2020/2/22 ゆ〜シティー蒲田
曇り 日帰り 1回目
関東の黒湯温泉地で最大級の都市、蒲田の温泉銭湯。JR蒲田駅を西口に出て北側、呑川 (のみかわ) を渡り繁華街を抜けた先にある。
思い出
前日は散々だった。22時前に会社を上がったあと、どうしても温泉に浸かりたかったので、未入浴の政の湯へ向かった。川崎のソープランド街を抜け、辿り着いたところ、閉まっており「本日休業」と貼り出されていた。あとで調べたところによると、毎月21日が定休日らしい。運悪く月1回の休みを当たってしまったようだ。
↑ 写真: 政の湯 本日休業
時間もかなり厳しくなっていたので、次に平和島へ向かった。平和島には京急グループの京急開発が運営する「天然温泉 平和島」があり、24時間営業している。ここも未入浴で、こういう時のためにとっておいたのである。
↑ 写真: 天然温泉平和島 正面
平和島駅から徒歩で10分程度、0時過ぎに到着。営業はしていたが、フロントにて日帰り入浴 (1時間) で、と伝えたところ、今日はもう宿泊 (7時間プラン) しかやっていないと言われた。夜は1時間プランをやっていないなんて、そんな制限、公式ページに書いてない…。
入口に温泉分析書が掲示されていたので、これだけは撮影してきた。源泉名は「平和島温泉」、湧出地「東京都大田区平和島1丁目1番1号」、分析年月日2015.8.10、湧出量6t/時(= 100L/分)、pH 7.6、泉温35.9℃、溶存物質計 (ガス性のものを除く) 22890mg/kg、成分総計 22930mg/kg、泉質は含よう素-ナトリウム-塩化物強塩温泉 (低張性・弱アルカリ性・温泉)。
かなり海っぽい成分である。古代海水系の温泉は硫酸イオン成分が多かったり、カルシウム成分よりマグネシウム成分よりもモル濃度で高くなることが多い、とのことだがいずれも当てはまらない。
↑ 写真: 天然温泉平和島 温泉分析書
というわけで最終電車も行ってしまったので1時間かけて歩き帰宅。
今日は朝から温泉に行かなければ、と思っていたのに色々と妨げがあり、ようやくやってこられたのがここ、ゆ〜シティー蒲田である。
↑ 写真: ゆ〜シティー蒲田 入口
地理と周辺の温泉
蒲田が位置する東京都西南部は黒湯温泉が多く湧出する温泉地帯である。横浜、横須賀にかけて数十軒もの温泉施設が連なっている。これらの温泉は200万年以上前の地層群である上総層群から湧き出していることが多い。地層上部の深さは場所によって大きく差があり、神奈川県の鶴見や溝の口あたりでは浅く、東京都港区の北あたりから急激に深くなるらしいが、蒲田周辺では20m〜50m辺りから、100m〜1500m程の厚さをもって広がっている。ゆ〜シティー蒲田は深さ120mの掘削らしいので、やはり上総層群上部の温泉を利用していると思われる。
周辺の温泉には以下がある。遅くまでやっている施設の確認を兼ねて営業時間と合わせて表にしてみた。
施設名 | 定休日 | 営業時間 |
---|---|---|
はすぬま温泉 | 火曜日 | 15:00-25:00 |
ゆ~シティー蒲田 | 火曜日 | 11:00-24:00 |
久松温泉 | 火曜日 | 10:00–24:00 |
久が原湯 | 月曜日 | 平日14:00-24:00 土日12:00-24:00 |
第二天狗湯 | 木曜日, 第3水曜日 | 14:30–23:30 |
幸の湯 | 月曜日 | 06:00-11:00, 14:00-23:00 |
改正湯 | 金曜日 | 15:00-24:30 |
桜館 | 無休 | 平日12:00-25:00, 土日祝10:00-25:00 |
蒲田温泉 | 無休 | 10:00~25:00 |
NU-LAND さがみゆ | 不定休 | 10:00〜23:00 |
照の湯 | 木曜日 | 平日15:00-23:30, 土日祝10:00-23:30 |
稲荷湯 | 水曜日 | 15:30–24:00 |
調布弁天湯 | 不定休 | 15:30-23:30 |
第一相模湯 | 月曜日 | 14:30-23:00 |
調布弁天湯 | 月曜日, 第4火曜日 | 15:30–23:30 |
COCOFURO ますの湯 | 3,6,9,12月の第2木曜日 | 6:00-24:00 |
北品川温泉 天神湯 | 金曜 | 15:00-24:30 |
武蔵小山温泉 清水湯 | 月曜日 | 12:00-24:00 |
戸越銀座温泉 | 金曜 | 15:00-25:00 |
西品川温泉 宮城湯 | 水曜 | 平日15:00-25:00, 土祝13:00-25:00, 日曜日11:00-25:00 |
