2019/7/14 西山温泉 中の湯旅館
曇り 日帰り 1回目
会津若松から西側、柳津からR252を少し南下したのち、只見川から離れて山側に入った先で滝谷川の沢に下りたところにあるのが西山温泉。
老沢温泉旅館、旅館中の湯、旅館新湯、滝の湯旅館下の湯の5軒の旅館があり、8つの源泉があるという。
> 日本一の出力を誇る地熱発電所のある西山温泉。只見川の支流である滝谷川沿いに開けた温泉郷で、川のせせらぎと鳥のさえずりの響く自然の中にあります。地熱発電所ができるほどの豊富な湯量で八つもの源泉があり、それぞれの湯を一巡りすると万病も一遍に治る「神の湯」と言われています。また昔も今も当時の利用客が多いのも特徴の一つです。
http://www.yanaidu.com/onsen/onsen.html
実は老沢旅館が第一目標だったのだが、到着時少し前に夫婦が入ったとのことで利用できなかった。日帰り入浴は貸切で運用しているようだ。
次に滝の湯旅館も訪ねたが掃除を始めたところである、とのことで撤退。
3軒目で中の湯旅館を訪れた。
中の湯旅館は西山温泉の中程にある温泉旅館である。
宿泊できる本館とは別に離れがあり、私が行った時には男性専用になっていた。
本館、離れともに浴場があり、本館には内湯のみ、離れには内湯、露天風呂の両方がある。
日帰り入浴は本館500円、離れ800円となり別料金である。計1,300円と考えると福島の山間部としてはなかなか強気な料金設定である。離れは45分のみの時間制限ありでこれもなかなか厳しい。少し前に入った人と入浴時間が重なったので貸し切りでもなかったようだ。だが3源泉を味わえると考えれば適正な価格設定かもしれない。まあ2,000円でも入浴するんですけどね。
源泉は先述の通り3本あり、離れの内湯に中の湯、露天風呂に荒湯、本館内湯に杉の湯を利用している。
始めに離れ、少し休んだあと本館で入浴した。
本館の玄関から出て庭先を30mほど歩くと離れに着く。女将さんがわざわざ案内してくれた。
離れは味わいありげな建物である。中はかなり綺麗で新しそうだった。西山温泉の秘湯イメージとは異なっており意外だが、公営施設やスーパー銭湯には無い品があると思った。
脱衣場から、ふすま式の両開きの大きな戸を開くと浴室に繋がる。
檜の大きな浴槽。がんばれば10人位は入れそうな大きな浴槽。ただし今回はひとりで独占できた。
写真ではグレーの湯に見えるが、実際にはわずかに白身がかった透き通る湯。湯の華が浮遊している。
玉子臭に包まれて心地よい。
飲むと硫黄湯の味にはっきりとした塩味が混じる。
湯口は伸びた湯の華が敷かれ、温泉感よし。
露天風呂は内湯とは別の源泉を利用している。
やや広い楕円形の岩風呂で、中央に岩が配置されてドーナツ状になっている。
湯はさっぱりとした硫黄泉で、松川渓谷温泉を思い出した。色合いや湯の華が似ている。でも成分を見てみると松川渓谷温泉と比べていろいろと濃いようだ。内湯の個性が強いのであっさりに感じられたのかもしれない。
飲むとお湯感の強い硫黄泉の味。飲むと玉子臭が鼻に抜ける。内湯とは異なり塩味はない。これくらいの湯は飲みやすいので好みだ。常飲したいものだ。
無色、透明。湯の華
湯口は奥まった位置にあり、手前に岩の浅瀬が1mほどあって浴槽に続く。源泉温度が高いため、少し温度を下げる工夫だろう。浴槽内は部分的に留まっていられないほど温度が高くなっているところもあった。かと思えば湯口横は適温になっており、ベストポジションである。
湯口前の浅瀬には苔状の大きな湯の華が積もっている。白色、黒色、薄茶色があった。波を受けると浮き上がり、浴槽側に流れ込む。
露天風呂から内湯に入るところも凝った作りになっていた。
内湯に利用している湯の源泉名は中の湯。泉温71.6℃、湧出量7.2L/分 (掘削自噴)、pH7.1 (中性) 、成分総計5980mg/kg。陽イオンは、ナトリウムイオン (Na) 1900mg/kg 82.65mval、カリウムイオン (K) 190mg/kg 4.8mval、計2137mg/kg 90.2mval。陰イオンは、塩素イオン (Cl) 2580mg/kg 72.77mval、炭酸水素イオン (HCO3) 550mg/kg 9.01mval、硫酸イオン (SO4) 310mg/kg 64.5mval、チオ硫酸イオン (S2O3) 4.5mg/kg 0.08mval、硫化水素 (HS) 1.0mg/kg 0.03mval、計3446mg/kg 88.4mval。
溶存ガスは遊離二酸化炭素 (CO2) 73mg/kg 1.66mmol、遊離硫化水素 (H2S) 0.9mg/kg 0.03mmol。
総硫黄量は計4.3mg/kgが含まれているので含硫黄になる。泉質は含硫黄-ナトリウム-塩化物泉に分類される。
