2020/3/7 おふろの王様 海老名店
晴れ 日帰り 1回目
神奈川県海老名市、総鉄本線のかしわ台駅の近くにある温泉スーパー銭湯。大深度掘削により湧出した古代海水系の温泉を使っている。小さいが源泉掛け流しの浴槽があり、出汁のような温泉の匂いがガッツリと香るので気に入った。
寄り道
おふろの王様 海老名店を訪れる前日、千葉県市川市のクリーンスパ市川への入浴を試みたが、休業中だった。入浴していないがせっかく撮ったので先に貼っておく。
↑ クリーンスパ市川 正面
↑ クリーンスパ市川 玄関
↑ クリーンスパ市川 新型コロナウィルスに対する臨時休業のお知らせ
↑ クリーンスパ市川 側面
ちなみに今日確認したところ、臨時休業期間が 3/26 まで延長されていた。
地理と周辺の温泉
おふろの王様 海老名店の源泉について、源泉掛け流し浴槽である「ここち湯」の壁には、「地下1300mの古生層から湧出した温泉」と書いてあった。(と記憶しているのだが、いまインターネットを検索してもその目撃情報が全く出てこないため、もしかして見間違いかと思いつつあったり。) ただともかく、古生層はちょっと盛り過ぎじゃないのか、と思って調べた。
おふろの王様 海老名店の地下、掘削深度1301mでは、相模湖層群があると考えられるとのこと [1]。相模湖層群は古第三系 (約5000万〜3000万年前) の層らしい。神奈川県で最も古い地層とされる小仏層群でも中生代白亜紀 (約1億年前) なので、古生代 (3億年以上前) は無さそうだ。
[1] の資料では各温泉井を略号で示しているが、それぞれ施設名との対応表を作ってみた。
より詳細な情報が「街の温泉巡り」さんにまとまっておりすごい [2]。
略号 | 施設名 |
---|---|
YH73 | 横浜温泉チャレンジャー |
YH77 | ラジャの湯 (閉館) |
YH78 | ヨコヤマ・ユーランド鶴見 |
YH80 | マークスプリングス (居住者専用) |
YH81 | レアレア東戸塚 (スポーツジム会員専用) |
KW30 | 縄文天然温泉志楽の湯 |
KW31 | クラウン健康センター (閉館) |
SG2 | 相模原友愛温泉病院 (一般不可) |
SG3 | おふろの王様 町田店 |
SG4 | 相模・下九沢温泉 湯楽の里 |
AT14 | 海老名温泉 (居住者専用) |
AT15 | 湯花楽 厚木店 |
AT17 | おふろの王様 海老名店 |
AT18 | 野天湯元 湯快爽快 座間店 |
HR3 | 平塚グリーンサウナ |
HR4 | 大磯温泉 |
HR6 | 湯の蔵ガーデン |
TG1 | 野天湯元 湯快爽快 茅ヶ崎 |
FJ5 | 湘南台温泉らく |
FJ6 | 江ノ島アイランドスパ |
KM4 | マイキャッスル湘南逗子 (居住者専用共同浴場) |
KM6 | 葉山温泉スタンド |
YS12 | 佐野天然温泉 のぼり雲 |
MU3 | マホロバマインズ三浦 |
おふろの王様 海老名店は、以前は「ゆめみ処ここち湯」という名で総鉄不動産販売が運営を行っていたらしい。その後2014年にホットネス (東京建物リゾート) に譲渡されて、「おふろの王様 海老名店」に変わったそうだ。おふろの王様では他に瀬谷店、町田店でも天然温泉を利用している。[3][4]
施設
施設は先述の通り、かしわ台駅の駅近くにあるので電車と徒歩だけで普通に到達可能だが、地域的には自動車圏に踏み込んでいるのか、かなり広い駐車場がある。周囲には大きなドラッグストア、スーパー、衣料品店など、郊外っぽい店並びになっている。
建物の外観はとても典型的なスーパー銭湯で、半和風の様相。入口が横向で、その前に屋根があり、手前には燈籠のような看板。燈籠の横には小さい生垣があり、それを挟んで両側に通路。通路の途中には施設の紹介が書かれた看板。みんなこの配置なのは何か理由があるのだろうか。
↑ 写真: おふろの王様海老名店 外観
↑ 写真: おふろの王様海老名店 外観
看板に書かれた紹介は下記の通り。温泉に関するところだけ抜粋しておく。温泉の起源について独自の解釈を混じえつつドラマディックに書き上げる、妙に力の入った文章だ。ただ、温泉の年代スケールでいくと、稲は全く関係無いんじゃないかと思う。
地下一三〇〇メートルに貯蔵された天然温泉は、天から与えられた恵みの雨が、稲を育て木々に生命を宿し様々な生物の母となった大地の様々な養分を思う存分吸収し、永い年月をかけ地下深く染み込み、地熱に抱かれ永い間眠り続けて時を待っていました。
↑ 写真: おふろの王様海老名店 外観
施設の裏手には温泉の入っているであろうタンクが立っている。手前の扉には「温泉運び湯の業者さんへ」と掲示されている。運び湯屋さんはどこに湯を運んでいるかというと、おふろの王様港南台店に送られているらしい。
↑ 写真: おふろの王様海老名店 温泉タンク
