秋保温泉 佐藤屋旅館 (2020/9/6)

日帰り, 1回目, 晴れ, 2020年度中41湯目

仙台には6年間住んでいたが、当時はスクーターで山奥を走ることに嵌っていて、実のところ、仙台市から近すぎる秋保温泉にはあまり来たことが無かった。今回、仙台に訪れる機会に恵まれたので秋保温泉の温泉旅館「佐藤屋旅館」で入浴した。

珍しい源泉かけ流しの浴槽があり、秋保温泉では珍しい。新鮮で清澄な温泉に入浴でき、秋保温泉の湯の底力を感じた。

施設・温泉概要

所在地: 宮城県仙台市太白区秋保町湯元字薬師108
Web: 佐藤屋旅館
日帰り入浴: 可 10:00-15:00
宿泊: 可 10,050円〜

源泉名: 秋保温泉2号・新4号 混合泉
湧出地: 宮城県仙台市太白区秋保町湯元字薬師85・釜土西10
湧出量: 不明
泉温: 55.2 ℃
pH: 7.6
成分総計: 1187 mg/kg
泉質: ナトリウム-塩化物温泉 (低張性・弱アルカリ性・高温泉)
旧泉質名: 弱食塩泉

一番良い浴槽の温泉利用方法:

加温 加水 循環 消毒

佐藤屋旅館について

佐藤屋旅館は秋保温泉にあり、岩沼屋やニュー水戸屋、佐勘といった大型旅館・ホテルの間に挟まれて建つ全16室の比較的小規模な温泉旅館。


⬑ 素朴な外観


⬑ 昼に訪れたので、まだ少し暗く見える


⬑ 館内は明るく、豪華すぎずちょうど良い

日帰り入浴を申し出ると快く受け入れてもらえた。


⬑ 浴場はロビーのすぐ横

温泉浴槽と浴感

浴室は素朴で浴槽1つとカラン3つがあるのみ。浴槽は足下を掘って作られたタイプで、5人程度までなら入浴できそうな大きさ。浴槽の壁面、底面はザラザラのタイルが張られている。訪問時、ホースがあって少量だが加水されていたので、まず外してから入浴。


⬑ 台形の浴槽

浴槽の角に石製の湯口があり、塩ビのパイプから源泉がサラサラと静かに流れ出している。湯量は多くないが、浴槽が小さいので十分だろう。湯は浴槽の縁からオーバーフローして、浴室床を濡らしていた。浴槽に浸かると、浴室の床全体に湯が溢れ出し爽快。


⬑ 湯口を中心に美しい波紋が広がっていた

湯口から出る湯の温度は45℃くらいで触ると熱い。浴槽は42℃程でちょっと熱めの適温。


⬑ 飾らない湯口

湯口の下の浴槽壁面は少し斜めになっている。湯口と湯口の下は、湯の流れるところが帯状に焦茶色に着色されていた。その周りには小さなトゲ状の析出物 (石膏?) が形成。


⬑ 湯は透き通って清澄

湯は無色透明で透き通っている。斜めから見ると少し青みがかっているようにも見えるが、真上から見ると正しく透明。

飲むとほとんど無味だが、少し塩味があり、またわずかに石膏味もある。飮みやすく、胃腸に良さそうな味がして美味しい。匂いは無し。


⬑ 入浴中目線 入口側


⬑ 入浴中目線 シャワー側

肌触りはなめらか。入浴していると汗がよく流れるが、熱の持続性はそこまででもなく、暑さはあまり長引かない。さっぱり爽やかな湯だ。じっと浸かっていると、湯の注がれる音が浴室内に響き渡りとても心地良い。耳を澄ましていると換気扇の音がやや気になった。


⬑ 窓から光が差し込み明るい


⬑ オーバーフローで床全体が綺麗に濡れた

秋保温泉の歴史

佐藤屋旅館もある秋保温泉はかつて湯元村と呼ばれ、御湯、澤湯と呼ばれる2つの温泉が自噴していた。現在もある佐勘の先祖、佐藤家は平基盛 (清盛の次男; 1139年) の従者で共に奥州まで源氏から逃れ来たが、この地で湯守になったとされる。さらに遡ると欽明天皇 (531年〜589年) が疱瘡に罹った時、秋保 (当時は名取と呼ばれていた) の湯を都まで運ばせて入浴すると平癒したとされ、その際に詠んだ「おほつかな 雲のうへまて みてしかな 鳥のみ 往かばあとかたもなし」の歌から「名取の御湯」と呼ばれるようになった[1][2]