中延温泉 松の湯 | 月曜 | 15:00-25:00 |
八幡湯 | 火曜日, 水曜日 | 15:00-24:00 |
施設
施設の外観は蒲田には多くある温泉銭湯より少し都会的な感じ。
受付と浴場は2階にある。
↑ 写真: ゆ〜シティー蒲田 受付
↑ 写真: ゆ〜シティー蒲田 脱衣場入口
黒湯温泉を利用している浴槽は露天風呂の1つ。
内風呂にはジャグジー、座風呂、電気風呂、バイブラ風呂の4つの小さい浴槽と水風呂。水風呂前には飲料水の水飲み場とサウナがあり。水風呂は温泉では無くおそらくただの上水。2人サイズで、温度は25℃位でややぬるめ。2人サイズ。
露天風呂の温泉浴槽は3〜4人サイズで角張った扇形。4人が入るとかなり狭いが、詰めて入浴していた。温度は41℃くらい。浴槽縁の上に湯口があり、ジャバジャバと茶色い湯が浴槽に注がれていた。並行してジャグジーによる底面注入もあり。湯のオーバーフローは無く、浴槽内のどこかで吸入されていると思われる。
浴槽横にカランがあり、源泉冷鉱泉が出てくるかと期待したが、頭が外されていたため捻ることができなかった。
あと露天風呂浴槽の横に椅子があって2人座れるが、これもよく埋まっていた。内湯がやや暑いので逃げ場がこの椅子か水風呂しか無いのだろう。
浴槽の湯の色は非常に濃い黒色。見通しは1〜2cmくらいしかなく関東でもトップクラスの濃さである。数年前に来たときには、色の濃さがそこまで印象に残らなかったが、単に忘れているだけかはよくわからない。
温泉の利用方法と浴感
温泉は加温有り、加水無し、循環・濾過有り、塩素消毒有りで利用。湯口より手前で処理済み。
↑ 写真: ゆ〜シティー蒲田 温泉の利用方法
視覚は、真っ黒で濃い黒湯で見通し1〜2cm。白い湯の華の浮遊は見られなかった。
味覚は無味。浴槽の掲示には微塩味と書いてあったので、新鮮な状態だと味が感じられるのかもしれない。匂いは無臭。ごく僅かにモール臭の芳香が感じられるときもあった。浴後に身体に残る匂いも控えめ。
肌触りは少しヌルヌルしていた。
温まりは強めであり、すぐ熱くなるので長湯しにくい。またしばらくポカポカとした。
温泉の成分的にはもっと香ったり、ぬるぬるしてもよいように思われるが、全体的に特徴は控えめだった。
温泉の成分
源泉名は「黒湯の温泉」、湧出地は東京都大田区蒲田一丁目26番16号。分析年月日は2019.2.18、湧出量は127.0 L/分 (動力揚湯)、pH 8.7、泉温18.0℃、溶存物質合計 (ガス性を除く) 1193mg/kg、成分総計 1195mg/kg、泉質はナトリウム-炭酸水素塩冷鉱泉 (低張性・アルカリ性・冷鉱泉)。
成分は以下の通り。
陽イオンは、
ナトリウムイオン (Na) 302.8mg/kg 13.17mval/kg 93.08mval%、
カリウムイオン (K) 10.7mg/kg 0.27mval/kg 1.94mval%、
カルシウムイオン (Ca) 5.3mg/kg 0.26mval/kg 1.87mval%、
アンモニウムイオン (NH4) 2.9mg/kg 0.18mval/kg 1.14mval%、
鉄 (II) イオン (Fe^2) 0.9mg/kg 0.03mval/kg 0.25mval%、
鉄 (III) イオン (Fe^3) 0.3mg/kg 0.02mval/kg 0.11mval%、
以下略、
計 325.7mg/kg 14.15mval/kg。
陰イオンは、
炭酸水素イオン (HCO3) 762.2mg/kg 12.49mval/kg 90.67mval%、
炭酸イオン (CO3) 28.9mg/kg 0.96mval/kg 7.00mval%、
塩素イオン (Cl) 10.1mg/kg 0.29mval/kg 2.07mval%、
フッ素イオン (F) 0.3mg/kg 0.02mval/kg 0.11mval%、
硫酸イオン (SO3) 0.6mg/kg 0.01mval/kg 0.09mval%、
水酸イオン (OH) 0.1mg/kg 0.01mval/kg 0.04mval%、
以下略、
計 802.3mg/kg 13.76mval/kg。
遊離成分で非解離成分は、
メタケイ酸 (H2SiO3) 62.2mg/kg 0.80mmol/kg、
腐植質 107mg/kg、
以下略、
計 64.5mg/kg 0.85mmol/kg。
↑ 写真: ゆ〜シティー蒲田 温泉分析書
温泉分析書は公式ブログにも掲載されているものも見つけた。こちらの方が見易い。