2020/3/21 西の河原大露天風呂

2020/3/21 西の河原大露天風呂

晴れ 日帰り 1回目

連休を活用して群馬県の湯巡りをしている。今日は中之条町の尻焼温泉、応徳温泉、長野原町の林温泉、また中之条町に戻って六合赤岩温泉、とはしご湯をしてきた。早朝から活動開始したのに、草津温泉に来たところで、もうすっかり夜になってしまった。最後に実はまだ入浴していなかった、草津温泉の西の河原露天風呂に入浴した。

周辺の地理と歴史

草津温泉の源泉については、次以降の記事を書くときに勉強することとし、ここでは書かない。というか私がかき集めてくるまでもなく、既に先生方による詳しくかつわかりやすい情報がインターネット上でも簡単に見つかるので、うちなんか見る必要は無いと思われる。

西の河原 (さいのかわら、または、にしのかわら) 露天風呂は草津温泉の町営の日帰り入浴施設で、草津温泉のシンボル的な存在である。

源泉は、草津温泉で最大の湧出量を持つ万代鉱 (ばんだいこう) が引湯されている。万代鉱の湧出量は最大6,200 ℓ/分もあり、とてつもない量の湯が湧き出している。西の河原露天風呂でも、2箇所の湯口から川か滝かといった勢いで投入し源泉かけ流しを行っているが、これでもごく一部に過ぎず、町内の共同浴場や旅館にあちこち配湯している。源泉地帯は西の河原露天風呂よりも西側、山の間を1km程進んだところ (小殺生地区) にあり、マウントマリーナというマンションの裏手から延びる遊歩道を通り行くことができる。もともとは硫黄鉱山を掘っていたところに湧出したそうだ [1]

なお露天風呂の下流には西の河原公園という地獄地帯が広がり、温泉が自噴しているところで足湯を楽しむことができるが、この湯は露天風呂では使われていない。(草津町内の共同浴場「凪の湯」で入浴できる。) ここだけで合計1,400 ℓ/分もの湧出量があるらしい [2]。えらいこっちゃ。

西の河原露天風呂が完成したのは1987年。実は当初は混浴だったらしい。ところが水着着用で温泉に浸かるなどけしからん、という意見が上がったため低い仕切りを設け、同年より男女別で営業してきたらしい。現在は男女浴槽の間の壁はより高くなり、3メートルを越えているが、遊歩道から見えないようにする役割も果たしていると思われる。ただし最近は、特定の曜日だけ混浴可能にする取り組みも行っている。

利用者は観光客が多く、なぜか若者と外国人が大半だった。夜だったからかもしれない。スキー上方面の山が緑色に煌々とライトアップされていた。

西の河原露天風呂に入浴したのは夜だが、翌早朝通ったときに景色を撮ったので載せておく。

西の河原公園の朝 上から
↑ 写真: 早朝の西の河原公園

西の河原公園の朝 川の流れ
↑ 写真: 早朝の西の河原公園

西の河原ビジターセンター
↑ 写真: 早朝の西の河原ビジターセンター

西の河原の朝
↑ 写真: 早朝の西の河原公園下流

西の河原
↑ 写真: 西の河原公園の湯

施設

西の河原露天風呂は、西の河原公園を登っていった上流側にある。適当に登っていくと明るく照らされた施設が見えてきた。
浴槽は高い木の壁で覆われているため、外側からはほぼ見えない。

西の河原露天風呂 外観
↑ 写真: 西の河原露天風呂 外観

施設は見た目よりも簡素なもので、遊園地や水族館みたいな感じで、カウンターで料金を支払って入場する。営業時間や入浴料は下の写真の通り。よく見たらこれ繁体字バージョンだった。

西の河原露天風呂 営業情報
↑ 写真: 西の河原露天風呂 営業情報

源泉「万代鉱」の成分について紹介した掲示もあった。

万代鉱源泉使用
強酸性の温泉で塩化ナトリウム (塩分) 含有量は多々ある草津の源泉の中で No.1
湯冷めはしにくいがのぼせやすいので入りすぎにご注意下さい
酸性塩化物硫酸塩泉 pH 1.50

西の河原露天風呂 万代鉱
↑ 写真: 西の河原露天風呂 万代鉱源泉使用

料金を支払った先で男女別になる。階段の先が脱衣場で、脱衣場に面して大露天風呂がある。

西の河原露天風呂 男湯
↑ 写真: 西の河原露天風呂 男湯

西の河原露天風呂には、その名の通り露天風呂しか無いが、とにかく広大な浴槽が印象的。その大きさは群馬県内では2番目、全国でも指折りの広さを持つ。なお県内最大は宝川温泉の旅館の汪泉閣で、一番大きい浴槽が330 平方メートル、全ての浴槽を合計すると約780 平方メートルになるとのこと。西の河原露天風呂は、男湯の浴槽が320 平方メートル、男女合計で約 500 平方になる。

温泉の利用方法と浴感

浴槽の幅は10m弱、奥行は30m強もあり、小さいプールサイズだ。脱衣場から浴槽に下りると、遠く湯気の向こうに、頭上に設けられた湯口から、膨大な量の湯が滝のように注がれている様子が見えた。浴槽は深さもあるので、その滝までは湯の中を20mもザブザブと漕いでいく。滝の湯口の向こう、浴槽の最奥では、目立たないがもう一つの湯口があり、大量の湯が川のように投入されている。