入浴料金は平日850円、土日祝950円。営業時間は10:00〜25:00 (受付24:00まで)。この辺りのスーパー銭湯として普通の料金と思う。
↑ 写真: おふろの王様海老名店 料金
↑ 写真: おふろの王様海老名店 券売機
↑ 写真: おふろの王様海老名店 廊下
浴場は男女別で、それぞれに内風呂と露天風呂がある。温泉を利用しているのは主に露天風呂で、内風呂には炭酸を溶かしてアレンジした炭酸泉天然温泉浴槽があるのみ。対して露天風呂には、源泉かけ流し浴槽「ここち湯」、四角い大浴槽「眺景の湯」、丸い大浴槽「まどかの湯」と壺湯がある。いずれの浴槽もそこそこ混んでいたが、その混雑度合いには波があり、満員で入浴していたかと思えば、少し時間が経つと誰も入浴していなかったりした。ただ、この頃には新型コロナウィルス流行の兆しがあり、外出を控えていた人もいただろうから、普段はやはりかなり混み合っているのだろう。
なお上記Webページに掲載された浴槽の写真では、ここち湯だけが女湯のもので、他は全て男湯のものである。男湯のここち湯は小さく、一度に2〜3人しか入浴することができない。天然温泉として紹介されている写真で、一番手前がまどかの湯、その奥が眺景の湯、さらにその向こうの隙間にある浴槽がここち湯。もっとも、浴槽が小さいことは悪いことではない。むしろ新しい湯の比率が高くなって、より新鮮な状態で湯を楽しめるため良いことでさえある。
眺景の湯は5人サイズ、まどかの湯は10〜12人サイズの浴槽だった。
温泉の利用方法と浴感
ここち湯が加温有り、加水無し、循環無し、消毒無しの源泉かけ流しにて利用されており、一番良い湯の使い方をしている。湯は浴槽横の岩の上を流れて浴槽に注がれており、源泉へのアプローチが容易。湯の色は暗くてはっきりとわからなかったが、他の浴槽と比較してやや濁りがあるように見えた。明るかったら茶色い濁りではないかと推測する。ただ概ね透明で浴槽の底まで見えていた。湯を掬って飲んでみると、薄めの鹹味、塩スープのような塩味をベースにして、弱い苦味など。また後味にごく僅かな金気もあったような気がした。匂いは、はっきりとした土気臭と出汁の匂いが、湯に浸かった瞬間に香った。金気臭も僅かに感じた。湯口の下が一番香った。湯の温度は40℃位で温く、そこそこ長く入浴可能だが、しばらく浸かっていると急に疲れてくる印象。身体の温まりはあまり強くなく、すぐに冷めてくる。肌触りはややぬるぬるした。
眺景の湯、まどかの湯、つぼ湯、炭酸浴槽は加温有り、加水無し、循環有り、塩素系薬剤による消毒有り。これらは入浴すると強い塩素消毒臭がしてあまり良くなかった。塩化物泉かつ臭素を含んだ泉質なので、消毒の匂いを余計に強く感じてしまったかもしれない。浴後は肌がパリパリした。
↑ 写真: おふろの王様海老名店 温泉法施行規則に伴う温泉に関する掲示
温泉の成分
↑ 写真: おふろの王様海老名店 温泉分析書
源泉名は、ゆめみ処ここち湯 1号源泉、湧出地は記載無し。分析年月日は2012.6.30、湧出量 記載無し、pH 記載無し、泉温 35.4℃、溶存物質計 (ガス性のものを除く) 9901mg/kg、成分総計 9921mg/kg、泉質名はナトリウム-塩化物温泉 (等張性・弱アルカリ性・温泉)。
成分は以下の通り:
陽イオンは、
ナトリウムイオン (Na) 3596mg/kg 156.4mval/kg 95.02mval%、
カルシウムイオン (Ca) 55.9mg/kg 2.79mval/kg 1.70mval%、
カリウムイオン (K) 76.0mg/kg 1.94mval/kg 1.18mval%、
マグネシウムイオン (Mg) 22.0mg/ 1.81mval/kg 1.10mval%、
アンモニウムイオン (NH4) 29.1mg/kg 1.61mval/kg 0.98mval%、
以下略、
計 3780mg/kg 164.6mval/kg。
陰イオンは、
塩化物イオン (Cl) 5400mg/kg 152.3mval/kg 94.44mval%、
炭酸水素イオン (HCO3) 521.7mg/kg 8.55mval/kg 5.30mval%、
臭化物イオン (Br) 19.7mg/kg 0.25mval/kg 0.16mval%、
炭酸イオン (CO3) 2.1mg/kg 0.07mval/kg 0.04mval%、
よう化物イオン (I) 6.2mg/kg 0.05mval/kg 0.03mval%、
以下略、
計 5951mg/kg 161.3mval/kg。
遊離成分で非解離成分は、
メタケイ酸 (H2SiO3) 69.9mg/kg 0.90mmol/kg、
メタホウ酸 (HBO2) 100.3mg/kg 2.29mmol/kg、
計 170.2mg/kg 3.19mmol/kg。
溶存ガス成分は、
遊離二酸化炭素 (CO2) 19.4mg/kg 0.44mmol/kg。