みうら湯 弘明寺店 (2020/9/16)

日帰り, 1回目, 曇り後雨, 2020年度中45湯目

ほんの数日前にいなり湯利世館で入浴したばかりだが、また横浜にやってきて、今後は弘明寺 (ぐみょうじ) の近くの温泉スーパー銭湯「みうら湯 弘明寺温泉」で入浴した。

温泉は成分の9割以上が重曹の純重曹泉で、真っ黒い不透明な黒湯。温泉の特徴を感じながらまったりと入浴した満足だった。

施設・温泉概要

所在地: 神奈川県横浜市南区中里1丁目25-1
Web: 天然温泉みうら湯弘明寺店
日帰り入浴: 可 平日10:00-23:00 (入館22:30まで), 土日祝10:00-24:00 (入館23:30まで)
宿泊: 不可

源泉名: みうら湯 弘明寺温泉
湧出地: 横浜市南区中里一丁目206番地2
湧出量: 93 ℓ/分 (掘削・動力揚湯)
泉温: 18.9 ℃
pH: 8.4
成分総計: 1367.6 mg/kg
泉質: ナトリウム-炭酸水素塩冷鉱泉 (低張性・弱アルカリ性・冷鉱泉)
旧泉質名: 重曹泉 / 純重曹泉

一番良い浴槽の温泉利用方法:

加温 加水 循環 消毒

京急本線の線路下の温泉

「みうら湯 弘明寺店」は横浜市南区にある温泉スーパー銭湯。京急グループの京急開発株式会社が経営する施設の一つで、他には平和島の「天然温泉平和島」「伊豆長岡温泉 京急ホテル」がある。あと京浜急行電鉄の直営だが、三浦半島の「ホテル京急油壺 観潮荘」「観音崎京急ホテル」が今年 (2020年) 4月から油壺温泉を使っている[1]。「みうら湯 弘明寺店」と言っているものの、弘明寺店以外にみうら湯の店舗は無い。

「みうら湯 弘明寺店」があるのはもちろん、京急本線のガード下。もちろんと書いてみたが、よく考えてみると、線路真下にある温泉施設はかなり珍しい。もしかしてここしか無いんじゃないだろうか。駅舎や駅ビルにある温泉なら結構あるけど。

場所は京急の弘明寺駅より南に400m位の辺り。線路沿いに歩いていけば確実に見つけられるだろう。ただし隣を走る横浜市営地下鉄にも弘明寺駅があるので注意。ちなみに、そっちの弘明寺駅の近くには「中島館」がある。ここもおすすめ。


⬑ 本当に線路の下にある


⬑ 男湯・女湯は入れ替わるらしい


⬑ 今回は「さっぱり湯」に入浴


⬑ 入口の券売機で入浴券を買う


⬑ 館内はスーパー銭湯的


⬑ 男湯へ

温泉浴槽と浴感

温泉を使用した浴槽は、内湯大浴槽 (大海の湯)、うたたね湯、黒湯炭酸泉浴槽の3つ。


⬑ 「さっぱり湯」は丸型の浴槽が多い

内湯大浴槽は半円状の浴槽で、10人が入浴できそうなサイズ。今回は空いていたので多くても3人しか入浴しておらず快適だった。湯の上に出た湯口は無く、浴槽を弧の側から見たとき、右側の角より浴槽内注入。近くにいると流れを感じる程度の強さ。オーバーフローは無く浴槽内で吸入しているはず。温泉の使用方法は加温有り、加水無し、循環濾過有り、塩素系薬剤による消毒有り。

温泉は黒湯で見通しは5cmとかなり濃い方にあたる。色は真っ黒に見えるが、水面近くでは茶褐色で、醤油のような色合いがある。湯からは濡れた藁のような植物感あるモール臭。塩素消毒臭は感じなかった。味は無く無味で、浴槽内注入につき少量しか飲んでいないため細かい味覚は不明。湯の感触はかなり強いヌルヌル、ツルツル感があって、特に最初の入浴時の滑りには感動した。その後、何度か入浴していると少し弱まるも、最後までヌルヌル感が収まることは無く、とても楽しかった。

浴槽の温度は41℃くらい。湯あたり優しく疲れにくい。湯の流れも人の動きも静かで、平坦に凪いだ黒い鏡のような水面を眺めながら落ち着いて入浴できた。

うたため湯はもたれかかって入浴できる1人用の浴槽が2つ。大浴槽の方がヌルヌルに感じたのであまり入浴しなかった。

黒湯炭酸泉は正方形と扇形を繋げた形状で5人分位のサイズ。温度は40℃程度。ここが一番人気だった。入浴していると軽い泡付きと強めの放熱感。湯の色は真っ黒だが、感触がいまいち。個人的に普通の黒湯の浴感が断然好みだったので少ししか入浴しなかった。

