湯となっております。「フミン酸」にはミネラルが多く含まれております。効能も多く、疲れをとるのにとても適した温泉です。
また温泉の浸透圧も、人の体液とほぼ同じ濃さの「等張性」です。「等張性」の温泉は大変珍しく、長く入っても体への負担が少ないやさしい療養型の温泉となっております。
自然からの贈り物であるこの温泉をどうぞごゆっくりお楽しみください。


↑ 写真: 湯守の里 温泉案内

温泉分析書は廊下に掲示されていた。


↑ 写真: 湯守の里 温泉分析書


↑ 写真: 湯守の里 温泉分析書別表

以下は自前のプログラムに分析書のデータを入力して、自動計算したもの。本物の分析書とは計算精度等の理由によりやや値が異なる場合があるかもしれない。

源泉名: 深大寺温泉 城山の湯
湧出地: 東京都調布市深大寺元町二丁目12番6号
分析年月日: 平成21年2月20日

湧出量 122.4 L/分 (動力揚湯)
pH 8.1
泉温: 38.4 ℃ (気温12℃)
泉質 ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉 (等張性・弱アルカリ性・温泉)
溶存物質合計 (ガス性のものを除く) 8886.81 mg/kg
成分総計 8912.81 mg/kg

温泉の成分は以下の通り:

(1) 陽イオン
成分ミリグラム [mg/kg]ミリバル [mval/kg]ミリバル% [mval%]
水素イオン (H+)0.1未満----
ナトリウムイオン (Na+)2966.0129.0196.51
カリウムイオン (K+)72.801.861.39
マグネシウムイオン (Mg2+)12.401.020.76
カルシウムイオン (Ca2+)35.401.771.32
ストロンチウムイオン (Sr2+)------
アルミニウムイオン (Al3+)0.1未満----
マンガンイオン (Mn2+)0.1未満----
鉄 (II) イオン (Fe2+)0.200.010.01
鉄 (III) イオン (Fe3+)0.200.010.01
陽イオン計3087134100.00
(2) 陰イオン
成分ミリグラム [mg/kg]ミリバル [mval/kg]ミリバル% [mval%]
フッ素イオン (F-)0.200.010.01
塩素イオン (Cl-)3637.0102.5975.87
臭素イオン (Br-)------
ヨウ化物イオン (I-)------
水酸イオン (OH-)0.1未満----
硫化水素イオン (HS-)0.1未満----
硫化物イオン (S2-)0.1未満----
硫酸水素イオン (HSO4-)0.1未満----
硫酸イオン (SO42-)0.200.000.00
炭酸水素イオン (HCO3-)1952.031.9923.66
炭酸イオン (CO32-)18.600.620.46
メタ亜砒酸イオン (AsO2-)0.1未満----
陰イオン計5608135100.00
(3) 遊離成分
非解離成分:
成分ミリグラム [mg/kg]ミリモル [mmol/kg]
メタ亜砒酸 (HAsO2)0.1未満--
メタケイ酸 (H2SiO3)126.801.62
メタホウ酸 (HBO2)12.000.27
硫酸 (H2SO4)0.1未満--
腐植質53--
非解離成分計191.801.89
溶存ガス成分:
成分ミリグラム [mg/kg]ミリモル [mmol/kg]
遊離二酸化炭素 (CO2)26.000.59
遊離硫化水素 (H2S)0.1未満--
溶存ガス成分計26.000.59
(4) その他の微量成分
成分ミリグラム [mg/kg]ミリモル [mmol/kg]
総砒素 (As)0.001未満--
総水銀 (Hg)0.0002未満--
銅イオン (Cu)0.0130.00
カドミウムイオン (Cd)0.001未満--
微量成分計0.010.00

成分総計 8.9 g/kgで浸透圧が等張性 (基準: 8.0〜10.0 mg/kg) にあたる。このくらいの中間的な値になっている温泉は多くない。メタケイ酸は126mg/kgで関東では多め。腐植質も含まれていて、これらがフミン酸の含有を示す。主な成分はナトリウムと塩化物イオンだが、陰イオンでは炭酸水素イオンも20mval%強含まれており、古代海水泉と重曹泉の混じったような泉質。

以下にも登録しておきました。
深大寺温泉 城山の湯 - 湯花草子

周辺の温泉

深大寺温泉の周辺には、同じように 1,500m 程度の掘削により湧き出す温泉がいくつか営業している。後学のためにまとめておく。

地質の勉強は今回は見送って、次回この辺りの温泉に入浴したときに考えたい。

小平天然温泉 テルメ小川

小平市の日帰り入浴施設。露店風呂に加温掛け流しの浴槽がある。琥珀色の湯。
ほぼ不感温度での運用になっているためか客の回転が悪く、湯の投入量も少ないので、芋洗い状態になることがある。空いていればいい湯だけど。

住所: 東京都小平市小川町1-2494
営業時間: 10:00〜23:00, 受付22:15まで, 毎月第2水曜日定休
公式サイト: 小平天然温泉テルメ小川
日帰り入浴のみ

源泉名: 小平温泉
湧出量: 158L/分 (掘削1,600m・動力揚湯)
泉温: 34.6℃
pH: 6.1
成分総計: 2.178 g/kg
泉質: ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉 (低張性中性温泉)

過去の訪問:

