2020/3/22 草津温泉 共同浴場巡り その3

2020/3/22 草津温泉 共同浴場巡り その3

連休を利用して群馬県の湯巡りをしている。3日目は草津温泉で共同浴場巡りをした。

草津温泉には大小100以上の源泉があり、そのうち7つの源泉が、19箇所の共同浴場のいずれかで使われている。詳しくは少し前の記事に書いた。

2020/3/22 草津温泉 共同浴場巡り その1

今回の訪問では「煮川乃湯」「長栄の湯」「凪の湯」「喜美の湯」「翁の湯」「瑠璃の湯」「躑躅の湯」「長寿の湯」「白嶺の湯」の9箇所を巡った。「煮川乃湯」「長栄の湯」については一つ前の記事に書いた。

2020/3/22 草津温泉 共同浴場巡り その2

この記事では「凪の湯」「喜美の湯」について記録する。

お約束だが、草津町の共同浴場は地元の方が生活の場として利用しているものであり、観光客向けに推奨されているのは「白旗の湯」「千代の湯」「地蔵の湯」だけである。それ以外の共同浴場は伝統的な「もらい湯」の精神に則り、地元の好意で入浴を許可されている。草津温泉の文化とマナーを理解した上で慎ましく入浴すること。

凪の湯

日帰り 1回目 曇り

本日3回目の入浴をするため共同浴場「凪の湯」にやってきた。時間は午前7:30で、まだ温泉街を出歩く人影は疎らである。宿泊客は今頃、旅館の朝風呂を楽しんでいるか、朝食を食べ始めた頃か、まだ寝ているはずだ。運良く貸切での入浴になった。

「凪の湯」は草津町内の共同浴場で唯一「西の河原源泉」を利用している。この源泉は名前の通り、草津町西側の地獄地帯「西の河原」で湧き出す源泉である。毎分 1000 ℓ の湯が湧出している。なお西の河原にある町営日帰り入浴施設「西の河原露天風呂」で使用しているのは「万代鉱」であり、「西の河原源泉」ではないので注意。

ざっと調べたところ、「凪の湯」以外で「西の河原源泉」は「草津ホテル」「望雲」「みゆき本館」「ホテル櫻井」「極楽館」「ホテルおおるり」が見つかった (見つけた順)。草津ホテルの公式ページによると、6軒の宿に引湯しているとのこと [1] なので、これで全部か?

施設

凪の湯は温泉街の道路に面しておらず、少しだけ裏側に建っている。そのため、知らないと通り過ぎてしまうかもしれない。また噂の饅頭屋の裏側にあるため、饅頭を食べずには通れないかもしれない。私が訪ずれたのはまだ早朝だったので静かだった。

凪の湯 外観
↑ 写真: 凪の湯 外観

共同浴場の中では少し変わったつくりで、側面から男女浴室への入口がある。
入口の先は階段で少し低くなっている。

凪の湯 入口
↑ 写真: 凪の湯 入口

内部はかなり小さくなっており、脱衣場、浴室ともに狭い。設備も必要最低限しか無く、椅子すら無い。実際は湯畑にも近く賑やかな場所にある共同浴場なのだが、中は薄暗く静かでプライベート感があっていい雰囲気だ。

凪の湯 脱衣場
↑ 写真: 凪の湯 脱衣場

木張りが印象的な浴室。

凪の湯 浴室
↑ 写真: 凪の湯 浴室

温泉の利用方法・浴感

浴槽は2人が同時に入れる程度の正方形に近い浴槽。奥側壁に湯口があり、先端は湯の中に数cm、沈んでいる。

凪の湯 浴槽
↑ 写真: 凪の湯 浴槽

凪の湯 湯口
↑ 写真: 凪の湯 湯口

源泉は先述の通り「西の河原源泉」を使用している。この源泉の温度は51℃である。この湯が小さい浴槽に注がれていて、さらに空気に触れることなく注がれるということは、浴槽の湯の温度はかなり高くなることができる。実際、今回、温度は49℃以上と思われる激熱状態になっていた。私の経験上 47℃ までならなんとか、入念な準備と気合いで入浴可能 (それでも上がるときに足がガタガタ震える) だが、それ以上は不可能である。少なくとも湯を楽しめる領域ではない。今回の湯巡りでは一番熱かった。

ちなみに激熱温泉に日常的に浸かる人々がいる温泉といえば、函館湯の川温泉の 永寿湯温泉。ここの熱湯 50 ℃は撤退せざるを得なかった。(2019/2/11 湯の川温泉 永寿湯)。でも大体の温泉では、45℃ を越えてくると地元民が平然と加水することが多い気がする。

凪の湯に話を戻して、そういうわけで入浴不可能なので止む無く加水。赤いホースの繋がれた蛇口を捻って水を出す。私はケチなところがあるので、豪快に加水とはいかずチマチマと水を足していく。桶で熱湯をなんとか被りつつ、その横に置かれた湯もみ用と思しき棒で浴槽をかき混ぜた。しばらく経つと 45℃ くらいまで温度が下がったので入浴。加水を止めたらあっという間に熱湯に戻り、入浴できなくなった。

