湯野上温泉 星乃井 (2020/9/27)

日帰り, 1回目, 雨後晴, 2020年度中54湯目

熱塩温泉 下の湯共同浴場 からの帰り、会津を南下してR121沿いの湯野上温泉郷で「まごころの宿 星乃井」で日帰り入浴をさせてもらった。石膏味のある新鮮な温泉が源泉のまま掛け流しされており心地良かった。外の光が差し込んで明るい浴室、鮮やかな色使いの浴槽も過ごしていて飽きない。

熱塩温泉 下の湯共同浴場 (2020/9/27)
浴槽しかない素朴な浴室で、しょっぱい山塩の温泉に浸かる「熱塩温泉 下の湯共同浴場」

施設・温泉概要

所在地: 福島県南会津郡下郷町湯野上783-1
Web: まごころの宿 星乃井
日帰り入浴: 可 10:00-20:00
宿泊: 可 9,114円-

源泉名: 湯野上温泉湯本混合泉 (1, 2, 3, 5, 8号泉混合)
湧出地:

  • 1号源泉: 福島県南会津郡下郷町大字湯野上字沼袋乙853-6
  • 2号源泉: 福島県南会津郡下郷町大字湯野上字沼袋乙857
  • 3号源泉: 福島県南会津郡下郷町大字湯野上字沼袋乙830-2
  • 5号源泉: 福島県南会津郡下郷町大字湯野上字沼袋乙871-3
  • 8号源泉: 福島県南会津郡下郷町大字湯野上字沼袋乙833-2

湧出量: 記載無し
泉温: 記載無し
pH: 記載無し
成分総計: 記載無し
泉質: 単純温泉 (低張性・弱アルカリ性・高温泉)
旧泉質名: 単純温泉

一番良い浴槽の温泉利用方法:

加温 加水 循環 消毒

源泉かけ流しの温泉民宿

福島県の南会津を南北に流れる阿賀川の川沿いには数多くの温泉が湧出している。湯野上温泉はそのうちの一つで、芦ノ牧温泉の南15km辺りにある。川岸から姥湯、切湯、猿湯、館ノ湯と呼ばれる温泉が自噴しており、1887年 (明治20年) 頃に開業した清水屋が初めの温泉宿と言われている。当時は川岸に穴を掘って湯を溜め浴槽としていた。現在の源泉は、湯野上温泉1〜8号泉があり、動力揚湯で合計2,000ℓ/分を使用している。旅館、民宿を合わせて25軒が営業する他、一般家庭にも温泉が引かれている [1][2]

「まごころの宿 星乃井」があるのは旅館、民宿の立ち並ぶ居平乙 (いだいらおつ) 地区。いきなり行って日帰り入浴できるか訊いてみると、快く受け入れてもらえた。今回は食べていないが名物は「じゃがいもの煮物」でよくTV放送でも取り上げられているらしい。


⬑ 周辺だけで9軒の温泉宿


⬑ 特徴ある立派な屋根の星乃井


⬑ 玄関


⬑ かつては養蚕農家だったのだろうか


⬑ 館内を通って浴場へ向う


⬑ 源泉かけ流しの暖簾を潜って脱衣場へ


⬑ シンプルな脱衣場


⬑ 左手の壁には温泉の紹介が掲示されていた

本温泉は源泉地における温度は摂氏60度を有し殆んど無色無味無臭なり 水素イオン濃度は摂氏6度において7.55 (比色法) であり、フェノールフタリン反応及びベンチジン反応は共に陰性である。

石膏味のある無色透明の湯

男女別の浴室にはそれぞれ内湯と露天風呂がある。内湯は詰めれば10人が入浴できそうな、なかなか大きい浴槽。浴槽の縁は花崗岩、内壁は赤いレンガタイル、底は鮮やかな薄黄緑色の丸タイルを使っている。タイルの色を映して湯も緑色に見えるが、実際には無色透明。浴室の2面は大きな窓で占められており、外の光が入って明るい。


⬑ 美しい色の浴槽

浴槽の一端には岩が配置されてあり、裏側を通ってきたパイプに直結された竹筒を通って、湯が流れ出している。湯口から注がれる湯の温度は50℃以上。湯を飲むために手で掬ったところ、少し火傷気味になってしまった。浴槽の温度は41℃程で適温。湯口の温度、湯量、浴槽の大きさで温度を調整しているのだろう。パイプ内を流れる湯がシューと音を上げておりやや賑やかだった。


⬑ 竹筒の湯口


⬑ 竹筒手前で数本のパイプの湯を合わせている?

湯は完全放流式の源泉掛け流し。湯口とは反対、露天風呂側の壁には四角い口が開けられており、ここから湯はオーバーフローして露天風呂に注がれ、再利用される仕組みになっている。湯の入れ替わりもよく、なかなかこだわりの感じられる構造だ。


⬑ 手前の湯口から注がれた湯は、奥側の口からオーバーフローし露天風呂へ

湯の色は先述の通り、無色透明。浮遊物も無い。湯口周りの石は薄茶色に着色されており、水面には石膏によるトゲトゲ状の析出が生成されていた。


⬑ 白、赤茶、緑の色合いもなかなか良い


⬑ 無色澄明の湯

湯を飲んでみると無味だが、微かに石膏味が感じられた気がした。匂いは無く、いくら嗅いでも湯気の香りしかしなかった。湯の肌触りもそれといった特徴は無かった。浴室は熱気がややこもり気味で室温が高く、浴室内では汗が流れ出る。身体の温まりは程々にあり、湯から上がったあとも熱が持続した。


⬑ 入浴しながら浴室入口を眺める


⬑ 入浴しながら湯口を眺める

露天風呂は5〜6人が入浴できそうな大きさの岩風呂。こちらは透明な湯がわかりやすい。湯は内湯からのオーバーフローと、竹筒からの新湯投入があり、浴槽内で混合されている。


⬑ 小さな庭園風の露天風呂


⬑ 内湯オーバーフローと竹筒の湯口


⬑ 無色透明の湯

温泉の成分

源泉は湯野上温泉湯本混合泉 (1, 2, 3, 5, 8号泉混合)。温泉の成分が記載された分析表の掲載は無かった。


⬑ 温泉分析書 別表?


⬑ 温泉分析書 別表

泉質は単純温泉だが、方向性は石膏泉と思われる。


  1. 下郷町 観光資源 ↩︎

  2. 福島県鉱泉誌 - 国立国会図書館デジタルコレクション ↩︎