おふろの王様 花小金井店

行ったことがないけど、極上泉質100%の贅沢源泉掛け流し「王様の湯」(加温) があるらしい。

住所: 東京都小平市花小金井南町3-9-10
営業時間: 9:00~0:00, 受付23:00まで, 年中無休
公式サイト: 花小金井店 | おふろの王様
日帰り入浴のみ

源泉名: 王様温泉 花小金井の湯
湧出量: 255 L/分 (掘削1,500m・動力揚湯)
泉温: 42.8℃
pH: 8.2
成分総計: 4,532 g/kg
泉質: ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉 (低張性弱アルカリ性高温泉)

高井戸天然温泉 美しの湯

高井戸にある温泉。湯の匂いに特徴があるが、内湯は塩素消毒の匂いも強いので、惑わされない嗅覚が必要。そろそろ再訪したい。

住所: 東京都杉並区高井戸西2-3-45
営業時間: 9:30〜24:00, 受付23:30まで
公式サイト: 高井戸天然温泉 美しの湯
日帰り入浴のみ

源泉名: 高井戸天然温泉 美しの湯
湧出量: 240 L/分 (掘削1,600m・動力揚湯)
泉温: 32.8 ℃
pH: 7.78
成分総計: 20.33 g/kg
泉質: ナトリウム-塩化物・強塩泉 (低張性弱アルカリ性低温泉)

過去の訪問: 2015/2/28

国立温泉 湯楽の里

中央自動車道と国道20号、多摩川に挟まれた三角地帯にあるスーパー銭湯。狭かった記憶しか残っていないので、復習必須。

住所: 東京都国立市泉3丁目29-11 フレスポ国立南内
営業時間: 9:30〜25:00, 受付24:00まで
公式サイト: 高井戸天然温泉 美しの湯
日帰り入浴のみ

源泉名: 国立温泉 湯楽の里
湧出量: 724 L/分 (掘削1,800m・動力揚湯)
泉温: 48.5 ℃
pH: 7.82
成分総計: 4.393 g/kg
泉質: ナトリウム-塩化物温泉 (低張性・弱アルカリ性・高温泉)

過去の訪問: 2015年春

府中駅前天然温泉 縄文の湯

府中の街中にある温泉。会員制を採用していて料金も高めだが、反面、人が少ないし浴槽も広いので快適である。見通し10cmくらいの濃い黒湯。

住所: 東京都府中市宮西町1-5-1 フラココ第8ビル
営業時間: 10:00~23:00, 年中無休
公式サイト: 府中駅前天然温泉 縄文の湯
日帰り入浴のみ

源泉名: 縄文の湯
湧出量: 記載無し (掘削1,500m・動力揚湯)
泉温: 37.8℃
pH: 8.2
成分総計: 5,502 g/kg
泉質: ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉 (低張性弱アルカリ性温泉)

過去の訪問: 2017/10/10

稲城温泉 季乃彩 (ときのいろどり)

稲城市の南多摩駅から坂を登ったところにあるスーパー銭湯。岩風呂 源泉かけ流しがある。あまり湯の記憶が残っていないので再訪予定。

住所: 東京都稲城市向陽台6-13
営業時間: 平日9:00~25:00, 土日祝7:00〜25:00, 受付24:00, 年中無休
公式サイト: 稲城天然温泉 季乃彩
日帰り入浴のみ

源泉名: 稲城天然温泉
湧出量: 355ℓ/分 (掘削1,700m・動力揚湯)
泉温: 41.4℃
pH: 8.1
成分総計: 2,021 g/kg
泉質: ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物温泉 (低張性・弱アルカリ性・温泉)

過去の訪問: 2016/11/26

仙川 湯けむりの里

仙川駅の南側の住宅地にあるスーパー銭湯。無色透明、無味、無臭で、浴感にも特徴無く、以前入浴したときは、水道水だと思って入浴した。温泉的な特徴を知覚するのは難しいだろう。

住所: 東京都調布市若葉町2-11-2
営業時間: 10:00~26:00, 受付25:30, 年中無休
公式サイト: 仙川湯けむりの里
日帰り入浴のみ

源泉名: セントラル仙川温泉 (1号源泉)
湧出量: 不明 (動力揚湯)
泉温: 16.6℃
pH: 7.3
成分総計: 0.300 g/kg
泉質: 該当無し メタケイ酸泉

過去の訪問: 2014年冬

そしがや温泉21

行ったことは無いが、黒湯とのこと。泉質は純重曹泉に近いのでぬるぬるが楽しめそうだ。

住所: 東京都世田谷区祖師谷3-36-21
営業時間: 14:00~25:00, 年中無休
公式サイト: そしがや温泉21
日帰り入浴のみ

源泉名: 祖師谷温泉
湧出量: 110 ℓ/min (掘削・動力揚湯) ※28分休んで4分揚湯
泉温: 18.1℃
pH: 8.3
成分総計: 1.142 g/kg
泉質: ナトリウム-炭酸水素塩冷鉱泉 (低張性・弱アルカリ性・冷鉱泉)

ロテン・ガーデン

町田のスーパー銭湯。加温掛け流し浴槽もあるらしい。

住所: 東京都町田市相原町358番地
営業時間: 平日10:00~22:00, 土日祝9:00〜24:00, 年中無休
公式サイト: 天然温泉ロテンガーデン
日帰り入浴のみ

源泉名: 天然温泉ロテン・ガーデン
湧出量: 280 L/分 (掘削1,381m・動力揚湯)
泉温: 34.3℃
成分総計: 0.819 g/kg
泉質: ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉 (低張性アルカリ性温泉)