露天風呂には黒湯が無く、全て非温泉の浴槽。笹竹を配しつつソリッドな浴槽で、和モダン? な印象。浴槽の他に寝湯、くつろぎ場所、座り湯、椅子があって休憩場所が充実していて便利だった。


⬑ 大浴槽、うたた寝湯は加溫、循環濾過、塩素消毒


⬑ 黒湯炭酸泉は食添炭酸ガスを入浴剤として表示

浴槽や温泉使用のスペックだけ見ると、あまり良い浴槽には思えないが、実際にはモール臭やツルツルの感触といった特徴がしっかりと発揮されている。静かに入浴できるし、休める場所も多いので実用的な温泉。

温泉の成分

「温泉成分、禁忌症及び入浴上の注意事項確認書」が館内に掲示されていた。


⬑ 源泉はみうら湯 弘明寺温泉

以下は自前のプログラムに分析書のデータを入力して、自動計算したもの。本物の分析書とは計算精度等の理由によりやや値が異なる場合があるかもしれない。

源泉名: みうら湯 弘明寺温泉
湧出地: 横浜市南区中里一丁目206番地2
分析年月日: 平成26年7月18日

湧出量 93 L/分
pH 8.4
泉温: 18.9 ℃
泉質 ナトリウム-炭酸水素塩冷鉱泉 (低張性・弱アルカリ性・冷鉱泉)
溶存物質合計 (ガス性のものを除く) 1367.6 mg/kg
成分総計 1367.6 mg/kg

温泉の成分は以下の通り:

(1) 陽イオン
成分ミリグラム [mg/kg]ミリバル [mval/kg]ミリバル% [mval%]
ナトリウムイオン (Na+)311.6013.5592.43
カリウムイオン (K+)13.000.332.25
アンモニウムイオン (NH4+)5.700.322.18
マグネシウムイオン (Mg2+)2.000.161.09
カルシウムイオン (Ca2+)4.900.241.64
アルミニウムイオン (Al3+)0.400.040.27
マンガンイオン (Mn2+)<0.1< td>----
鉄 (II) イオン (Fe2+)0.500.020.14
陽イオン計33814.7100.00
(2) 陰イオン
成分ミリグラム [mg/kg]ミリバル [mval/kg]ミリバル% [mval%]
フッ素イオン (F-)0.300.020.14
塩素イオン (Cl-)9.000.251.72
硫化水素イオン (HS-)<0.1< td>----
硫酸イオン (SO42-)<0.1< td>----
リン酸水素イオン (HPO42-)3.200.070.48
炭酸水素イオン (HCO3-)832.3013.6494.07
炭酸イオン (CO32-)15.600.523.59
陰イオン計86014.5100.00
(3) 遊離成分
非解離成分:
成分ミリグラム [mg/kg]ミリモル [mmol/kg]
メタケイ酸 (H2SiO3)55.500.71
メタホウ酸 (HBO2)1.500.03
腐植質112.0----
非解離成分計169.000.74
溶存ガス成分:
成分ミリグラム [mg/kg]ミリモル [mmol/kg]
遊離二酸化炭素 (CO2)<0.1< td>--
遊離硫化水素 (H2S)<0.1< td>--
溶存ガス成分計0.000.00
(4) その他の微量成分
成分ミリグラム [mg/kg]ミリモル [mmol/kg]
総砒素 (As)0.005未満--
総水銀 (Hg)0.0005未満--
銅イオン (Cu)0.05未満--
鉛イオン (Pb)0.05未満--
カドミウムイオン (Cd)0.01未満--
亜鉛イオン (Zn)0.010.00
微量成分計0.100.00

下記にも掲載しました。
みうら湯 弘明寺店 - 湯花草子

陽イオンはナトリウムイオンが 93mval%、陰イオンは炭酸水素イオン、炭酸イオンが計 98mval% 弱で、かなり偏った純重曹泉。神奈川県の少し海から離れた場所で湧く純重曹泉は、全国でも屈指のツルツルな感触が出ることがあり好み。


⬑ 京急開発名物の地質年代付き温泉井構造の図

掘削深度は150mで水中モーターポンプによる動力揚湯。黒湯が湧き出す地層は、東京都南部、神奈川県東部ではお決まりの「上総層群」。はるか昔に堆積した草木や海藻の有機物が地中で微生物の働きで分解され生じた腐植質を含み、黒く見える。また、分解時に生じたCO2が地層中で反応してNa-HCO3 (重曹) を多く含んでいる。


  1. 油壺温泉誕生 | ニュースリリース | 京浜急行電鉄(KEIKYU) ↩︎