温泉は秋保石でも有名な、新第三紀、約1,000〜500万年前の火山噴火で噴出した火山灰等が堆積してできた湯元層から湧出している。


⬑ 旧湯元村


⬑ 今は温泉むすめの秋保那菜子さん (高2) [3]

温泉の成分

温泉分析書は脱衣場に掲示されていた。


⬑ 源泉は秋保温泉2号・新4号 混合泉

以下は自前のプログラムに分析書のデータを入力して、自動計算したもの。本物の分析書とは計算精度等の理由によりやや値が異なる場合があるかもしれない。

源泉名: 秋保温泉2号・新4号 混合泉
湧出地: 仙台市太白区秋保町湯元字薬師85・釜土西10
分析年月日: 平成25年6月17日

湧出量 記載無し
pH 7.5
泉温: 55.2 ℃
泉質 ナトリウム-塩化物温泉 (低張性・弱アルカリ性・高温泉)
溶存物質合計 (ガス性のものを除く) 1168.6 mg/kg
成分総計 1180.7 mg/kg

温泉の成分は以下の通り:

(1) 陽イオン
成分ミリグラム [mg/kg]ミリバル [mval/kg]ミリバル% [mval%]
リチウムイオン (Li+)0.500.070.40
ナトリウムイオン (Na+)321.7013.9980.73
カリウムイオン (K+)14.200.362.08
アンモニウムイオン (NH4+)<0.1----
マグネシウムイオン (Mg2+)0.200.020.12
カルシウムイオン (Ca2+)57.502.8716.56
ストロンチウムイオン (Sr2+)0.800.020.12
アルミニウムイオン (Al3+)<0.1----
マンガンイオン (Mn2+)<0.1----
鉄 (II) イオン (Fe2+)<0.1----
鉄 (III) イオン (Fe3+)<0.1----
亜鉛イオン (Zn2+)<0.1----
陽イオン計39517.3100.00
(2) 陰イオン
成分ミリグラム [mg/kg]ミリバル [mval/kg]ミリバル% [mval%]
フッ素イオン (F-)3.400.181.10
塩素イオン (Cl-)446.8012.6077.06
臭素イオン (Br-)0.700.010.06
ヨウ化物イオン (I-)0.600.000.00
水酸イオン (OH-)0.000.000.00
硫化水素イオン (HS-)0.100.000.00
硫化物イオン (S2-)0.000.000.00
チオ硫酸イオン (S2O32-)<0.1----
硫酸水素イオン (HSO4-)0.000.000.00
硫酸イオン (SO42-)88.601.8411.25
リン酸水素イオン (HPO42-)<0.1----
炭酸水素イオン (HCO3-)104.901.7210.52
炭酸イオン (CO32-)0.000.000.00
メタケイ酸イオン (HSiO3-)0.000.000.00
メタホウ酸イオン (BO2)0.000.000.00
陰イオン計64516.4100.00
(3) 遊離成分
非解離成分:
成分ミリグラム [mg/kg]ミリモル [mmol/kg]
メタ亜砒酸 (HAsO2)2.000.02
メタケイ酸 (H2SiO3)52.400.67
メタホウ酸 (HBO2)72.801.66
非解離成分計127.202.35
溶存ガス成分:
成分ミリグラム [mg/kg]ミリモル [mmol/kg]
遊離二酸化炭素 (CO2)12.100.27
遊離硫化水素 (H2S)<0.1--
溶存ガス成分計12.100.27
(4) その他の微量成分
成分ミリグラム [mg/kg]ミリモル [mmol/kg]
総砒素 (As)1.400.02
総水銀 (Hg)<0.0005--
鉛イオン (Pb)<0.01--
カドミウムイオン (Cd)<0.002--
微量成分計1.400.02

下記にも掲載しました。
秋保温泉2号・新4号 混合泉 - 湯花草子

源泉の組合せはすぐ近くの秋保温泉共同浴場と同じ。


⬑ 源泉かけ流しのお風呂です


  1. 宮城県鉱泉誌 - 国立国会図書館デジタルコレクション ↩︎

  2. 秋保温泉(名取御湯・日本三御湯) ↩︎

  3. 秋保那菜子 | 温泉むすめ公式サイト ↩︎