2019/7/13 沼尻温泉元湯
日帰り 晴れ 1回目
福島県の安達太良山西側の山腹に湧く野湯。沼ノ平火口にありあちこちから湯が湧き出している。そのうち1つの源泉は毎分1万リットル以上もの湧出量があるらしい。単独源泉による湧出量では日本最大、温泉地の自噴湧出量でも草津、別府に次ぐ全国3位を誇る。麓の中ノ沢温泉ではこの湯を木樋とパイプを使い引いている。
源泉地帯は硫化水素ガスの発生する危険地域である。これまで何人かの死者も出ているとのこと。
ここは歩いてしか辿り着けない湯である。簡単な登山道をピクニック気分で30分弱歩く。行き方は、まず中ノ沢温泉を目指し、温泉地の街の下の方で脇道に入る。すると沼尻スキー場に着くが、夏場ならさらに管理用道路のフラットダートを登っていく。リフト乗り場などを過ぎてしばらく上がると安達太良山の登山口に到着し行き止まりになる。
ここは少し開けていて20台は車を停められそうな広場になっている。ここで車を降り、先は徒歩で行く。2つの登山道があり温泉へはどちらからでも辿り着くことができるが、沢側の道の方が早いようだ。沢側の登山道入り口には、立入禁止の看板が立っている。
源泉地内硫化水素ガスが発生しており危険ですので万が一、立ち入っても身体に障害をきたしても当社の責任外とします。
中ノ澤温泉株式会社
上は中ノ澤温泉株式会社による看板だが、會津森林管理署による看板もある。登山なら速やかに通過してね、と記載してしてあり登山道への進入を強く禁じているわけではなさそうだ。もちろん死者が新たに出たりしたとなれば強く禁止することになると思うので、当日、風が無い場合や体調の万全でない場合はここで引き返すべき。
温泉への道はここから、引き湯のパイプが見え隠れする狭い登山道を登っていく。基本的に平坦で難度の高いところはない。登り始める少しすると白糸の滝が見える。滝まで10分くらいである。その先、鉱山用のロープリフト終点までまた10分、源泉地帯までさらに10分。計ざっくり30分である。
道中、一番細いのがこの木橋。下は小さな崖になっているが落ちてもあまり痛くはなさそう。不安なら温泉パイプにしがみついて渡ればよろしい。
登山道は大きな沢道になっていて、上流側から川の流れがある。川の水に温泉成分が混ざって青白く濁って見える。
見渡すとあちこち、岩の隙間などから湯が湧き出している。見るからに熱そうである。
この熱い湯と冷たい川の水が混ざりちょうど良い温度加減になっているところを探し、そこに浴槽を掘って入浴するわけだ。
探すと木板で川の水を堰き止めたと思われる跡が見つかった。その周辺の流れに手を入れてみると温かい。先人が浴槽を作った形跡と思われた。
木板の角度を調整し、砂で木板の隙間を埋め、集めてきた石を重しにしたところ、川の水の流入が減り、湯の温度を確保することができた。そして浴槽の底を掘って深くするといい感じの浴槽になった。
今回、何も手持ちが無かったため、川底は素手もしくは拾ってきた石で掘り進めた。しかし、実は川底はかなり熱くなっている。場所によっては素手で触ると火傷しそうな程に熱い。スコップがあったほうがいいだろう。
というか翌日、別の温泉に入浴したところ、指先とか肘とか膝とか尻とかがヒリヒリした。たぶん軽く火傷してしまったのだろう。
最終的には、寝そべると肩まで浸かれるくらいの深さが確保できたので日が傾くまでダラダラ入浴した。最高だった。
湯の色は青白色透明。匂いは玉子臭。味はレモンの酸味と少しの苦味。一口で歯がギシギシになった。
意外な程のツルツル感あり。
鮮度は当然最高であるが、なぜかなかなかに優しい湯でゆったり入浴できた。地熱が高いので身体の設地部分がだんだん熱くなってくるのが少し落ち着けないことも無くはないがサービスみたいなものだ。
川の水による加水あり。自然自噴あり。かけ流し。