浴槽があまりに広いため、端の方では温度が下がっている。湯口からは50℃近い源泉が注がれているが、一番遠くでは40℃位までぬるくなっており、湯口に近づくにつれ44〜45℃程まで熱くなっていくことを感じた。奥の湯口の付近はかなりの高温になっており、近付くこともできなかった。

入浴するなら、この一番奥の湯口の前あたりが良いと思った。新鮮な湯が圧倒的な量で投入されているし、人もほとんど来ないので湯を楽しむならばベストな位置である。手前の方は人が多く、あまり落ち着かない。

湯は体力を奪う湯で、入浴していると非常に疲れる。観光客向けに開かれた浴場だからということでなく、泉質として疲れるもので、入浴後は「もう今日は温泉はいらなくていいか」という気分になる。これは pH 1.6 という強酸性温泉だからだろうか。これまで経験上、強酸性の温泉は入浴後に止め処なく汗が噴き出し、水分が足りなくなることが多いと感じている。

とりあえず飲んでみると、味は酸性で、強酸特有のクリーミーさがあった。西の河原露天風呂では、あまり飲めなかったので、味については次以降の記事に譲りたい。

匂いはほぼ無臭。色は夜だったのでわからず。

温泉の成分

温泉分析書が脱衣場入口に掲載されていた。

西の河原露天風呂 温泉分析書
↑ 写真: 西の河原露天風呂

以下は、分析書の内容を自前のプログラムに入力し、計算したもの。
(共同浴場で撮影した同じ源泉の温泉分析書の内容も反映)

源泉名: 草津温泉 万代鉱源泉
湧出地: 群馬県吾妻郡草津町大字草津字白根国有林63ハ林小班
分析年月日: 平成25年5月15日

湧出量 測定せず (掘削自噴)
pH 1.6
泉温: 96.5 ℃ (調査時における気温6℃)
泉質 酸性-塩化物・硫酸塩温泉 (低張性・酸性・高温泉)
溶存物質合計 (ガス性のものを除く) 3309.5 mg/kg
成分総計 3324.2 mg/kg

温泉の成分は以下の通り:

(1) 陽イオン
成分ミリグラム [mg/kg]ミリバル [mval/kg]ミリバル% [mval%]
水素イオン (H+)26.0025.8054.86
ナトリウムイオン (Na+)101.004.399.33
カリウムイオン (K+)57.901.483.15
マグネシウムイオン (Mg2+)57.004.699.97
カルシウムイオン (Ca2+)102.005.0910.82
ストロンチウムイオン (Sr2+)------
アルミニウムイオン (Al3+)47.105.2411.14
マンガンイオン (Mn2+)2.890.110.23
鉄 (II) イオン (Fe2+)6.310.230.49
陽イオン計40047.0100.00
(2) 陰イオン
成分ミリグラム [mg/kg]ミリバル [mval/kg]ミリバル% [mval%]
フッ素イオン (F-)23.201.222.59
塩素イオン (Cl-)742.0020.9344.40
臭素イオン (Br-)2.900.040.08
硫化水素イオン (HS-)------
硫化物イオン (S2-)------
チオ硫酸イオン (S2O32-)------
硫酸水素イオン (HSO4-)732.007.5415.99
硫酸イオン (SO42-)836.0017.4136.93
炭酸水素イオン (HCO3-)------
陰イオン計233647.1100.00
(3) 遊離成分
非解離成分:
成分ミリグラム [mg/kg]ミリモル [mmol/kg]
メタケイ酸 (H2SiO3)501.006.41
メタホウ酸 (HBO2)18.700.43
非解離成分計567.807.33
溶存ガス成分:
成分ミリグラム [mg/kg]ミリモル [mmol/kg]
遊離二酸化炭素 (CO2)14.700.33
遊離硫化水素 (H2S)0.000.00
溶存ガス成分計14.700.33
(4) その他の微量成分
成分ミリグラム [mg/kg]ミリモル [mmol/kg]
総砒素 (As)5.230.07
総水銀 (Hg)検出せず。(0.0005 mg/kg未満)--
銅イオン (Cu)0.05未満--
鉛イオン (Pb)0.170.00
カドミウムイオン (Cd)----
亜鉛イオン (Zn)0.01未満--
微量成分計5.400.07

どこを取っても強力な泉質。やはり特筆すべきは強酸性の部分で pH 1.6、水素イオン含有量は 26.0 mg/kg になっている。陽イオンでマグネシウムイオン、アルミニウムイオン、鉄イオンといった普通の温泉では少ない成分も多く含まれ、草津白根山のマグマから地底の物質が供給されているようだ。陰イオンでは、硫酸水素イオンという珍しいイオンが記載されている。これは強酸性によるもの。

あとメタケイ酸 500 mg/kg 越えも非常に高い数値。この泉質では保湿どころではない気もするが…。

詳細は下記サイトでも見られる。
草津温泉 万代鉱 - 湯花草子


  1. 温泉の科学7-2-2(2) ↩︎

  2. -草津温泉-西の河原露天風呂|愉しみ方 ↩︎

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