奥藤七温泉 (2020/7/25)
日帰り, 1回目, 曇り, 2020年度中23湯目
藤七温泉 彩雲荘 から上がったあと、その少し上にある奥藤七温泉と呼ばれる野湯にも寄った。藤七温泉から八幡平樹海ラインを山頂方向に走り、1、2回カーブを曲がった頃に、怪しい駐車スペースが道端にあることに気付く。そこからは徒歩で道路から外れて草の中を歩いていくと、すぐに源泉地帯があってあちこちから温泉が湧きまくっている。親切なことに浴槽もあるので、もはや普通の露天風呂に近い感覚で入浴できてしまう。
あまりにカジュアルに到達可能だったので、入って良いところなのか逆に不安になった。しかし本物の地獄地帯で熱湯が沸騰しながら湧いている所もあるので、余所見は危険である。野生剥き出しな地獄の湯に浸かることができて幸せだった。八幡平を越える時は必ず立ち寄って行きたい温泉だ。
施設・温泉概要
所在地: 岩手県八幡平市松尾寄木北の又
湧出地: 岩手県八幡平市松尾寄木北の又
湧出量: (自然湧出)
泉温: 87.0 ℃ (藤七温泉の分析値より)
pH: 3.7 (藤七温泉の分析値より)
成分総計: 1714 mg/kg (藤七温泉の分析値より)
泉質: 単純硫黄泉 (硫化水素型)
温泉の利用方法: 野湯
奥藤七温泉の地獄
コンクリートの構造物が見え隠れする坂を1分ほど下ってくると、噴気地帯が現われた。
↑ いきなり足元で激しく沸騰していたりする
↑ 道路のすぐ近くとは思えない光景
↑ 散乱するパイプが独特の雰囲気を醸し出している
浴槽は噴気地帯に降りてすぐのところにあるが、一旦おいておき周囲を散策した。
↑ 湯の華の沈んだ川
↑ 上流側
↑ 丸太橋の下では温泉が湧いていた
↑ 大小の湯溜りが点在してボコボコと温泉が湧出している
↑ 噴気地帯が広がる
↑ もう1つ浴槽のような湯溜りがあったが
↑ 泥で埋まっていた
温泉浴槽
軽く散策したところで入浴する。浴槽は石を積んで作られたもので、しっかりしている。
↑ しっかりとした浴槽がある
浴槽は瓢箪型に近い形をしているが、半分は泥に埋まっており、湯の湧き出す部分は穴が空いたようになっていた。このような現象が安全に見られるのは珍しいと思う。泥のあたりはかなり熱いのでそのままの入浴は難しい。
↑ 手前側で多く湧出
浴槽は見た目すごく熱そうに見えたが、入浴してみると41℃程しか無く案外ぬるかった、というか適温だった。しかし浴槽の底には泥が堆積していて、その場に留まっていられないほど熱い。手前側に来るほど、どんどん熱くなっていくため、足踏みしながら熱を冷ましてなんとか入浴した。今思えば木板などを足元に敷くのが賢い方法だった気もする。
↑ 入浴中目線 広くて快適
温泉の浴感は、藤七温泉と同様で、色は灰緑色で濁り、透明度は10cm程度。飲むと弱い酸味。藤七温泉の内風呂で飲んだ湯よりも、さらに薄味に感じた.匂いは硫化水素臭が弱くも、しかし明確に香っていた。
↑ いつものようにコップに汲んで飲んだ
温泉の成分
温泉の成分は、彩雲荘とほぼ同じと考えられるので藤七温泉のデータを引用しておく。
藤七温泉 彩雲荘
↑ 温泉分析書
↑ 温泉の成分・禁忌症・適応症・入浴上の注意
以下は自前のプログラムに分析書のデータを入力して、自動計算したもの。本物の分析書とは計算精度等の理由によりやや値が異なる場合があるかもしれない。
源泉名: 藤七温泉 (温泉名 藤七温泉)
湧出地: 岩手県八幡平市松尾守木北ノ又国有林1564
分析年月日: 平成28年8月23日
湧出量 0 L/min (自然湧出)
pH 3.7
泉温: 87 ℃ (調査時における気温、気圧: 20.0℃、837 hPa)
泉質 単純硫黄温泉 (硫化水素型) (低張性・弱酸性・高温泉)
溶存物質合計 (ガス性のものを除く) 120.32 mg/kg
成分総計 177.42 mg/kg
温泉の成分は以下の通り:
(1) 陽イオン