凪の湯 加水
↑ 写真: 凪の湯 加水

湯の見た目は、草津温泉では珍しく、無色透明で清澄。湯に色が出ないうちに入れ替わり、大変新鮮な状態で保たれているのだろう。

味は、湯口が露出していないので、水面下の口にカップを当てて湯を汲んでみた。飲んでみると、はじめにレモネードのような酸味があり、次に弱い苦味が追いかけてきた。その後は胃酸のようなクリーミーな酸味。万代鉱よりも素朴な味で、煮川源泉よりも漕い酸味だったと思う。

匂いは薄い硫化水素臭。ただ匂いに鼻が慣れてしまっているので、ほぼ無臭に感じた。肌触りや温まりについては、熱さのあまりわからず。

凪の湯 湯
↑ 写真: 凪の湯 湯

温泉の成分

凪の湯 温泉分析書
↑ 写真: 凪の湯 温泉分析書

以下は自前のプログラムに分析書のデータを入力して、自動計算したもの。本物の分析書とは計算精度等の理由によりやや値が異なる場合があるかもしれない。

源泉名: 草津温泉 (源泉名: 西ノ河原温泉 (町有))
湧出地: 群馬県吾妻郡草津町大字草津字西ノ河原521外
分析年月日: 平成25年5月15日

湧出量 測定せず (自然湧出)
pH 2.0
泉温: 51 ℃ (調査時における気温7℃)
泉質 酸性-酸性・アルミニウム-硫酸塩・塩化物温泉 (低張性・酸性・高温泉)
溶存物質合計 (ガス性のものを除く) 2043.43 mg/kg
成分総計 2088.03 mg/kg

温泉の成分は以下の通り:

(1) 陽イオン
成分ミリグラム [mg/kg]ミリバル [mval/kg]ミリバル% [mval%]
水素イオン (H+)10.009.9232.61
ナトリウムイオン (Na+)75.803.3010.85
カリウムイオン (K+)37.100.953.12
マグネシウムイオン (Mg2+)48.403.9813.08
カルシウムイオン (Ca2+)95.304.7615.65
アルミニウムイオン (Al3+)61.806.8722.58
マンガンイオン (Mn2+)2.410.090.30
鉄 (II) イオン (Fe2+)15.300.551.81
陽イオン計34630.4100.00
(2) 陰イオン
成分ミリグラム [mg/kg]ミリバル [mval/kg]ミリバル% [mval%]
フッ素イオン (F-)13.900.732.37
塩素イオン (Cl-)434.0012.2439.73
臭素イオン (Br-)1.900.020.06
硫酸水素イオン (HSO4-)247.002.548.24
硫酸イオン (SO42-)734.0015.2849.59
陰イオン計143130.8100.00
(3) 遊離成分
非解離成分:
成分ミリグラム [mg/kg]ミリモル [mmol/kg]
メタケイ酸 (H2SiO3)248.003.18
メタホウ酸 (HBO2)11.100.25
硫酸 (H2SO4)6.20.06
非解離成分計265.303.49
溶存ガス成分:
成分ミリグラム [mg/kg]ミリモル [mmol/kg]
遊離二酸化炭素 (CO2)44.001.00
遊離硫化水素 (H2S)0.600.02
溶存ガス成分計44.601.02
(4) その他の微量成分
成分ミリグラム [mg/kg]ミリモル [mmol/kg]
総砒素 (As)1.140.02
総水銀 (Hg)検出せず。(0.0005 mg/kg未満)--
銅イオン (Cu)0.0050.00
鉛イオン (Pb)0.0650.00
微量成分計1.220.02

ここまで入浴した源泉で比較してみると、やはり成分を見ても万代鉱と煮川源泉の中間にあたる泉質である。西ノ河原源泉が湧出する西の河原は、草津町西側の少し高いところにあり、位置も万代鉱により近いため自然な特徴かもしれない。

温泉分析書は下記ページにも登録しました。
凪の湯 - 湯花草子

喜美の湯

日帰り 1回目 曇り

本日4回目の入浴は共同浴場「喜美 (きみ) 乃湯」。草津温泉街の窪地から上ってR292を渡った先の住宅街にある。共同浴場「長栄の湯」も住宅地にあったが、こっちは近くにスーパーや電気屋があり生活感が強い。町の中を彷徨っていると 「文京區塸民館 (ぶんきょうく おうみんかん?)」と掲げられた集会所的な建物があるので、その裏に「喜美乃湯」がある。塸民館って何だろう。