非遊離成分はメタケイ酸 (H2SiO3) 172mg/kg 220mol、メタケイ酸 (HBO2) 151mg/kg 3.45molであり、これも大変に豊富。
その他の成分では総砒素イオン (As) が0.97mg/kg 含まれている。含砒素泉とされる乳頭温泉郷の大釜温泉が0.43mg/kg (平成24年) なので2倍ある中の湯も含砒素泉と思って良さそうだ。なお草津温泉の万代鉱は5.23mg/kg (平成25年) というヤバめな値が記録されている。ちなみにWHO合同食品添加物専門家会議なる組織が定めたPTWI (暫定耐容週間摂取量) なる毎日摂取し続けても健康上問題無い量を定めており、砒素は、無機ヒ素15μg/kg体重/週、としているらしい。体重63kgなら0.135mg/日であるから、毎日140ml位までなら飲泉し続けても大丈夫そうだ。
次に露天風呂の湯の源泉は荒湯。泉温71.0℃、湧出量170L/分 (動力揚湯)、pH6.5 (中性)、成分総計2973mg/kg。陽イオンはナトリウムイオン (Na) 848.3mg/kg 36.90mval、カリウムイオン (K) 47.3mg/kg 1.21mval、計912.9mg/kg 39.09mval。陰イオンは塩化物イオン (Cl) 1003mg/kg 28.29mval、炭酸水素イオン (HCO3) 440.5mg/kg 7.22mval、硫酸イオン (SO4) 157.6mg/kg 3.28mval、硫化水素イオン (HS) 0.5mg/kg 0.02mval、チオ硫酸イオン (S2O3) 0.5mg/kg 0.01mval、計1605mg/kg 38.88mval。
溶存ガスは、遊離二酸化炭素 (CO2) 264mg/kg 6.0mmol、遊離硫化水素 (H2S) 1.6mg/kg 0.05mmol。
総硫黄イオンは2.28mg/kgで、その多くが遊離硫化水素要因なので硫化水素型の含硫黄泉になる。
泉質は含硫黄-ナトリウム-塩化物温泉 (硫化水素型)に分類される。
内湯は本館に入り、突き当り右側にある。離れとは異なり山間の湯らしい素朴な雰囲気。
脱衣場、浴室ともに窓から川が見えるのがよいと思う。ローカルな川が見えると秘湯感が一気に高まる。
内湯は溶けた雪だるまを縦に半分にしたような形。縁は緩いカーブを描く。単なる長方形と比べるとおしゃれな感じがすると思った。楕円形と比べると浴槽壁に寄りかかりやすい。
6人は同時に入浴できそうだった。
湯口は浴室左手奥の壁面から突き出たパイプ。透明な湯が注がれており、湯口周辺は焦げ茶色になっている。似たような色を函館の湯の川温泉で見た気がする。流れる湯に触ると手に掬えない程に熱い。47度はあるだろう。
湯は浴槽で43度くらいになって浴室右手側の切り溝からオーバフローする。
無色透明の湯。
爽やかな見た目とは裏腹に酸味あり。中の湯、荒湯の中間くらいの味がした。
かなり温まる湯。気温も高かったので汗が止まらなかった。
また何度も入りたくなる湯。時間制限が無いし貸切だったので、窓際に座ったり入浴したりを繰り返してゆっくりすごした。
源泉は杉の湯 (H21.4.21)。泉温61.9℃、湧出量12.8L/分 (動力揚湯)、pH6.4 (中性)、成分総計4025 mg/kg、泉質 含硫黄-ナトリウム-塩化物温泉 (硫化水素型)。
陽イオンは、ナトリウムイオン (Na) 1163mg/kg 50.59mval 89.52mval%、カリウムイオン (K) 131.7mg/kg 3.37mval 5.96mval%、計1342mg/kg 56.51mval。陰イオンは、塩素イオン (Cl) 1574mg/kg 44.40mval 79.76mval%、炭酸水素イオン (HCO3) 415.8mg/kg 6.81mval 12.23mval%、硫酸イオン (SO4) 208.1mg/kg 4.33mval 7.78mval%、硫化水素イオン (HS) 1.0mg/kg 0.03mval 0.05mval%、チオ硫酸イオン (S2O3) 1.9mg/kg 0.03mval 0.05mval%、計2205mg/kg 55.67mval。硫化水素イオンを水硫イオンと記載していた。
溶存ガスは、遊離二酸化炭素 (CO2) 247.2mg 562mmol、遊離硫化水素 (H2S) 4.6mg 0.13mmol。
硫黄総量は6.38mg/kgで硫化水素型の硫黄泉である。
非遊離成分は、メタケイ酸 (H2SiO3) 141.2mg 1.81mmol、メタホウ酸 (HBO2) 84.8mg 1.94mmol。
参考:
- ヒ素 愛知県衛生研究所 http://www.pref.aichi.jp/eiseiken/5f/as.html