成分 | ミリグラム [mg/kg] | ミリバル [mval/kg] | ミリバル% [mval%] |
---|---|---|---|
水素イオン (H+) | 0.20 | 0.20 | 14.93 |
ナトリウムイオン (Na+) | 1.80 | 0.08 | 5.97 |
カリウムイオン (K+) | 0.30 | 0.01 | 0.75 |
アンモニウムイオン (NH4+) | 0.60 | 0.03 | 2.24 |
マグネシウムイオン (Mg2+) | 2.90 | 0.24 | 17.91 |
カルシウムイオン (Ca2+) | 8.50 | 0.42 | 31.34 |
アルミニウムイオン (Al3+) | 1.90 | 0.21 | 15.67 |
マンガンイオン (Mn2+) | 0.20 | 0.01 | 0.75 |
鉄 (II) イオン (Fe2+) | 2.90 | 0.10 | 7.46 |
鉄 (III) イオン (Fe3+) | 0.70 | 0.04 | 2.99 |
陽イオン計 | 20.0 | 1.34 | 100.00 |
(2) 陰イオン
成分 | ミリグラム [mg/kg] | ミリバル [mval/kg] | ミリバル% [mval%] |
---|---|---|---|
フッ素イオン (F-) | <0.1< td> | -- | -- |
塩素イオン (Cl-) | 1.70 | 0.05 | 3.97 |
硫化水素イオン (HS-) | <0.1< td> | -- | -- |
チオ硫酸イオン (S2O32-) | 0.10 | 0.00 | 0.00 |
硫酸水素イオン (HSO4-) | 0.40 | 0.00 | 0.00 |
硫酸イオン (SO42-) | 58.10 | 1.21 | 96.03 |
亜硝酸イオン (HNO2-) | <0.1< td> | -- | -- |
硝酸イオン (NO3-) | <0.1< td> | -- | -- |
リン酸二水素イオン (H2PO4-) | <0.1< td> | -- | -- |
炭酸水素イオン (HCO3-) | <0.1< td> | -- | -- |
炭酸イオン (CO32-) | <0.1< td> | -- | -- |
陰イオン計 | 60.3 | 1.26 | 100.00 |
(3) 遊離成分
非解離成分:成分 | ミリグラム [mg/kg] | ミリモル [mmol/kg] |
---|---|---|
メタ亜砒酸 (HAsO2) | <0.1--< td> | -- |
メタケイ酸 (H2SiO3) | 40.00 | 0.51 |
メタホウ酸 (HBO2) | <0.1< td> | -- |
非解離成分計 | 40.00 | 0.51 |
成分 | ミリグラム [mg/kg] | ミリモル [mmol/kg] |
---|---|---|
遊離二酸化炭素 (CO2) | 52.90 | 1.20 |
遊離硫化水素 (H2S) | 4.20 | 0.12 |
溶存ガス成分計 | 57.10 | 1.32 |
(4) その他の微量成分
成分 | ミリグラム [mg/kg] | ミリモル [mmol/kg] |
---|---|---|
総砒素 (As) | <0.01< td> | -- |
総水銀 (Hg) | 0.0032 | 0.00 |
クロム (Cr) | <0.05< td> | -- |
鉛イオン (Pb) | <0.01< td> | -- |
カドミウムイオン (Cd) | <0.003< td> | -- |
亜鉛イオン (Zn) | 0.02 | -- |
微量成分計 | 0.02 | 0.00 |
下記にも掲載しました。
藤七温泉 - 湯花草子
温泉の成分は、総計 200mg/kg 未満でかなり少なめ。陽イオンは際立って多い成分が無く複雑な組成。陰イオンは硫酸イオンが支配的。