2019/10/26 台温泉 精華の湯
曇り 日帰り 1回目
台温泉は花巻市の東側、山に少し入ったところにある温泉地。道はこの温泉地のために拓かれたようで、山側は行き止まりになっている。
山の向こう側も鉛温泉など豊沢川沿いに数多くの温泉があり、地熱に恵まれたエリアである。
台温泉には十数件の旅館があり、自噴泉も存在しているようだ。麓にある花巻温泉は昔、台温泉より引き湯していたとのこと。現在は掘削自噴らしい。
台温泉で最も有名なのは旅館は中嶋旅館と思われる。日経新聞社の新温泉百名湯にも選ばれたとのこと。男湯の岩風呂が足元自噴である。現在は日帰り入浴は受け付けていないらしく、いつか泊まってみたいものだ。
台温泉の源泉は3種類
以下のページによると、台温泉に湧く源泉は3種類の泉質に分けられる。
台温泉旅館組合 源泉
http://www.daionsen-iwate.com/plan/
含硫黄-ナトリウム-硫酸塩・塩化物泉
- やまゆりの宿
- そめや旅館 外来入浴可 600円
- 中嶋旅館
- 台の湯
- 精華の湯 日帰り入浴施設
単純硫黄泉
- 福寿館 外来入浴可 350円
- かねがや旅館 外来入浴可 400円
- 水上旅館 外来入浴可 300円
- 松田屋旅館 外来入浴可 500円
- 藤助屋
- ホテル三右エ門
ナトリウム-硫酸塩・塩化物泉
- 観光荘 外来入浴可 400円
- 吉野屋旅館 外来入浴可 300円
- 滝の湯旅館
日帰り入浴を受け入れている旅館は上記のように意外と多い。これまたインターネット上の情報によると、日帰り客を受け入れている旅館は少ないとのことだったが、調べてみると結構あるみたいだ。
台温泉唯一の日帰り入浴施設
精華の湯は台温泉で唯一の日帰り温泉専門の施設である。宿泊はやっていない。
台温泉街の中では手前の方に位置し、入り口側から台の湯、吉野屋旅館、そめや旅館、観光荘、精華の湯、やまゆりの宿、三右エ門湯の順番に並んでいる。観光荘の裏手には滝の湯がある。
やまゆりの宿と精華の湯では同じ寿の湯源泉を利用しているようだ。
なおせっかくなのでメモすると、そめや旅館は滝の湯源泉、松の湯源泉を、観光荘は新湯源泉、台温泉1号源泉を利用しているらしい。
精華の湯の利用料金は500円。これは普通。
営業時間は6:00-22:00 (受付21:30まで) と、この手の温泉地としてはかなり長めなので使い勝手が良い。
来訪時はフロントが無人になっており、横の券売機で入場券を購入し、机の上の箱に投入する方式だった。
箱の手前には「当店はお客様との信頼で運営されております」とあることから、大体いつも無人方式でやっていることが窺われる。
熱めと温めに仕切られた浴槽
浴場は男女別。たぶん左右に線対称に浴室が作られているタイプである。
浴室には大きな浴槽が1つだけあるが、木板でゆるく仕切られており、見た目上は2つに分けられている。湯口は片側のみにあり湯は共有なので、浴槽の湯の温度を簡易的に熱めと温めに使い分けるための仕切りと思われるが、今回はほとんど温度差は感じられなかった。
湯口側の浴槽は4人、もう一方は6人位が入浴できそうに見えた。
仕切りには一度に入浴できる人数を増やす効果もあると、個人的には感じている。
訪れた日は普通の土日の土曜日だったが、入浴客は常に2〜3人位いた。この手の温泉施設としてはそこそこ賑わっているように思う。
浴槽はこれくらいの入りならば広々と入浴できる大きさであった。
湯口は石で囲まれたもの。湯量は多くないが十分な量が注がれていた。
やさしめな卵臭の硫黄泉
湯の匂いは、ほんのりとした卵臭。浴室に入ってすぐにいわゆる温泉卵の香りが感じられた。卵臭で幸せな気分になれた。
湯口に鼻を近付けると、強くはないが硫化水素の刺激臭も混じっていた。
味は特に感じられず。
湯は無色、透明である。湯の華も見られなかった。掲示によると湯の華が浮遊することもあるらしい。
湯の温度は42℃位。もともと温まる湯のようだが、浴室の換気が弱いため、浴室に熱気がこもっておりなかなか暑くなりやすい。
真冬の入浴でちょうど良い位かもしれない。夏は辛いだろう。
かなりの硫酸イオン成分
源泉名は台温泉 寿の湯。分析年月日は2010.10.13。源泉温度は95.6℃、pH8.3、湧出量は記載無し、溶存物質 (ガス性のものを除く) 1236mg/kg、成分総計1237mg/kg、泉質は含硫黄-ナトリウム-硫酸塩・塩化物泉 (低張性弱アルカリ性高温泉)。
陽イオンは
ナトリウムイオン (Na) 346.3mg/kg 150.6mval/kg 87.92mval%、
カルシウムイオン (Ca) 36.8mg/kg 1.79mval/kg 10.45mval%、
カリウムイオン (K) 8.7mg/kg 0.22mval/kg 1.28mval%、
リチウムイオン (Li) 0.4mg/kg 0.06mval/kg 0.35mval%、
以下略、
計391.2mg/kg 17.13mval/kg。
陰イオンは
硫酸イオン (SO4) 456.0mg/kg 9.70mval/kg 59.22mval%、
塩素イオン (Cl) 169.5mg/kg 4.78mval/kg 29.18mval%、
炭酸水素イオン (HCO3) 66.6mg/kg 1.09mval/kg 6.65mval%、
フッ素イオン (F) 7.2mg/kg 0.38mval/kg 2.32mval%、
炭酸イオン (CO3) 9.0mg/kg 9.30mval/kg 1.83mval%、
硫化水素イオン (HS) 4.1mg/kg 0.12mval/kg 0.73mval%、
チオ硫酸イオン (S2O3) 0.6mg/kg 0.01mval/kg 0.06mval%、
以下略で
計723.2mg/kg 16.38mval/kg。
遊離成分で非解離成分は
メタケイ酸 (H2SiO3) 100.9mg/kg 12.9mmol/kg、
メタホウ酸 (HBO2) 26.9mg/kg 0.48mmol/kg、
計121.8mg/kg 1.77mmol/kg。
硫酸イオン460mg/kgは全国的に見てもかなり多い方で、有名な硫酸塩温泉達と同程度含まれている。また総硫黄量は4.4mg/kgなので硫黄泉に該当する。
また意外なところではフッ素イオンとメタケイ酸がやや多め。
湯は加温無し、加水有り、循環無し、濾過無し、消毒無しで利用されている。浴槽の手前30cmの位置で加水し温度を調整しているらしい。元々の温度が100℃近くで高いのは素晴らしいが、適温にするためにかなり加水してしまっていると思われ、そこけ少し残念である。