喜美乃湯 外観
↑ 写真: 喜美乃湯 外観

少し鉄道駅っぽい。表側だけ見ると小さく思えるが、後ろ側が広がっていて、奥行もあるので実はそこそこ大きい。

喜美乃湯 入口
↑ 写真: 喜美乃湯 入口

草津の共同浴場には珍しく、中に入るとまず通路がある。奥の扉の先が脱衣場で、右手側はトイレ。

喜美乃湯 通路
↑ 写真: 喜美乃湯 通路

脱衣場も広々としている。椅子が4席分ある。

喜美乃湯 脱衣場
↑ 写真: 喜美乃湯 脱衣場

喜美乃湯 浴室
↑ 写真: 喜美乃湯 浴室

脱衣場と浴室の間は大きいガラス戸で仕切られている。浴室には3つの窓があって明るい。草津の共同浴場では一番開放的なんじゃないだろうか。

温泉の利用方法と浴感

喜美乃湯では湯畑源泉を利用している。この源泉は草津温泉のシンボルとも言える湯畑から湧き出している温泉だ。樋に長されている湯は単なる見せ物でなく、そうすることで適温に冷ましてから、パイプで各施設に引湯されている。共同浴場19箇所のうち、10箇所がこの源泉を使用していて、共同浴場では最もメジャーな源泉だ。

浴槽は木縁とコンクリート壁面、タイル底で作られた長方形の浴槽。6人くらいが同時に入浴できそうで、草津温泉の共同浴場ではやはり大きい方。

喜美乃湯 浴槽
↑ 写真: 喜美乃湯 浴槽

浴槽の上段には、もう一つ小さい湯槽がある。湯口から出た湯は一旦この湯槽に溜められ、溢れた湯が浴槽に注がれる方式。蛇口状の湯口からは、湯がジャバジャバと放出されている。

喜美乃湯 湯口
↑ 写真: 喜美乃湯 湯口

浴槽の湯の温度は 42℃ くらいだった。なかなか温めで、ここまで来ると誰でも入浴できる温度だ。加えて浴室内は風通しがよく涼しい。草津温泉の共同浴場では珍しい、ゆっくりだらだらと入浴できる温泉だ。

喜美乃湯 入浴中
↑ 写真: 喜美乃湯 入浴中

湯の見た目は無色透明だが、浴槽はやや青白く、または角度によって緑白に見える。湯の華はほとんど見当らない。

匂いは薄い卵臭。万代鉱よりもやや匂いがわかりやすい気がした。

味は記録せず。なぜか飮泉しなかったようだ。

喜美乃湯 湯
↑ 写真: 喜美乃湯 湯

温泉の成分

喜美乃湯 温泉分析書
↑ 写真: 喜美乃湯 温泉分析書

以下は自前のプログラムに分析書のデータを入力して、自動計算したもの。本物の分析書とは計算精度等の理由によりやや値が異なる場合があるかもしれない。

源泉名: 草津温泉 (源泉名: 湯畑)
湧出地: 群馬県吾妻郡草津町大字草津字西町403-1 403-2
分析年月日: 平成25年5月15日

湧出量 測定せず (自然湧出)
pH 2.1
泉温: 51.3 ℃ (調査時における気温7℃)
泉質 酸性・含硫黄-アルミニウム-硫酸塩・塩化物温泉 (硫化水素型) (低張性・酸性・高温泉)
溶存物質合計 (ガス性のものを除く) 1648.07 mg/kg
成分総計 1691.87 mg/kg

温泉の成分は以下の通り:

(1) 陽イオン
成分ミリグラム [mg/kg]ミリバル [mval/kg]ミリバル% [mval%]
水素イオン (H+)8.918.8436.53
ナトリウムイオン (Na+)56.002.4410.08
カリウムイオン (K+)27.500.702.89
マグネシウムイオン (Mg2+)36.302.9912.36
カルシウムイオン (Ca2+)73.503.6715.17
アルミニウムイオン (Al3+)43.804.8720.12
マンガンイオン (Mn2+)1.680.060.25
鉄 (II) イオン (Fe2+)17.500.632.60
陽イオン計26524.2100.00
(2) 陰イオン
成分ミリグラム [mg/kg]ミリバル [mval/kg]ミリバル% [mval%]
フッ素イオン (F-)9.900.522.11
塩素イオン (Cl-)311.008.7735.64
臭素イオン (Br-)1.300.020.08
硫酸水素イオン (HSO4-)192.001.988.05
硫酸イオン (SO42-)640.0013.3254.12
陰イオン計115424.6100.00
(3) 遊離成分
非解離成分:
成分ミリグラム [mg/kg]ミリモル [mmol/kg]
メタケイ酸 (H2SiO3)216.002.77
メタホウ酸 (HBO2)8.200.19
硫酸 (H2SO4)4.300.04
非解離成分計228.503.00
溶存ガス成分:
成分ミリグラム [mg/kg]ミリモル [mmol/kg]
遊離二酸化炭素 (CO2)36.700.83
遊離硫化水素 (H2S)7.100.21
溶存ガス成分計43.801.04
(4) その他の微量成分
成分ミリグラム [mg/kg]ミリモル [mmol/kg]
総砒素 (As)0.170.00
総水銀 (Hg)検出せず。(0.0005 mg/kg未満)--
銅イオン (Cu)検出せず。(0.002 mg/kg未満)--
鉛イオン (Pb)0.0090.00
微量成分計0.180.00

泉質は、西の河原源泉と煮川源泉の中間にあたる感じ。

下記ページにも登録しました。
喜美乃湯 - 湯花草子


  1. 温泉 | 草津温泉 草津ホテル ↩︎

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